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提督はBarにいる。

作者:ごません
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お節もいいけどカレーもね?・その4

「さぁて、お次は~……江風ちゃんの番です!」

「へへへ~……宜しくな!」

 さて出てきたぞ、白露型の飯マズ候補その2。その1が誰かって?五月雨だよ。あいつはドジを踏むと料理が完成すらしない可能性すらあるが、江風は何と言うか……大雑把な料理な気がする。イメージ的に。調味料とかも目分量で適当にドバっと突っ込んでそうだ。料理に慣れてる人間の目分量は信用できるが、江風とか嵐とか……その辺の男勝りな奴等は信用できん。何となくだが。

「それで、江風ちゃんはどんなカレーを?」

「そいつは見てのお楽しみさぁ!」

「ほうほう!それでは調理の模様をどうぞ!」



《江風:ボリュームたっぷりミートボールチーズカレー》※分量10皿分

・合挽き肉:400g

・玉ねぎ:2個

・ジャガイモ:2~3個

・人参:1/2本

・卵:1個

・パン粉:100cc(計量カップで計量)

・牛乳:50cc

・塩:2つまみ

・胡椒:少々

・カレールー:10皿分

・水:ルーの箱の指示通りの分量

・サラダ油:大さじ2

・醤油:適量

・ピザ用チーズ:100g



 まずは玉ねぎを刻むようだな。皮を剥いて、繊維に沿って4等分……つまりは十字に刃を入れて割った後、繊維を断ち切るように薄切りにしていく。何だ、心配してたが中々手際が良いじゃないか?

「へっへっへ~!川内さんに教わってたんだよねー!」

 あぁ、そういやウチの鎮守府内じゃあ目立たんが川内もある程度料理は出来るんだったか。それならとんでもない大失敗は心配しなくても良さそうだな。そうこうしている内に玉ねぎを刻み終わったらしい。フライパンに油を半分引いて、玉ねぎを炒め始めた。……ん?玉ねぎを1/2個だけ残してるな。別の物に使うのか?

「残した玉ねぎはみじん切りにして、肉団子に入れんのさ!」

 成る程、ミートボールをメインにしたカレーか。こりゃ食い応えがありそうだ。江風は残しておいた玉ねぎと人参をみじん切りにすると、合挽き肉、卵、パン粉、牛乳、塩、胡椒と混ぜ合わせて練っていく。おっと、炒めていた玉ねぎがしんなりしてきて良い感じだぞ?炒めるのは終わりかと思ったら、火を弱めて更に炒めていく。飴色になるまで炒めるつもりだな?こりゃ。中々本格的ではある。

 肉団子は一旦置いておいて、先に玉ねぎを仕上げてしまうつもりらしい。炒まった玉ねぎを煮込み用の鍋に移すと、今度はジャガイモの皮を剥き、小さくしてからミキサーに入れてペーストを作っている。

「提督、何で江風ちゃんはジャガイモをペーストに?普通に刻んで入れればいいと思うんですけど?」

「恐らくだが江風のイメージする完成形は欧風カレーに近いんだろう」

「あぁ!お肉以外はほとんどルーに溶け込んでるアレですね?」

「だから、ペーストにして少しでも溶けやすくしてるんだろうさ。時間短縮のテクニックだな」

 出来たジャガイモペーストは俺の予想通り、そのまま鍋にIN。飴色玉ねぎと軽く混ぜたら、放置していた肉団子に取り掛かる。よく練ってタネが出来たら、両手の間でキャッチボールをして空気を抜きつつ、成形。大体直径が3cm位がちょうどいいと思うぞ。残しておいた油をフライパンに引いて、出来た肉団子を焼いていく。時々転がしながら全体に焼き目を付けるように強火で焼くぞ。こうする事で煮込んでも肉汁が染み出し過ぎずにジューシーな仕上がりになる。

肉団子が焼けたら、玉ねぎの鍋に水と一緒に入れて、強火で沸かして沸騰したら弱火にして15分程煮込む。灰汁取りを細かくな。15分経ったら一旦火を止め、カレールーを割り入れる。全体をかき混ぜてルーが馴染んだら弱めの中火に再びかける。ゆっくりかき混ぜながらルーを溶かし、とろみが付くまで10分程煮込む。ここで味見をして醤油で味を整えたら、仕上げにピザ用チーズをドバっと入れる。ざっくりと混ぜたらすぐに火を止めて完成だ。



