提督はBarにいる。
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缶詰メシを極めろ!・その2
さて、コンビーフ料理3品の2品目。実はコンビーフ和食にも使えるんだぞ、という驚きのレシピをご紹介。
《染み染み!コンビーフの袋煮》
・コンビーフ:1缶(80g)
・じゃがいも:小1個(100g)
・長ねぎ:100g
・片栗粉:大さじ1
・油揚げ:2枚
【煮汁】
・だし汁:200cc
・酒:大さじ1
・みりん:大さじ1
・醤油:大さじ1/2
・砂糖:小さじ1
さて、作っていこう。まずは袋に詰めるコンビーフだねから。じゃがいもは7~8mm角位で角切りに。じゃがいもだとホクホクした食感と食べ応えが出るが、勿論他の物でもOKだ。正月明け辺りなら余った餅なんかオススメだな、煮込まれてトロットロになった餅と、塩気の強いコンビーフが絡まって……ヤバい、想像したら涎出てきた。
長ねぎは斜め薄切りにして、ボウルにコンビーフを入れたらフォーク等でほぐしつつ、じゃがいも、長ねぎ、片栗粉と混ぜ合わせていく。面倒だったら手でやっても大丈夫だぞ。下味は付けなくても、コンビーフが十分な味付けをしてあるから問題ない。
お次は鍋に煮汁の材料を全て入れ、温める。その間に油揚げを半分に切って袋を作り、コンビーフだね4等分にして詰める。中身が出ないように楊枝で口を閉じるのだが、手間を惜しまない人なら戻したかんぴょうなんかで結んで巾着にしても良いだろう。
さて、袋が出来たら煮込んで行くぞ。煮汁が沸騰して来たら袋を入れ、煮詰める意味も混めて蓋をずらして乗せて7~8分。火加減は弱めの中火位が調度良いだろう。時々、蓋を開けて袋に煮汁をかけてやるのも忘れずにな。
「ん~……巾着だけだと味気ねぇな」
「ねぇねぇ提督さん、一緒に茄子を煮たらどうかなぁ?」
お、ニムのナイスアイデア。付け合わせに何か野菜を一品……と思っていたが、一緒に茄子を煮てやれば一石二鳥か。
「煮込んでトロトロの茄子は美味ぇからなぁ。よし、それでいこう」
煮込んでいる間に茄子を切っておく。表面をよく洗い、ヘタを取ったら縦に8つ位に割る。あんまり細かく切ると、煮込んでトロトロになった時に逆に食べにくいからな。
7~8分煮込んだ鍋の中身を少し寄せてスペースを作り、切った茄子を入れる。再び蓋をずらして乗せ、同じ火加減で4~5分煮込んでいく。茄子に火が通ってクタクタになったら完成。器に盛り、お好みで練り辛子を添えて。
「はいお待ち、『コンビーフの袋煮』だよ」
ゴクリ、と喉を鳴らす音が聞こえる。もう我慢出来ないとでも言わんばかりにニムがかぶりつく。薄い油揚げの中に潜んでいるのは、甘辛い煮汁を吸ったコンビーフと、その牛の旨味と塩気、甘辛い煮汁の3つを取り込んだじゃがいも。ほろほろ崩れる肉とホクホクの芋のコンビネーションは、まず間違いない。
「ふわああぁ~美味しいぃ~っ!」
ニムが頬を紅潮させて悲鳴を上げる。勿論これが白飯に合わない訳が有るだろうか?……いや、無いと断言させてもらう。最初は普通にかぶりつき、お次は辛子をちょいと付けて。口の中にたっぷりと味を残しておき、白飯をかっこむ。それはもう至福の時だ。
「提督~っ!アタシにもおくれよぉ、見てるだけなんて拷問だよこれぇ!」
そう来ると思って2人前仕込んでおいたんだ。隼鷹の分も持ってやると、大きく口を開けてかぶりつく。少しはしたなく見えるが構うものか、という勢いを感じる。ニムはと言えば、付け合わせの茄子をかじって身悶えしている。甘辛い煮汁とコンビーフから染み出した肉の旨味を吸い込んでトロットロになった茄子。これだけでもご馳走だ。そしてニムは茄子を完食すると、残った巾着をご飯に乗せ、煮汁を上からかけた。猫まんまとは……不味い訳が無いじゃないか、ほぼ反則に近いぞそれは。巾着を崩し、煮汁と共にご飯と混ぜて口に運ぶ。ニムの表情はほわほわと綻んでいる。本当に幸せそうに食うなぁ、この娘。さてと、喜んでもらっている間に、3品目に取りかかるとしますかね。
