剣聖がダンジョンに挑むのは間違っているだろうか
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第9話(白兎side):決着編
前書き
おはこんばんにちは、沙羅双樹です。
今回は怪物祭:白兎ルート決着編です。
前話あとがきで、ロキ・ファミリアへの借金取立ても書くと言っていましたが、それは次話に持ち越すことにしました。
という訳で今回はベルvsシルバーバックをお楽しみ下さい。
ちなみに、本編内でのベル君の格好は某黒の剣士の様な黒服黒ズボンです。(笑)
死覇装ではないので悪しからず。(笑)
追記
そろそろ本格的にヘスティア・ファミリ=護廷十三隊計画を発動しなければ……。(笑)
取り敢えず、団服として死覇装と初期構成メンバー用の隊首羽織を考えているんですが、何時から登場さるべきか?
【視点:ヘスティア】
「さぁ!行くんだ、ベル君。君の力をあの猿野郎に見せてやれ!!」
ボクはそう告げながらベル君を送り出す様にその背中を押すと、『斬月』君を手にモンスターへと突っ込もうとベル君は歩を進めようとした。けど、その歩みはたったの2~3歩で止まってしまった。
「ベ、ベル君?」
テレシア君に助けられたとはいえ、数日前にミノタウロスに襲われたベル君だ。ステイタス上は問題なくとも大型モンスターにトラウマを持っている可能性もある。
(もしかして、シルバーバックと正面から戦うことを意識するあまり体が硬直してしまった!?)
そんな考えがボクの頭の中を過った瞬間、迫りくるシルバーバックを前にベル君は『斬月』君を鞘に納め、ヤクトワルト君が得意としている極東の剣術――抜刀術の構えを取った。そして―――
「あいつを一緒に斬り伏せよう!……斬光一閃―――『斬月』!!」
ベル君が『斬月』君の名を叫びながら鞘から『斬月』君を抜き放つと、ベル君の目と鼻の先まで迫っていたシルバーバックは抜刀の衝撃波で吹き飛ばされた。
そして、抜刀の衝撃波でボク達のいる広場に舞った砂埃が晴れると、そこにはボクの渡した漆黒のナイフではなく、『斬月』君の本来の姿である鞘も柄も鍔もハバキも無い出刃包丁の様な身の丈より少し大きい大刀を持ったベル君が立っていた。
抜刀の衝撃波で吹き飛ばされたシルバーバックは、衝撃のダメージがかなり効いているのか、中々起き上がれずにいる。そんなシルバーバックに対してベル君は―――
「………」
視線を向けることなく『斬月』君にのみ意識を集中させている様で、武器としての感触を確認する様に片手で『斬月』君を何度か振り、何かに納得した様に頷くと漸くシルバーバックへと視線を向けた。
すると、ベル君に視線を向けられたシルバーバックは何故か一瞬だけビクリと体を震わせ、起き上がったかと思えばベル君へと一直線に突っ込んできた。
【視点:ベル】
『斬月』を解放した時の衝撃波でシルバーバックを吹き飛ばした僕は、シルバーバックに視線を向けることなく、『斬月』に意識を集中させていた。
今日貰ったばかりな上、初めて手にした身の丈以上の大剣。なのにその重量はまるで羽の様に軽く、まるで何年も使い続けていた武器の様に手に馴染んだ。
僕が武器を手にしたのはオラリオに来てからなのに、不自然な程に『斬月』は手に馴染んだんだ。けど、僕はその不自然さを当然のことの様に受け入れられていた。
何故なら『斬月』は僕の為に生まれ、僕の手足の延長であると同時に相棒でもあるからだ。逆に手に馴染まない方が不自然とすら思える。
僕は『斬月』の感触を確認し終えると、シルバーバックへと視線を向けた。本来なら神の眷属になって半月の冒険者じゃ太刀打ちもできない10層以降のモンスターが、今の僕には1層にいるゴブリンやコボルトと同じ存在に見える。
僕がそんなことを考えていると、シルバーバックは僕の視線から何かを感じ取ったのか、飛び起きると同時に一直線に僕の所に向かって来た。
そして、手首に嵌められていた手枷の鎖を使って僕に攻撃を仕掛けてきた。けど、僕はその場から動くことなく『斬月』を振り上げ、その攻撃を受けた。
