聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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75部分:第九話 知っていた罠その一
第九話 知っていた罠その一
知っていた罠
デスマスク達の前に姿を現わしたのはカナンであった。彼はデスマスクを見てまずこう言ってきたのだった。
「また会ったな、キャンサーよ」
「会うのは可愛い娘ちゃんだけでいいんだがな」
「ふっ、こんな時でも軽口か」
「軽口叩くのは誰にも邪魔されない筈だがな」
「確かに」
カナンもデスマスクのその言葉には頷いてみせた。
「どのみちもうすぐそれも聞けなくなるしな」
「つまり俺達を倒すってことか」
「そう言ったのだが聞き間違えるような言葉だったかな」
「いや」
デスマスクは今の言葉はすぐに否定した。
「わかるさ、すぐにな」
「ならいい」
「それでだ。わかったうえでだ」
彼はまた言う。
「俺達を罠にかけたってなどういうことだ?まあそれも予想はつくんだがな」
「ここに今来たのは私だけではないということだ」
カナンはこうデスマスクに告げた。
「つまりだ」
「デスマスク様、この小宇宙は」
「やはり」
「つってもこいつが出て来た時点でわかるだろ?」
デスマスクもジャミアン達に対して告げた。
「一人で出て来ないってだけでな」
「そうですか、やっぱり」
「それじゃあ」
「つってもあれだがな」
「あれ!?」
「わかってたんだよ」
また軽口だが今度はその内容がより深いものになっていた。
「実際のところはな」
「何っ!?」
カナンも今のデスマスクの言葉に目の動きを止めた。
「今何と言った」
「だからわかってたんだよ」
彼はまた言ってみせた。
「手前等のやりそうなことはな。俺もわかってるんだよ」
「馬鹿な」
「そんな筈がない」
今いる狂闘士達が今のデスマスクの言葉に声をあげる。
「我等の策を知っていただと」
「何故だ」
「何故だも何も簡単な策略だろうが」
デスマスクの彼等への言葉は醒めたものであった。
「違うか?こんなのガキの悪戯じゃねえか」
「子供だと」
「我等が」
「囮で誘き寄せて大勢で倒す」
デスマスクは簡単にその策を説明してみせた。手振りも交えず素っ気無くすらあった。
「こんなの誰でも考え付くんだよ」
「では聞こう」
カナンはデスマスクのその言葉を聞いたうえでまた彼に問うてきた。
「何だよ、今度は」
「我等を。倒せるというのか」
「そうです」
ここでリィナが出て来た。その後ろにはアトロム達もいる。
「やっぱりいたか」
「小宇宙は嘘はつかないか」
聖闘士達は彼等の姿を認めて言う。
「私達を倒せるなどと」
「僅か七人で」
「おいおい、お嬢ちゃん達」
デスマスクは馬鹿にしたような目でそのリィナやゼノの言葉を聞きつつ彼女達に対しても言葉を告げてきた。やはり余裕のある態度は変らない。
「俺を誰だと思ってるんだ?キャンサーの黄金聖闘士だぞ」
「例えそうだとしても」
「私達を相手に」
「しかもだ」
ここでまたカナンが言ってきた。
「我々だけではない」
「御前等・・・・・・ええと」
その余裕のまま彼等の数も数えてみせる。
「十人か。まだ他にいるのかよ」
「インプ達がいる」
カナンが言った。
「我が軍の兵士達がな」
「へっ、雑魚か」
雑兵と聞いてデスマスクは一笑に伏してみせた。
「雑魚がどれだけいても同じなんだがな」
「ぬかせ聖闘士風情が!」
「貴様ごときに我等を愚弄することなぞ!」
「許さねえってか?」
何時の間にか周りを取り囲んできている彼等を見てその右手をゆっくりと挙げるデスマスクだった。人差し指を上に掲げている。
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