Guardian × Spyker
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序章
始まり
「ハァァァァァ!」
相手の打ったボールが飛んでくる。
スパイクも出来ない。
サーブだって出来ない。
ブロックだって出来ない。
でも。
俺はこのチームを守る。
『バァン!』
比嘉がレシーブしたボールが上に上がる。
「ナイス。比嘉!」
俺は、このチームを守る!
最初は、『憧れ』だった。
でも今は皆と叶えた、現実だ。
始まりは、あの日。
中学校入学直後だった。
「はいっ!」
背の高い女の人がボールを上げる。
『バァン!』
それをもう一人が掌で打つ。
打たれたボールは、ネットを越え、奥の壁に『バチン』と音をたててぶつかる。
「カッコいい」
正直な一言だった。
放課後、入りたい部活も決まらず、フラフラ体育館にやって来た『比嘉(ひが) 隼人(はやと)』は、バレー部の活動を見て、感動していた。
俺、この部活入りたい!
比嘉は、一度決めてしまえば早いタイプ。
体育館を出て、走って職員室に向かう。
「先生!」
職員室の扉を乱雑に開け、叫ぶ比嘉。
「どうした?比嘉くん」
担任の西口先生が、めんどくさそうに近寄ってくる。
「ハァハァ……俺っ!」
比嘉は、走って苦しい胸を押さえながらも、先生を真っ直ぐに見つめた。
「俺っ!バレー部入りたいです!」
「アハハハ…」
比嘉の告げた言葉に、少し呆れたように笑う西口先生。
比嘉が不思議そうに見つめていると、西口先生がそれに気づき、比嘉に一言告げる。
「この学校のバレー部は、女子バレー部しかないんだよ」
ポカンと口を開けた比嘉と、西口先生の見つめ合いがしばらく続く。
その沈黙を崩したのは、後ろで叫ぶある男子生徒だった。
「嘘だろ!?」
驚いて後ろを振り向く比嘉の前には、ある男子生徒『木田(きだ) 啓二(けいじ)』が先生を睨んでいる。
とても身長が高く、平均的な身長の西口先生よりも遥かに高い。
そんな身長に驚く比嘉を無視して、木田は続ける。
「バレー部無いって!嘘だろ!」
「嘘じゃないんだよ。すまないね」
「………失礼します」
先生を責めても仕方無いと思ったのか、木田は少しうつ向いた後職員室を出ていった。
「俺も!」
去っていく木田の後ろ姿を見つめながら、一言先生に伝え職員室を後にした比嘉は「待てよ!」と叫びながら、木田を追って走る。
それに気づいたのか、木田は歩みを止め振り返る。
「何んだ?」
疲れて息切れしている比嘉を気にしながらも、木田は首を傾げ質問する。
「お前、バレー部入りたかったんだよな!」
「あ、あぁ」
「じゃあ、俺と一緒に高校行ってバレー部入るぞ!」
「え?」
比嘉の唐突な誘いに、驚きを隠せない木田。
「それまで中学校は、放課後は二人で特訓するぞ!」
「………」
暫く木田は考え、比嘉の方をパッと向く。
「乗った!」
『パン!』
二人でハイタッチをし、笑い会う。ハイタッチと言っても、木田は比嘉より遥かに背が高いので、屈みながらではあるが。
二人は窓から見える体育館に視線を移した。
こうして、二人の夢は始まった。
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