そう。僕は鎖による攻撃を『斬月』で受け止める、もしくは弾くつもりで振り上げたんだ。けど、実際は受け止めることも弾くこともなかった。
僕に振り降ろされた鎖は『斬月』の刀身に打撃による衝撃を与えることなく、まるで熱したナイフでバターを切る様に簡単に断ち斬れたんだ。その余りの切れ味に僕だけでなく神様やシルバーバックも驚いている。
余りの驚きに少しばかり体が硬直してしまったけど、すぐに思考を再起動させた僕はシルバーバックの胴へと横一閃の一撃を放つ。
しかし、シルバーバックも僕とほぼ同時に思考を再起動させていた様で、僕の一撃に対してアクロバティックな動きで後方へと飛び移り、回避した。
僕から15m離れた位置に着地したシルバーバックは、僕の攻撃を完全に避けきれなかったのか、胴から少しばかり血が流れている。
これでシルバーバックが僕に脅威を感じて逃げてくれれば、僕と神様にとっては嬉しかったんだけど、現実は常に自分の思い通りには進まない。
シルバーバックは15mという距離を維持したまま、僕のことを観察している。僕の手持ち武器が近接系の短剣――『水魔の短剣』と大剣――『斬月』だけだから、15mも離れていれば殺られないと考えているんだろう。
「……けど、現実はそんなに甘くない。人間であろうと、怪物であろうと」
僕はそう口にすると同時に、全速力でシルバーバックへと駆け出し、15mの間合いを詰める。
「!!?」
シルバーバックは僕のスピードに驚きながらも、僕の間合いの外へと出ようとする。けど、それより早く僕は斬月による袈裟斬りを放つ。
その一閃でシルバーバックの左腕が断ち斬られ、鮮血と共に腕が宙を舞うけど、シルバーバックはまだ倒れずにいた。
本来ならこの一撃でシルバーバックの魔石を両断するつもりだったんだけど、シルバーバックが左腕を犠牲にして『斬月』による攻撃を防いだことで、斬月の刃は魔石まで届かなかったんだ。
そう理解した僕は即座に返す刃で左斬上げを放つ。が、それと同時にシルバーバックは初撃の時と同じくアクロバティックな動きで後方へと飛び移った。
(このままだと同じことの繰り返しでシルバーバックを倒すのに時間が掛かり過ぎる!!)
そう考えた僕は1つの賭けに出た。斬月による左斬上げを放つと同時に右足を軸足に体を一回転させ、『斬月』の柄に当たる持ち手に巻かれている晒を左手で掴み、回転の勢いを利用してシルバーバックの着地地点へと右手で『斬月』を勢いよく投げた。
大剣の投擲。一般的な武装なら装備を投げ捨てているだけだけど、斬月の場合は晒を使って手元に引き戻すことができるので、使い捨ての投擲武器にはならないと考えたんだ。
『斬月』の投擲はシルバーバックにとっても予想外の攻撃方法だったのか、シルバーバックは驚きの表情を浮かべ、そのまま足を地面に着けることなく胸の中心を『斬月』に貫かれ、消滅した。
「……やった?」
『斬月』を解放したことでシルバーバックを倒せる自信はあった。けど、シルバーバックとの戦いが自分にとって現実離れしていたこともあって、誰に尋ねる訳でも無く思わずそう口にしてしまった。
すると、手元に引き戻した『斬月』の刀身が僕の質問に対して答える様に一瞬だけ煌めき、次の瞬間には解放状態の大剣から封印状態のナイフへと姿を変えていた。
(ああ。僕は――僕達はシルバーバックを倒したんだ。これは夢じゃない。現実なんだ)
いつの間にか周囲の建物の窓が全て開いていて、建物内の住人が窓から身を乗り出して歓声を上げている。僕はその歓声に応える様に『斬月』を握っている右手を上げると、更に大きな歓声が上がった。
そして、僕は『斬月』を鞘に納めると少し離れた場所に座っている神様の所へと足早に向かった。この後、神様が寝不足で急に倒れて大騒ぎになったりするんだけど、それ以外には特に大きな問題が発生することもなく、漸く長い1日を終えることができた。
【視点:テレシア】