「特製ミートボールチーズカレーお待ちぃ!」

 ふむ。カレーのスパイスの香りに混じって漂ってくるのはチーズの濃厚な香り。しかしカレーの香りを邪魔する程ではない、か。どれ味は……うん、美味い。かなりチーズが入ったからどうかと思ったが、寧ろチーズがガッツリ効いていて、カレーと互いの味を引き立ててくる。肉団子も肉汁が染み出してきて満足できる食べ応えだ。

「いや、予想外に美味かった」

「んだよそれ~!まるでアタシが料理出来ないと思ってたみたいじゃんかさ!」

「いや、実際そう思ってたんだが」

「んなろ~、失礼しちゃうぜ!」




「さてさてお次は春雨ちゃんなんですが……どしたんです?すっごいブルー入っちゃってますけど」

 目の前にいる春雨(メイド服装備)が、明らかにどんよりとした空気を背負っている。

「いや、あのですね?私の作ったカレーもチーズたっぷりのカレーなんです……」

 会場内から漂う、あっ…(察し)という空気。まさかのメインにした食材がダダ被りという事態。

「あ~……まぁ、似たような味付けでは無いんだろ?なら大丈夫だ。気にすんな」

「司令官……はいっ!」

 先程までぐずぐず言っていた春雨に笑顔が戻る。美少女に涙は似合わんからな。女は笑顔が一番だ。

「この女誑しめ」

「……ノーコメントで」

 長門型一番艦が向けてくる冷やかな視線をスルーしつつ、俺は画面に目を向けた。



《春雨:トマトチキンとチーズのイタリアンキーマカレー》
※分量2~3人前

(キーマカレー)

・合挽き肉:250g

・玉ねぎ:1/2個

・マッシュルーム:1パック

・にんにく:1片

・ローリエ:1枚

・塩:小さじ1/2

・カレー粉:大さじ2

・オリーブオイル:大さじ1

・ピザ用チーズ:適量(好みの量に調節)

(トマトチキン)

・鶏もも肉:300g(1枚)

・ホールトマト:1缶

・にんにく:1片

・塩:小さじ1/3

・黒胡椒:適量

・オリーブオイル:大さじ1



 まずは付け合わせのトマトチキンから作っていくらしい。鶏もも肉を一口大にカットして塩、胡椒で下味を付けておく。にんにくは包丁の腹を使って潰し、芽を取り除いておく。ホールトマトも煮込み易いように潰しておく。

 フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、にんにくを入れて炒めて香りを出す。そこに鶏肉を入れて強火で焼き目を付け、良い色になったらホールトマトを入れる。蓋をして、たまにかき混ぜながら5分程煮る。

「提督、何で先にトマトチキンを作ってるんでしょうか?」

「さてな。先のお楽しみの方が良いだろ?」

 俺は何となく解ってるがね。トマトチキンが一段落した所で、今度はキーマカレーに取り掛かるようだ。にんにくと玉ねぎはみじん切り、マッシュルームは軸と傘に分けて傘は9等分、軸は4等分にカット。

 トマトチキンとは別のフライパンにオリーブオイルを熱し、にんにくを強火で炒める。香りが出てきたら挽き肉、ローリエを加えて挽き肉をほぐしながら炒める。

「あれ、鶏肉を載せるのに挽き肉も入れるんですか?」

「ありゃあルーの出汁だろうよ。ルーにも肉の旨味が無いと味気無ぇからな」

「成る程、確かに」

 肉の色が変わったら玉ねぎを加え、しんなりするまで更に炒めていく。玉ねぎが炒まったらマッシュルームを加えて炒める。

 マッシュルームにも油が回ったら、トマトチキンのソースを鍋に加えて炒め、馴染んだらカレー粉と塩を加えて味付け。微調整が出来たら仕上げにピザ用チーズを鍋に入れて、江風同様ザッと混ぜたら火を止める。

 ご飯を盛り付け、ルーを掛けたらトマトチキンを載せて完成。



「で……出来上がりですっ!」

 同じくチーズをたっぷり使ったカレーではあるが、仕上がりは別物だなこれは。どれどれ……うん、やっぱトマトとチーズの相性は鉄板だわ。トマトの酸味にチーズの旨味、それにカレーのスパイスの辛味が合わさって良い感じだな。

「これでも十分美味いが……ルッコラとかでソースを作って、上に散らすと苦味もプラスされてもっと良いかもな。イタリアンらしさも更に出るし」

「が……頑張りますっ!」

 更に意気込む春雨に、空回りすんなよ?とは言えなかった。 
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