初詣
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第十一章
「運動不足になるわよ」
「昔だよ、運動不足は」
「歩いたらいいのに」
「だから寒いから」
「そんなのじゃ足腰弱くなるわよ」
「それでも寒いから」
「寒い寒いって。全く」
彩加はコタツの中の蜜柑を取りつつ言った。
「どうしようもないんだから」
「そう言うけれどね」
「寒い寒いじゃないの」
兄の小さな目を見ての言葉だ。
「ちょっとは運動もする」
「今度はそう言うんだ」
「運動不足も健康によくないのよ」
「それは僕も知ってるけれど」
「今年もやれやれになりそうね」
蜜柑の袋を口の中に入れてだ、兄にまた話した。
「お兄ちゃんについては」
「やれやれなんだ」
「そうよ、もっと健康的にならないと」
「駄目っていうんだ」
「そうよ、そのうちいい人も見付けて」
結婚相手のことも話すのだった。
「幸せになってね」
「結婚ねえ」
「考えてないでしょ」
「そうしたことは」
「そういうことも考えていかないと」
こう言うのだった。
「いいわね」
「ううん、じゃあ」
「ただ科学者としてだけでなくて」
「そうしたこともなんだね」
「やっていくのよ」
「今年は」
「神様にお兄ちゃんのこともお願いしてきたから」
彩加は兄にこのことも話した。
「頑張るのよ」
「僕のこともお願いしてきたんだ」
「そう、だからね」
「今年はそういうこともだね」
「頑張ってね、いいわね」
「うん、わかったよ」
耕太は妹の気遣いに感謝しつつだ、そうして頷いた。そのうえで今年はそうしたことも頑張ろうと思った。それでこう妹に言ったのだった。
「今からご近所の神社にお参りしてくるよ」
「じゃあね」
「帰りにコンビニでワイン買って来るよ」
「それをおとそにするのね」
「そうするよ」
こう言ってどてらを着てだった、耕太は部屋を出てだ。自分も参拝に行ったのだった。
初詣 完
2016・12・30
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