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Blue Rose

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第三十九話 認識その九

「残念ながら」
「そして長崎も」
「特に公立ですと」
「私立の様に教師を選べないので」
「しかも公務員になりますので」
 公務員であるが組合を持てる、このこと自体もおかしなことだ。
「ですから」
「容易に退職にもですね」
「出来ないので、そのせいで」
「そうした先生がいるのですね」
「そうです、妹さんは今は公立の学校ですね」
「はい」
 その通りだとだ、優子は院長に答えた。
「療養所で紹介してもらった」
「そうですね、では」
「余計にですね」
「危険です」
 真剣に心配している顔だった、今の院長のそれは。
「その先生にはくれぐれもです」
「妹にですね」
「気をつける様に言って下さい、そして」
 院長は優子にさらに話した。
「若し本当に危なくなれば」
「その時は」
「はい、私から八条家の方々にお話します」
 八条病院も経営している世界的な企業グループの経営家だ。かつては財閥であり今もかなりの資産と力を有しているのだ。
「ですから」
「いざという時は」
「何としても妹さんをお護りします」
「そうしてくれるのですか」
「妹さんは特殊な事情で今に至ります」
 性転換、自然と身体がそうなったというのだ。
「そうした方なので」
「何かあれば」
「はい、患者の個人情報なら」
 それはというのだ。
「守ることは医師の義務なので」
「今もですか」
「今も変わりません」
 微笑んでの言葉だった。
「そのことは、だからです」
「妹を守って頂けますか」
「何かあれば」
「有り難うございます。ですが」 
 優子は院長の好意を受けた、だがすぐにこう返したのだった。
「ですがまずは」
「貴女ご自身がですね」
「はい」
 院長にはっきりとした声で答えた。
「守ります、それに妹の友達もいます」
「親友の方がですね」
「はい、彼もいますので」
 龍馬、彼がというのだ。
「ですから」
「まずは、ですか」
「私達で」
 こう言うのだった。
「何としても妹を守ります」
「そのおつもりなのですね」
「お気持ちは有り難いですが」
 だがそれでもというのだ。
「まずは」
「ご自身で、ですか」
「人に頼っては何も出来ない」
「自分で全力を尽くす」
「そうしないといけないので」
「こうしたこともですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そう考えていますので」
「その通りですね、では」
「はい、そうさせて頂きます」
 優子の言葉は今は非常に強いものだった。 
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