Three Roses
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第三十三話 落ちる薔薇その二
「どうしても」
「そうだな、では」
「お妃様も」
「したくないが覚悟はしておく」
こう言ったのだった。
「その時のことをな」
「いる理由がなくなれば」
「いることが出来なくなれば」
「その時は仕方ないですね」
「どうしても」
「受け入れるしかない現実もある」
太子の言葉はここでも冷静だった、淡々としたその口調には現実を冷徹なまでに見据えているものがある。
「その時の覚悟もする、だが」
「それでもですね」
「この国から離れようともですね」
「王国とは対立してもらう」
「このことは変わらないですね」
「王国は長年の宿敵だ」
帝国にとってだ、まさに数百年来の。
「両家はな」
「実に忌々しいことに」
「彼等はそうですね」
「異教徒達と王国は」
「長年の敵同士だからこそ」
「この国とは盟友であり続ける」
例え去る様なことになってもというのだ。
「それは変わらない」
「何があろうとも」
「共に王国と戦う国同士ですね」
「だからこそ手を結び続けていく」
「このことは普遍ですね」
「変えることはない」
太子はこのことも淡々として述べた。
「それこそ王国が崩壊でもしない限りだ」
「あの国もまた強いです」
「伊達に大陸第二の国ではありません」
「その国力は高く」
「王権も強いですね」
「今は内戦だが王が勝つ」
太子は王国の内戦についても言及した、この内戦は十年以上続き王国を荒廃させ続けていることは事実だ。
「そして諸侯はさらに力を弱める」
「内戦で敗れ」
「王の前にひれ伏す」
「そうなってですね」
「あの国の王権はさらに強まり」
「諸侯の力は弱まりますか」
「それからまた動く」
王権をさらに強めた王を軸としてといいいうのだ。
「あの国はな」
「我々に対してもですね」
「そうしていきますね」
「やがては」
「そうなっていきますね」
「そうだ、異教徒の帝国とも手を結んでだ」
王国にとっての伝統政策、それを行うというのだ。
「我々にも向かって来る」
「その王国に対する為にも」
「是非にですね」
「この国とは手を結んでいく」
「そしていきますね」
「この外交方針は変わらない、王国に後ろから刺されるつもりはない」
異教徒達と対しているそこにというのだ。
「いいな、これからもだ」
「わかりました」
「ではこの国を去りましても」
「この国とは手を結んでいきましょう」
「必ず」
側近達も応える、そうしてだった。
太子と彼等はマイラに何かあった時のことを想定しはじめた、そのうえでこれからのことを考えていた。この国への外交を。
マイラの体調についてだ、マリーも彼女の側近達に応えた。
「覚悟しなくてはいけないでしょうか」
「近頃政治の場に出られることもです」
「めっきり減ってきています」
「殆ど床におられるとか」
「その様ですね」
「それではです」
最早とだ、マリーは暗い顔で言った。
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