《パリパリ!コンビーフピザ》
・コンビーフ:1缶
・マヨネーズ:大さじ2
・ケチャップ:大さじ3
・辛子:小さじ2
・オリーブオイル:大さじ1
・黒オリーブ:適量
・ピザ用チーズ:適量
お次はツマミにもメインの料理にもなる、コンビーフを使ったピザを作るとしよう。コンビーフとマヨネーズ、ケチャップ、辛子を合わせてピザソースを作る。ピザのベースにする物に薄くオリーブオイルを塗り、その上にピザソースを敷いて均す。今回はピザ生地の代わりに冷凍のトルティーヤが冷凍庫にあったんでそれを使用。勿論、食パンやバゲット、餃子の皮なんかでやっても美味しいぞ。後はオリーブの実を刻んで散らしたり、トマトやバジル、スライスした玉ねぎなんかを具材として乗せ、チーズを散らしてオーブントースター等で焼き上げれば完成だ。
「さぁ焼けたぞ、特製『コンビーフピザ』だ」
ピザカッターで8つに切り分けてやると、ニムが早速一切れ持ち上げようとする。しかし、
「あちっ!」
「気を付けろよ~?焼き立てだからかなり熱いからな」
「も~、そういう事は持ち上げる前に言ってよ提督!」
む~っと再びむくれているニム。そんな姿に苦笑いしつつも、酒の代わりにレモンスカッシュをサービスで出してやる。途端に機嫌を直してストローで吸っている辺り、チョロいなぁと思ってしまう。
「一切れいっただき~!」
ニムが軽く火傷した指を冷やしている間に、隼鷹がピザを一切れかっさらっていった。とろけたチーズが糸を引き、ピザ生地の代わりにしたトルティーヤはパリパリに焼き上がっている。
「あふっ」
ケチャップとマヨネーズのピザソースに、コンビーフの旨味を辛子の辛味が引き立てる。そこにキンキンの冷えたビールを流し込めば、たまらん美味さだろうな。
「く~っ!やっぱピザにはビールだよなぁ!」
「一応それはニムの分なんだからな、あんまり横取りすんなよ?」
「大丈夫だよ提督、ニムもちょっとお腹苦しくなってきた所だし」
まぁ、本人が良いと言うなら文句は無いが。そんな事を考えながら俺も中華鍋を振るう。
「あれ、提督は何作ってるの?」
「ん、これか?これは俺の賄い」
ニヤリと笑い、鍋肌から醤油を回す。焦げた醤油の香りがご飯に移り、何とも言えない香ばしさが鼻をくすぐる。もう作っている物はバレたかも知れんが、俺が作っているのはコンビーフを使った炒飯だ。
《絶妙!コンビーフと春菊の炒飯》
・コンビーフ:100g
・春菊:2束(240g)
・ご飯:600g
・玉ねぎ:1/2個
・サラダ油:大さじ1
・醤油:少々
・塩コショウ:少々
まずは一番手間のかかる春菊の下拵えから。よく洗って茎ごと細かく刻んでよく揉み、水気を搾る。春菊の水気をできるだけ搾っておくのがパラパラ炒飯に仕上げるポイントだからな。出来れば手で搾った後に布巾等で来るんで更に搾った方がいい。玉ねぎはみじん切りにしておく。
中華鍋にサラダ油を引いて熱し、玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通って来たら、コンビーフを加えてほぐすように炒めていく。コンビーフがほぐれたら、春菊を加えて更に炒め、ご飯を加えて具材と混ぜながら炒めていく。
ご飯と具材が混ざったら、鍋肌から醤油を回して焦がし醤油の香りと風味を付け、塩胡椒で味を整えたら完成だ。
「うん、美味い美味い」
コンビーフの塩気と春菊の爽やかな苦味が上手くマッチして、新感覚な味わいだ。ご飯もパラパラに仕上がっており、自分でも満足の出来る味だった。
「あ、提督ずるい!ニムも他の食べる~っ!」
「へいへい、注文されりゃあ作りますよ」
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