| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Three Roses

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十話 論戦に向けて五

「そう言われてです」
「異端審問も止められましたし」
「そのことを見てです」
「我々もですね」
「考えを変えました」
「まさに」
 そうなったというのだ。
「大きなことでした」
「あの方が来られたことは」
「旧教は頑迷ではなく」
「柔軟でありますね」
「教皇庁の考えとは違い」
「新教を認めてもいい」 
 帝国の考えである。
「そこに至るまで帝国でも騒動がありましたが」
「それを乗り越えてです」
「新教も認めた結果」
「あの様なお考えに至りました」
 太子にしてもだ。
「旧教の優位を守りつつ新教も認める」
「彼等の生み出す利は国庫に入れる」
「そうしていけばいい」
「左様ですね」
「我が国においても」
「そうしていけばいいですね」
 二人で旧教、この国のそれのあり方についても話していった。そしてオズワルド公は司教にこうしたことも言った。
「では我々は」
「はい、太子のお言葉に従い」
「この国を旧教に戻し」
「そのうえで」
 司教も言うのだった。
「四国も再統一し」
「はい、一つの国に戻り」
「そしてそのうえで」
「王国に当たりましょう」
「次の王は」
 オズワルド公はこの話もした。
「やはりですね」
「はい、太子とマイラ様のお子を」
「何としてもつけましょう」
「必ず」
 こう二人で話すのだった、彼等は完全に旧教徒として考えていた。そして太子もそれは同じであったが。
 彼はこの日も側近達と話していた、この日の話はというと。
「本国の父上から文が来た」
「皇帝からですか」
「直々にですか」
「この国と周辺の三国を一つにしてだ」
 そのうえでというのだ。
「あらためてだ」
「はい、帝国にですね」
「入れよというのですね」
「お妃さ様との間にお子をもうけ」
「そのうえで」
「そう書いてあった」 
 皇帝からの手紙にはというのだ。
「そうして四国を全てロートリンゲン家のものにしてだ」
「王国にあたる」
「あの国にですね」
「そうせよとですね」
「皇帝から直々にですか」
「書いてあった、無論私にしてもだ」
 文を受け取った太子にしてもというのだ。
「やはりだ」
「そのおつもりですね」
「この国、周辺諸国もロートリンゲン家のものとする」
「統合したうえで」
「そのうえで」
「当然だ、だからこそこの国に来たのだ」
 マイラの夫としてだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