Three Roses
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第三十二話 太子の焦燥その二
「最早な」
「諦めて、ですね」
「こちらは静観としますか」
「あの方のご婚姻のことは」
「そうされますか」
「結果としてそうなるなら仕方がない」
こう言うのだった。
「我々の出来ることを越えているか離れているならな」
「どうしてもですか」
「諦めるしかない」
「そうなのですね」
「どうしても」
「諦めることも政治だ」
太子はこのことは無表情で言った。
「そしてそのうえでことを進めることだ」
「そのこともですね」
「大事なのですね」
「政治として」
「そういうものですね」
「そうだ、だから私はこの件もだ」
まさにというのだ。
「諦めるしかないのならだ」
「諦めて、ですか」
「次のことに移る」
「それはそれとして」
「動かれるのですね」
「そうだ、そうしていく」
この政治における考えを言うのだった。
「諦めず最後までやることも時として重要だが」
「それでも意味がないのなら」
「そう判断したならですね」
「諦めてそして」
「別のやり方で動く」
「そうされますか」
「そうする、今度もだ」
こう言ってだ、太子はマリーの婚姻については諦めなければならない場合を考えそしてその場合にどう動くかも考えていた。
そうしてだ、そのうえで側近達にこうも言った。
「それで今度は儀礼だな」
「はい、王室の」
「王室の儀礼ですね」
「それがどうなるか」
「その話になっていますね」
「新教の国になっているのだ」
それならというのだ。
「ならばわかるな」
「はい、新教のですね」
「新教の儀礼になりますね」
「そうなってですね」
「完全に新教のものになりますか」
「引き分けが大きかった」
論戦のそれがというのだ。
「我々はあの論戦で勝たねばならなかった」
「そうですね、絶対に」
「そうしないといけなかったですね」
「しかし引き分けてしまった」
「だからですね」
「結果としてこの度定める儀礼にもですね」
「影響している」
太子は感情は押し殺していたが苦いものをその中に感じていた、そしてそのうえで自身の側近達に話した。既に呼んでいた学者達には帰ってもらって彼等だけになっている。
「そう思うと残念だ、だが」
「はい、まだですね」
「挽回は出来ますね」
「我々には余力があります」
「ですから」
「ここは諦める場ではない」
こう指摘した。
「マリー王女の婚姻とは違う」
「そこは、ですね」
「諦める状況ではなく」
「諦めていいものでもない」
「だからですね」
「ここは諦めずにですね」
「ことに向かう」
そうするというのだ。
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