Three Roses
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第二十六話 叔父として王としてその八
「よりよくです」
「お知りになられる」
「その為にも」
「会います」
マリー、彼女をというのだ。
「そうしていきます、そしてです」
「国をですね」
「共にですね」
「栄えさせていきます、ですが信仰は」
彼女が最も大事にしているそれはというと。
「やはりです」
「はい、旧教です」
「旧教であるべきです」
二人もこのことは絶対だと話した。
「旧教こそが正しい信仰です」
「だからこそです」
「何とか旧教に戻しましょう」
「この国の教えを」
「その為に、です」
マイラは信仰については表情を変えていないがそれでも中にあるものを宿していた。そしてそのあるものに従い言葉を出していった。
「太子が教えてくれた様に」
「教義を学び」
「そのうえで、ですね」
「新教に勝つ」
「それを目指されますね」
「はい」
こう言うのだった。
「言われてみますと確かに」
「その方がいいですね」
「むしろ」
「下手に異端審問官達を使うよりも」
「効果もありますね」
「彼等はです」
マイラはその異端審問官達についても話した。
「私も考えてみましたが」
「厄介ですね」
「我々にとっても」
「どうにも」
「そうですね」
「そうです、旦那様も言われていましたが」
太子、彼がだ。
「やはりです」
「新教徒も異端も狩りますが」
「彼等以外の者達も狩ります」
「教皇庁の敵を狩ります」
「教皇庁にとって邪魔な者を」
「そうです、思えば」
マイラはこれまでは気付いていなかった、だが太子に言われて考えてだ。そのうえで出した答えはというと。
「彼等は我が国の為、信仰の為ではなく」
「教皇庁の敵ですね」
「その彼等を狩る存在ですね」
「まさに教皇庁の狂犬」
「そう言うべき存在ですね」
「狂犬とは思っていませんが」
それでもと言うマイラだった。
「どうしてもです」
「この国のことを考えていない」
「それがわかるからこそ」
「だからですね」
「彼等は」
「私は彼等をこの国に入れました」
自分のことからも言う。
「そうしましたが」
「それでもですね」
「今は違うお考えですか」
「彼等を動かさない」
「そうされますか」
「そうです、彼等は動かしません」
マイラもこう言った。
「教皇庁には敬意を持っていますが」
「私もそうですが」
ここで司教がマイラに言った。
「ですが」
「その教皇庁にはですね」
「よからぬ人達もいますね」
「その様ですね」
「彼等は見境がありません」
教皇庁の一部、特に異端審問の者達はというのだ。
「教皇庁に、いえ自分達にとってです」
「邪魔な存在ならば」
「全てを狩ります」
そうするというのだ。
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