| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Three Roses

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十八話 再会した薔薇達その七

「これは古の帝国が東西に分かれた為で」
「我々はあくまで王」
「このことは変わりません」
 それこそ決して、というのだ。
「王は王なのですから」
「二つの王家は大公家となりますね」
「公爵の上の」
 そして王のすぐ下となる。
「そうした家ですね」
「そうなります」
「四国はまた一つになりますが」 
 ロドネイ公もマリーに応えて言う。
「しかし」
「そこにあるものはですね」
「旧教ではなく新教です」
 この集はになるというのだ。
「あくまで」
「両国でも新教徒が増えていますし」
「帝国の考えでは」
「国はまとまりませんね」
「間違いなく巻き返しに出ますが」 
 それでもというのだ。
「それを防ぎ」
「新教の下に四国を一つにする」
「そうしていくべきなのです」
「武力を使って来ると思っていましたが」
 キャスリング卿は武人の面を見せた、財政家のそれではなく。
「そうはしてきませんでしたね」
「そうですね、論戦です」
「それを挑まれるおつもりとは」
「そして新教を論戦で破り」
「旧教の優位を保とうとするとは」
「想像以上の切れ者ですね」
「まさに」
 キャスリング卿も言う、彼にしても太子の動きは予想していなかった。もっと言えば予想以上のものであった。
 そしてだ、マリーは四人にあらためて述べた。
「我々も論戦の用意を進めていきましょう」
「新教を学び」
「そして旧教も学ぶ」
「そうしていきますか」
「我々は」
「是非です、しかしここは」
 こう言ったのだった、側近達に。
「分けることが理想です」
「旧教を抑えない」
「自然と優位になっていますし」
「勝つのではなく、ですね」
「分けるのですね」
「そうしていくべきと考えています」
 まさにというのだ。
「前にも言いましたが、ですが太子はあくまで旧教が第一ですね」
「帝国の後継者だけありますね」
「やはり信仰は旧教です」
「教皇庁と対立し新教を認めておられても」
「それでもですね」
「旧教の方です」
 このことは揺るがないというのだ。
「あくまで」
「だからこそ旧教でまとめようとされる」
「信仰はそちらとですね」
「考えておられますね」
「その様に」
「そうです、ロートリンゲン家は」
 太子がいるこの家はというと。
「旧教の守護者であるのですから」
「新教の優位にはさせない」
「必ず論戦でも破ろうとしてきますね」
「必ず」
「このことは覚えておくべきですね」
「そうです、勝たねばならないと考えている相手です」
 自分達の相手はというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