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おれを悪質ユーザー扱いしているのか
厭な予感というのは、当たるものである。
数日前、借りていたイラストを前以て消しておいたように、今回も対策は取ってある。
ブログにも同じように、全ての経緯を綴っておく。
そうすれば、これが消されても、声は残る。
メールにはさらに、
「アドレス流出被害者の中に悪質ユーザーがいる」
と、これもまた驚きの言葉が刻まれていた。
自分のサイトのユーザーを――しかも、アドレスが流出した44名の被害者の中に、悪者がいると断言したのだ。
「シン様はご存じでしょう」
と……。
これほど頭にくる言葉も、呆れかえる言葉もなかった。
バッドノベルスの運営は、暗におれがその悪質ユーザーである、と言っているのだ。
システムに攻撃を加えたり、風評被害をばらまいているのは『シン』であると。
これは歴とした侮辱罪である。
犯罪行為だ。
――何を言っているんだ、この人は……。
おれがシステム攻撃をしていないことや、する知識を持たないことは、警察が調べればすぐに判ることである。もちろん、その痕跡がないことも明白だ。
風評被害などばらまいたこともない。
○chを見に行くことはあるが、未だに書き込み方はおろか、どこから書き込むのかすら考えたこともない。
第一、おれは、個人アドレス流出の件も、いきなり公の場に持ち出したのではない。
その前には半月以上にも渡って、運営に訴えを続けていたのだ。
早急に対応をして欲しい、と。
対応してもらえないのなら、おれが自分で呼びかけるしかない、と。
それでも対応してくれなかったのは、理不尽にもおれを抹消した運営の方なのだ。
それが……。
――もう遠慮は要らない。
そう思った。
胸を張って言えるが、おれは今まで正々堂々と運営に意見して来た。
陰でコソコソとやったことは一度もない。
もちろんそれが、
「シン様は多くの不満をお持ちでしょう」
という、運営のメールの言葉になるのかも知れないが。
裏を返せば、今までおれは、そうやって直接意見を言って来た、ということだ。風評被害などばらまかず、いかなる時もサイトの問い合わせ欄を使って。
そのおれを犯罪者扱いし、挙句の果てにバッドノベルスのアカウントを停止したのだ。
はっきりと言ってやろう。
「利用規約上、あなたは理由の如何を問わず、シンをサイトから消すことが出来る。だが、それは社会人としてしてはならないことであり、あなたのしたことは間違っている。今後、あなたがしなくてはならないことは、謝罪と、誠実な対応だ」
「シンと深く話したい……」
そんな一文も書いてあった。
それもまた、矛盾に満ちた言葉である。
話しをしたいのなら、何故、おれが問い合わせた時に、真摯に対応してくれなかったのだ。
今まで何度も何度も問い合わせて来たというのに、返事もまともに返らなかった。
そして今も、バッドノベルスの外に放り出され、かみ合わないやり取りを、お互いの舞台で言い合っているだけだ。――いや、それからも逃げている。
それは、バッドノベルスに立ちあがった、運営の『バッドノベルスよりお知らせ』を見れば明らかである。
「シンがアドレスの流出を公表したせいで、被害が広がる可能性があるので、シンのアカウントを停止した」
そんな馬鹿げた言い訳を載せた上に、それに対して、シンを擁護するコメントが入ると、あっと言う間にコメント欄を削除してしまった。
おれの登録を削除した時と同じである。
自分に都合の悪いものは、人目につかない内に消してしまう。それがバッドノベルス運営のやり方なのだ。
吐きそうになった。
めまいがするほどの気分の悪さだった。
だが、おれにはすることがある。
おれを擁護してくれた方のためにも、この問題を放っておくことは出来ない。
何としても、解決の方向へと持って行かなくては――。
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