Blue Rose
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第三十九話 認識その八
「色々と持ってるからな」
「個人情報を」
「だからな」
「俺達は強いんですね」
「そうだ、俺達には力があるんだ」
鍛冶元の言葉はそれを完全に自覚しているものだった。
「じゃあいいな」
「はい、その力を使って」
「やりたいことをやるんだ」
それこそというのだ。
「それが人生ってやつだ」
「その通りですな」
「今飲んでる酒の金だってな」
「その力があるからですしね」
「出してもらってるからな」
「ですね、個人情報売って」
「そうしてだからな」
犯罪で得た金で飲んでいるというのだ、要するに。
「こうして飲めるんだ」
「高くて美味い酒を」
「そうさ、それでな」
「ええ、それじゃあ」
「その娘俺にも回してくれよ」
下卑た顔で衝夫を見つつだ、鍛冶元は言った。
「それならだ」
「調べてくれますか」
「何かとな、ただどの療養所か」
「そこからですね」
「調べるか、長崎だろうな」
「ちょっとどの療養所かは俺が調べます」
衝夫の方でというのだ。
「それからですね」
「俺が調べるな」
「それでお願いします」
「女子高生手篭めにするのもいいものだ」
やはり下卑た笑みで言う鍛冶元だった、衝夫共々見れば見るだけ餓鬼を思わせる笑みである。そしてだった。
その笑みを浮かべている者同士で楽しく飲む、同じ頃優子は院長に誘われて共に居酒屋で飲んでいたが。
店の二人用の席でだ、優子は院長にこんなことを言われた。
「妹さんはお元気ですか」
「はい」
静かな返事でだ、優子は答えた。
「先日長崎で会いました」
「あちらまで行かれたのですか」
「そのうえで会って」
カルピスチューハイを飲みつつだ、優子は院長に答えた。
「二人で長崎を楽しんできました」
「それは何よりです」
院長は白ワインを飲みつつ笑顔で応えた、テーブルの上には枝豆や烏賊の姿焼きそれに冷奴に焼き鳥がある。そうしたものを肴に飲んでいるのだ。
その冷奴も食べてからだ、院長は優子にまた言った。
「妹さんがお元気でしたら」
「学校の生活も楽しい様です」
「お友達も出来て」
「その様です」
「そうですか、いじめ等は」
「それはない様でお友達も出来ている様ですが」
優子は枝豆を食べつつ院長に話した。
「どうも学校におかしな先生がいるらしくて」
「おかしな、そういえば」
院長は優子の今の言葉にすぐに気付いた、その気付いたことはというと。
「長崎は原爆が落とされた関係で」
「そのせいで、ですか」
「はい、あの県も日教組の力が強いかも知れません」
「そうですか」
「はい、ですから」
「おかしな先生がいますか」
「これを言うと関西全域がそうですね」
実は関西の府県はそれぞれが持っている事情の為日教組の力が強いのだ。日教組は教師の権利と主張を守る極左的な組織であり思想的に偏向している教師やおかしな行動を取る教師が構成員であれば組合員として庇うのだ。その為おかしな教師が多い傾向にあるようだ。
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