「勝って、しまいましたね。ベル様」
「そうやね。ベルやんの勝ちや」
「テレシア殿がベル殿に斬魄刀を渡していることにも驚いたが――」
「受け取ったその日の内に始解しちまうなんて、ベルには驚かされるじゃない」
私とアトゥイ、ルルティエの3人は食人花の討伐後に偶然合流したヤクトワルトとムネチカの2人と共に、闘技場から逃げ出した最後のモンスター――シルバーバックを追ってダイダロス通りに来ていました。
そして、私達の到着したのが丁度ベル君の『斬月』解放のタイミングだったこともあって、ベル君とヘスティア様がいる広場を一望できる建物の屋上へと瞬歩で移動し、今までベル君の戦いを見物していたという訳です。
「テレシア殿、テレシア殿はベル殿の秘められた力を把握していたが故に斬魄刀をベル殿に渡されたのですか?」
「いいえ。ムネチカ、私はベル君の力を把握なんてしていません」
「なら、なんで姉御はベルに斬魄刀を渡したんだい?今まではルルティエの嬢ちゃんもネコネの嬢ちゃんも例外なく、LV.2になるまで渡してなかったじゃない」
「私がベル君に斬魄刀を渡す様にしていなければ、我らが主神である駄女神様がヘファイストス様に多額の借金をしてまで、特殊な武器をベル君に買い与えていたでしょうから、仕方なくといった所です」
私が真実半分嘘半分でそう言うと、アトゥイだけが納得顔で残りの3人は「マジでか!?」と言わんばかりの顔をしていた。
「それに結果論ですが、斬魄刀との対話と同調ができたんです。ベル君が武器の性能に溺れるといった心配はする必要はないでしょう。
まぁ、受け取ったその日の内に始解できる様になるとは思いませんでしたけど。ふふ、今後の成長が楽しみです」
私が笑みを浮かべながらそう言うと、アトゥイ達4人は少しだけ驚いた反応をしてから、私と同じ様にベル君の成長が楽しみだと言わんばかりの笑みをそれぞれが浮かべていた。
後書き
という訳で、ベルvsシルバーバックが終了しました。(笑)
実は3/14にSAOオーディナル・スケールを見に行ったこともあって、ベルvsシルバーバックの戦いをキリトvs○○○の様なアクロバティックなものにしたかったんですが、できませんでした。
(理由はシルバーバックが武器を持っていないから)
ベルvsミノタウロス編ではキリトvs○○○風にしたいと思います。(笑)
(けど、ぶっちゃけベルvsミノタウロス編ってやる意味があるかな?ベルのトラウマは今回のシルバーバック編でラインハルト風斬月によって解決してるっぽいし。
しかも、拮抗した戦いにする為にはミノタウロスに不壊属性の特殊武装でも横流ししないと。(笑)
フレイヤ・ファミリア、もしくは猛者オッタルの出費が嵩みます。(笑))
あっ、オーディナル・スケールのキリトvs○○○といえば、映画見た直後にSAO二次の構想が浮かびました。(笑)
今の所書く気はありませんが、内容はSAO×学戦都市アスタリスクです。
主人公は刀藤綺凛に憑依転生した女主人公で、ジェネステラなどではありませんが素のスペックがアスタリスクの刀藤綺凛というものです。(笑)
ぶっちゃけ、オーディナル・スケールの中ボス(?)的存在の○○○とかアスタリスクの刀藤綺凛の前だったら、刀藤流剣術でフルボッコなんじゃないか?という考えから構想が始まりました。(笑)
(というか、ヒースクリフも刀藤流剣術の連鶴の前では無力な気がします。ぶっちゃけ、連鶴って集中力と体力次第でいつまでも続けられるスキルコネクトみたいなもんですし(笑))
長編ではなく短編集としてちょくちょく書くのはありかもしれませんが、今の所は本当に書く気はありません。(笑)
さて、それよりヘスティア・ファミリアの団服はいつから登場させようか?
①リリルカ・アーデ編から
②ミノタウロス編から
③ヴェルフ・クロッゾ(中層進出)編から
④vsアポロン・ファミリア編から
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