世界をめぐる、銀白の翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのはStrikerS ~機動六課、出陣~
「全員、集合や」
はやてが一同を集める。
すでに地上ではゆりかごから射出されたガジェットと、地上部隊の魔導師が交戦を始め、市民の避難誘導を進めている。
モニターには廃墟と化した地上本部に向かうレプリカナンバーズ、ゆりかご、スカリエッティアジトの様子が映っていた。
「現状、潰さんとならんのはこの三つや」
「おそらく一カ所に一体ずつ、「奴」の使役獣がいる」
「それに対してこっちはこの人数だし、高度なAMF戦が出来る魔導師は多くないから、各部署に協力していく事になるね」
「私はアコース査察官、シスターシャッハと一緒にスカリエッティのアジト。シグナムは地上本部で待機。他の隊長格はゆりかご。そして」
「地上本部に向かうナンバーズもどきはフォワードに向かって貰うつもりや。みんな、大丈夫か?」
はやての決定に、皆が首肯して了承する。
しかしそれでも、フォワード陣の表情は重く暗い。
彼らのとって、最初の大勝負。本気で本当の一本勝負なのだ。
負ければすべて終わる。
そのプレッシャーはいかほどのものか。
さらにエリオとキャロは保護者であるフェイトが、部隊からは単身で、スカリエッティのアジトに向かうこともあって不安も大きい。
それを汲んでか、スターズとライトニングでそれぞれ新人たちを激励していって、ヘリへと送る。
「舜君からも何かない?」
と、そこでなのはが蒔風に声をかけた。
蒔風はお前らで充分だろ、と言うが、気付いたらフォワードたちの視線が蒔風に向いていた。
もう完全に何か言葉をもらうつもりだ。
それを見て、蒔風が適当にため息をつき、それからフォワードの前に立つ。
「じゃあ・・・まずティアナ!」
「はい!」
「お前はなのはみたいに膨大な魔力量があるわけでも、派手な大技があるわけでもない」
「はい・・・・」
「強く打たれれば崩れ落ちるし、一人になったら敗率は一気に跳ね上がる」
「はい・・・・(泣)」
「だが、だからこそ。お前の魂は強い。師匠譲りの不屈の魂がある。どんな状況でもあきらめず、立ち上がる強さがある。そこから這い上がってきたお前の心は、何よりも打たれ強くなっている」
「あ・・・・・」
「強き信念。優れた頭脳。見せてやれ。ランスターの弾丸を」
「はい!!」
「次、スバル」
「はい」
「今までの人生、簡単にでいいから振り返ってみろ」
「・・・・はい」
「どうだった?」
「・・・・辛かったし、大変でした。悲しいことも、苦しいこともたくさん。楽な人生じゃなかったと・・・思います。でも」
「でも?」
「私は、スバル・ナカジマは、今までの人生を嫌だったとは言いません。とても楽しく、幸せなものだと、胸を張って言えます。そして、これから先も、ずっとずっと」
「うん、そうだ。あそこを走っているのは「兵器」としてのチンクたちだ。だが「兵器」は「人間」の道具。だったら・・・」
「だったら、私たちが道具に負けるはずない!!ですよね!!!」
「その通り!!お前がなのはからもらったのは、貫く力。敵も障害もぶち抜いて、その先の道を切り開く力だ」
「はい!!」
「ぶち抜いてこい!!スバル・ナカジマ!!その先に、一直線に進め!!お前の魔法は、それほどに強い!!」
「はい!!!」
「で、キャロ」
「は、はい」
「力は怖いか?」
「はい・・・・・」
「でも、必要な力だ」
「・・・・・・」
「気落ちすんなよ。お前の力は、誰かを守る力。キャロの使う魔法は、ここにいる奴らの中でも、誰よりも優しい」
「舜さん・・・・」
「その優しさは、フェイトからもらった大切なものだろう?だったら、あの子を救って、証明してくれ。キャロが受け継いで得てきた力は、決して脅威などではなく、頼もしいものであるということを」
「はい!!」
「んで・・・・・終わりか」
「ちょっとぉ!?」
「はっはっはっは!!じょーだんですよエリオ君。お前には正直、感謝してもしきれないからな」
「え?」
「俺を立ち直らせてくれたのはお前の言葉だった。お前の言葉は、世界最強ですらも救う力がある。大丈夫だ、エリオ・モンディアル。お前は確かに作られた命だが、お前をここまで形作ってきたものは、お前自身のものなんだから」
「え?う、うあ、舜さん?」
蒔風が膝を折り、エリオと目線を合わせて言った。
「お前の速さは、どんなところに誰がいても、すぐに駆けつけられるものだ。お前を育ててくれた人から、教えてもらったその速さで、キャロを守り、ルーテシアを救ってやれ」
「はい!!わかりました!!!」
「気合い入れてけよお前ら!!あんな瓦礫の本部に何があるのかは知らないが、向かってる以上何かある。本部には最終防衛ラインでシグナムとリィンが張っているが、そんなものはいないと思え!!」
「はい!!」
「お前らの信念で!!!叩き潰してこい!!!」
「「「「了解!!!」」」」
