Three Roses
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第三十二話 太子の焦燥その十三
「余もわかっている、だが」
「夜はですね」
「何としても」
「共にいたい、まだからだ」
それ故にというのだ。
「何としてもだ」
「元気になって頂く」
「そうして頂くのですね」
「霊薬はあるだけ取り寄せる」
妃の為、そしてロートリンゲン家の為にだ。
「生きていてもらう」
「はい、では」
「お願いします」
「それは卿等にとってもいいことの筈だ」
太子はマイラの側近である二人を見据えて問うた。
「その通りだな」
「はい、旧教の為に」
「この国の旧教の為に」
二人も毅然として答えた。
「やはりです」
「マイラ様には長く生きていて頂きたいです」
「そして何としてもです」
「お子を」
「そうだな、だから私もだ」
何としてもだ、太子は答えた。
「妃には生きていてもらい」
「やがてはお子を」
「もうけて頂きますか」
「その子がこの国の主となるのだ」
旧教、そしてロートリンゲン家の者としてだ。
「そうなってもらう、ではいいな」
「わかりました、それでは」
「お願いします」
「妃に生きてもらう為には」
是非にとだ、太子は実際に霊薬をさらに集めてだった。そうしてマイラに飲ませていった。しかしそれでもマイラは日増しに衰えていっていた。
第三十二話 完
2016・11・19
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