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Three Roses

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第三十五話 臨終の床でその十

「これもな、では私はだ」
「はい、これからですね」
「お妃様のお部屋に行かれますね」
「そうされますね」
「そうしよう」
 こう言うのだった。
「この音楽の後でな」
「では我等も」
「お供します」
「そうさせて頂きます」
「頼む、だが私は三人特にマリー王女とは違う」
 このことをだ、太子は実感していた。この時も。
「そして敗れた」
「マリー王女に」
「そうだと言われますか」
「姉妹の絆には勝てなかったし政治でもだ」
 こちらでもというのだ。
「敗れた、この国をロートリンゲン家のものに出来なかった」
「敗れた、マリー王女は素晴らしい人物だ」
「まことにそうですね」
「あの方は」
「何もかもがです」
「非常に立派な方です」
「その彼女に敗れた、このことは忘れない」
 側近達に話した。
「悔しくはある、だがこれからはだ」
「はい、帝国に戻られ」
「そのうえで、ですね」
「あの方と対していきますか」
「幸い敵ではない」
 帝国、ロートリンゲン家にとってというのだ。
「共に王国と対していこう」
「あの国に」
「王国の内戦は数年で終わる」
 それ位でというのだ。
「長い内戦だったがな」
「王の勝利で」
「それで終わりますね」
「そして諸侯はその力を大きく失う」
「王を中心とした国になりますね」
「これまで以上にな、そして内戦で失った分をだ」
 それもというのだ。
「取り戻しそしてだ」
「さらに強くなる」
「そうなるのですね」
「だからこそですね」
「あの国に対さなくてはならない」
「あの国と共に」
「そうだ、我々は異教徒の帝国と対さなくてはならない」
 このことを念頭に置いてだ太子は言うのだった。
「国境も接しているし海もだ」
「はい、常にです」
「異教徒達とは海でも対峙しています」
「長年に渡って陸でも海でも争ってきています」
「そのことを考えますと」
「王国のことは」
「あの国は異教徒達と手を結んでいる」
 帝国とあたる為にだ、王国はそうしているのだ。この国はこの国で考えてそのうえで動いているのである。
「我々が帝国と戦っている間にだ」
「後ろから狙ってきますし」
「そうしてきますので」
「この国とはですね」
「これからも」
「盟友でいなければならない」
 何としてもというのだ。
「だからだ」
「何としてもですね」
「この国とは親密でい続ける」
「そして王国に対してもらう」
「我々を後ろから狙うあの国を」
「そうだ、だからマリー王女が敵でなくてよかった」
 何としてもというのだ。
「今までも今もこれからもな」
「これからもですね」
「手を結んでいく」
「その為の努力をしていくのですね」
「帝国に戻られても」
「そうしていく、この国は去るが」 
 しかしというのだ。 
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