「では諸君!!準備は整ったな?そろそろ俺たちは降下ポイントだ。ティアナ、エリオ。こいつらを預けておく」
そういって蒔風がティアナに朱雀を、エリオに白虎を刀剣状態で預ける。
「おそらく、そっちがキツさではかなりものになるはずだ。任せたぞ」
「「はい」」
そうして、準備が整った。
降下ポイントにつき、蒔風も隊長陣と主にアースラの降下ハッチから飛び降りていく。
空に飛び出し、雲を突き抜けながら落ちていっていると、背後ではフォワードの乗ったヘリが地上本部へと向かうレプリカたちに先回りし、シグナムとリィンは単身で本部に直行した。
そして、空中に四つの光が灯る。
なのは、フェイト、はやて、ヴィータの四人がバリアジャケットを展開し、セットアップして蒔風と共に現場に向かっていった。
「俺マジ飛べるようになってよかったわ」
「うちらはこのままゆりかごに、フェイトちゃんはアジトのほうに直行や」
「フェイト、お前には玄武を預けておく。なんか出たらすぐに使え」
「わかった。でも舜の方が・・・・」
そう、このままでは蒔風の手持ちがなくなる。
獅子天麟は剣として問題ないが、召喚はできない状態だ。
だからフェイトは聞いた。
手持ちは青龍のみ。しかも、「奴」まで出てくるかもしれない状況で、大丈夫なのかと。
「大丈夫だ。こっちにはなのはにヴィータがいるし、ゆりかごの外ではやてが指揮をとってくれるから無視できる。問題はない。お前のほうも、リミッター外すときはしっかり俺さん特製プログラム使えよ?」
「わかってるよ。なのはも!!無茶はしないでね!!!」
「フェイトちゃんも!!舜君のシステムがあるからって、やりすぎはだめだよ!!」
「それはなのはもだよ!じゃあ、そろそろ行くね!!」
「頑張ってこい!!あの野郎は一発ぶん殴ってやるからな!!」
「あはは!!じゃあ!!!」
そしてフェイトが森の中へと向かっていく。
向かうは宿敵、ジェイル・スカリエッティのアジト内。
決着を着けるために、金色の魔道士は飛んで行った。
「さて・・・・あれか」
そして見えてきた「聖王のゆりかご」
すでに戦闘は始まっており、航空武装隊とゆりかごを取り巻くガジェットの激しい交戦が行われていた。
その下にはすでに交戦し、落とされた戦艦が二、三隻程あった。
「AMFのせいでみんな十分な戦いが出来とらん。しかも、情報だとゆりかごは少しずつ上昇して、数時間後には衛星軌道上に乗って二つの月の魔力を受けることになっとる」
「調べてくれたユーノ君によると、そうなったらもう完璧な防御力を誇る無敵の戦艦になるそうだよ」
「無敵の戦艦・・・・・か。それはまずいな」
「その前にあたしたちでぶっ潰す!!!」
「いくで!!みんな!!!!」
「「「応!!!!」」」
------------------------------------------------------------
「とは言ったもののッ!!!」
「はやて!!数が多すぎるよ!!!」
航空隊に合流し、ガジェットを落としていくなのは達。
しかし、一体どれだけの貯蓄があると言うのか、ゆりかごの周囲を飛び回るその機影は一向に減らず、こちらの数が減って行くばかりである。
「皆、ここが踏ん張りどころや!!!数が減れば、ゆりかごからガジェットが射出される!!そこからなのはちゃんたちは内部に突入、ヴィヴィオの救出と、動力炉の破壊や!!」
「ならばそのガジェットの数減らし、俺が承る!!!」
はやての言葉に蒔風が飛び出し、なのはに魔法陣での足場を頼む。
そして現れた桜色の魔法陣に、両足を広く取って構える蒔風。
そして数秒、息を深く取り、力を練り込み、そこから一気に真上にジャンプし、回転しながら敵に向かい、右の拳を突き出した。
「打・滅・星!!音割!!!」
ドカッ!!ギイィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイン!!!!
打ち据えられた巨大な球体型のガジェットⅢ型に、蒔風の拳が命中する。
そのⅢ型自体は、当初全くの無傷だった。
しかし、殴られた衝撃が機体を振るわせ、その振動は空気を伝って周りに存在するガジェットへと共振して行った。
その衝撃に内部構造から攻撃され、次々とガジェットが墜ちていく。
「今や!!!どっかから噴出口があるはずや!!」
はやての指示に、目を皿にして探す三人。
「見つかって・・・どこに・・・・・・!!!はやてちゃん!!あそこ!!!」
「どこや!?・・・・なるほどな。見つけたで!!私はこのままここで指揮を執る!!三人はゆりかご内部に突入!!」
「「「了解!!」」」
「アースラはゆりかごから離れて、衛星軌道上の戦艦隊に合流や!!」
『了解です』
「ほないくで・・・・・こっからがクライマックスや!!!!!」
to be continued
後書き
アリス
「次回、フォワードの戦い」
ではまた次回
数の子戦隊、ナンバーズ!!!!(ドーーン!!!)
スピンオフでやってくんないかなぁ
ページ上へ戻る