ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
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58部分:ターラの花その三
ターラの花その三
「・・・・・・あんた今何言ったの?」
ジャンヌが目を点にしてユリアに言った。
「はい、皆さん仲がいいですね、と」
ジャンヌにも微笑んだ。
「・・・・・・それ今のあたし達見て言える?」
見るとジャンヌは林檎を巡ってラーラと取っ組み合いを演じており間にマナが入っている。
「ええ。とっても」
「・・・一体何処を見て言ってんの?」
ラーラがマナに離されながらユリアに言った。
「解放軍の皆さんを」
「本気!?」
マナもようやく二人を引き離した後言った。
「はい、喧嘩する程仲が良いというじゃないですか」
「だけどね・・・・・・」
ユリアはまた微笑んだ。
「喧嘩してても皆さん助け合って笑いながらやっておられるでしょ。仲が悪いとそんな事出来ませんもの」
「う・・・・・・」
三人は絶句した。的を衝いていたからだ。
「ユリア〜〜〜」
「は〜〜〜い」
フィーとフェミナに呼ばれユリアはそちらへ行った。そこでは カリンとフェルグスが何やら言い争いをしていてアーサーとアミッドが間に入っている。マナは彼女の後ろ姿を見送りながら言った。
「ユリアって凄い天然なんだけれど言う内容は鋭いのね」
ジャンヌも同調した。
「あと何か雰囲気がセリス様にそっくりなのよね。ぽや〜〜〜〜っとしてるけどね」
「あ、そういえば」
ラーラも頷いた。
「何でだろ?」
三人はいささか疑問に思ったが隣でパーンとリフィスが言い争いを始めた為そちらの収拾に向かった為その疑問も忘れた。
フリージ軍二万はターラ城を包囲しながらトラキア竜騎士団と睨み合っていた。フリージ側は自分達の力だけで解決出来ると主張しトラキアに帰るよう言うがトラキア側は是非助力したいと言い陣を解こうとしない。
「糞っ、何が何でもターラに介入したいらしいな」
イリオスはターラの南に陣を張るトラキア軍を望遠鏡で見つつ忌々しげに呟いた。
「どう為されますか?トラキアの申し出を受けますか?」
将校の一人が尋ねる。
「馬鹿を言え。そんな事をしたら報償とか何とか理由をつけられてターラが掠奪されるぞ。その時に工作員を送り込んで我々が去った後ターラが何かトラキアに仕掛けたとか言って侵攻して自分の領地にするに決まっている。しかもターラの市民を皆殺しにしてな。まさかトラバント王のやり方を知らないわけじゃないだろう?」
「はい・・・・・・」
「だからここは無理にでもトラキアに退かせるんだ。さもないと多くの血が流れる事になる」
イリオスはその将校に説き聞かせた。今度はターラの城壁を見た。
「トラキアさえ退けば後はターラと交渉するだけだ。リノアン公女は若いながら聡明な人物だし状況を見れば矛を収めてくれるだろう」
「将軍、大変です!」
そこへ伝令の将校が一人入って来た。
「どうした?」
「あちらを・・・・・・」
将校が指差したのはトラキア軍の陣地だった。イリオスは再び望遠鏡を覗いた。そこにはレンスター、いや大陸の全ての者が忌み嫌う災厄の紋章があった。
「グングニルを中央にあしらったこげ茶の大旗・・・・・・。トラバント王か。連中何が何でもターラを手中に収めるつもるだな」
「将軍、これは容易ならざる事態になりましたな」
「ああ・・・・・・」
将校の言葉に頷きながら大旗を見ていた。
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