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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督と艦娘達の夏休み~BBQ大会編・2~

 ようやく第六駆逐隊の面子に頼んでおいた肉や魚介が届いたな。牛、豚、鶏に……マトンまで持ってきたのか。まぁいいけどよ。魚介も海老、イカ、アサリに……蛤にウニに鮑!?

「おい雷、どうしたんだこの高級食材!」

「あぁこれ?潜水艦のみんなが潜って遊びながら色々獲ったりしてたから分けてもらったのよ!」

 フフン、と自慢げに語る雷。あいつら……獲って売り捌いたりしてねぇだろうな?

「提督?どうしたんだい、手が止まってるよ」

「おっとっと、何でもねぇよ。お前らもバーベキューの支度手伝ってくれよ?」

 響に危惧されつつも、調理を再開。第六駆逐隊の面々には串焼きの準備をお願いした。食べやすい大きさに切った肉や野菜をバランスよく串に刺していくのだが……

「暁お姉ちゃん、ピーマンも刺さないとダメなのです!」

「ピーマン美味しくない。ピーマン死すべし、慈悲はない」

 暁よ、お前はどこのニンジャか霧の大戦艦だ(苦笑)。

「こら、好き嫌いなんてダッセェ真似してんじゃねぇよちんちくりん!」

「うげっ、天龍!」

 ワイワイやってる所にやって来たのは天龍と龍田。それぞれ割り箸や紙皿、ごみ袋等を持っている。

「好き嫌いなんてしてっから、いつまでもちんちくりんなんだよオメェは~!」

 天龍はグリグリと掌で頭を撫でている。

「ちょ、ちょっとやめてよ!縮んじゃうでしょ!」

「そうよね~、天龍ちゃんは私にピーマンやニンジン沢山分けてくれたものね~」

「た、龍田!?それは秘密だって……あ」

 意外にも龍田、暁に援護射撃。

「ふぅ~ん?天龍ったら私に偉そうな事言っておいて、ピーマンもニンジンも嫌いなんじゃない!」

「ち、ちちち違ぇよ!俺は食えるけどちょっと苦手だし、龍田の好物だから……」

 必死に言い訳する天龍。しかしこれがまずかった。主に、『時と聞かれる人物』が。

「天龍さん……?ちょっとお話が」

 間宮と伊良湖がこめかみに青筋を浮かべている。2人は食堂の仕切りもやっている為、艦娘達の栄養面での管理も任されている。当然、お残しや好き嫌い等と彼女達の前で容易に口走るべきではない。

「提督さん、ちょっと天龍さん借りていきますね?」

 間宮は満面の笑みでこちらに尋ねてくる。しかしこの笑顔はアカン。これ逆らったらアカン奴や。

「アッハイ、ご随意にどうぞ……」

 助けてえぇぇ~……という断末魔の叫びを残しながら、天龍は間宮と伊良湖に引き摺られていった。その場にいた全員、天龍に合掌。さて、調理に戻ろう。





「それにしても……色んな味付けよお肉にあってビックリしちゃったわ!」

 そう語るのは雷。彼女達が持ってきた肉の中には、味付けをしていない正肉の他に、スペアリブや焼きとん用、等と書かれた大量のジップロックがあった。

「ウチの店でも串焼きやら焼き肉の注文は多いからな、暇な時に作り置きして冷凍してんだ」

「それにしても色々あるわね~……あら?この『ムーピン』って何かしら?」

「あ、電知ってるのです!白いカバさんみたいなアレですよね?」

 いや電、それはムーミンだろ。というツッコミは置いといて、ムーピンってのはタイの屋台風豚の串焼きの事だ。スパイシーな味付けで酒の肴にもご飯のお供にもいいぞ。

《エスニックな焼きとん・ムーピン!》※材料10本分

・豚肩ロース塊肉:500g

・焼き鳥用竹串:10本

・パクチーの根or茎:2本分

・にんにく:2片

・白胡椒:小さじ3/4

・きび砂糖:大さじ2

・100%果汁リンゴジュース:大さじ1

・ナンプラー:大さじ1.5

・醤油:大さじ1

・オイスターソース:大さじ1

 まずは漬けダレを作る。パクチーは葉を除いて根なら根を、茎なら茎を使用。適度な長さにカット。にんにくは縦に2つに割り、中心にある芽を取り除く。

 豚肉と竹串以外の材料をハンディブレンダーかミキサー等で細かくしながら混ぜ合わせる。本格的な味にしたいならきび砂糖でなくパームシュガーというナツメヤシ等の樹液から採れる砂糖を使おう。

 豚塊肉を7~8mm幅にカット。タレを染み込みやすくするのと柔らかくする為に、包丁の先でカットした肉の表面を筋を切るようにしてプスプスと刺していく。筋切りが終わったらポリ袋に漬けダレとカットした肉を入れて、出来るだけ空気を抜きながら袋を結ぶ。液漏れ対策に袋は二重にすると安心だぞ。そのまま3~4時間冷蔵庫に放置。

 後は竹串1本に対して2枚くらいの感じで串を打ち、焼くだけなのだが、ウチの店では串打ちをした状態でタレと共にジップロックに入れて冷凍。バーベキューに行くときは朝から室温解凍、すぐ食べるにはレンジでチンしてから網か鉄板で焼こう。

「ホレ、味見用」

 焼き上がったムーピンを2本、雷と電に手渡してやる。付いている肉は4枚。ちょうど姉妹の分だ。2人は仲良く1枚ずつ姉妹に渡し、同時にガブリ。

「辛い!これ辛すぎるわよ司令官!」

「そうかぁ?……あぁそうか、暁はお子ちゃま舌だからなぁ。お前にはまだ早かったか」

 むぅ~!と涙目でむくれている暁同様、噎せているのは電。

「わ、私にもちょっと辛いのです……」

 ケホッケホッ、とうっすら涙を浮かべている電を見ていると、凄い罪悪感を感じるんだが。逆に平然としているのは雷と響。

「確かにこれはお酒に合いそうな味ね!どう思う?響」

「そうだね……キンキンに冷えたビールなんか傍らにあったら最高だろう。ところで司令官、ウォッカはまだかい?」

 いやいや待て待て、サラッと流してるがまさか雷まで酒を飲むようになっちまったのか?

「えぇ、この間の隼鷹さんの講習会をキッカケに、響に教わりながら少しずつね。最初は苦かったけど、慣れると美味しいわねお酒って!」

 お前もか、雷よ……。ウチの鎮守府の飲兵衛共による汚染の拡がり方速すぎねぇか?というか響、背後でどや顔しない。そんな所にタイミング良く、山城と第七駆逐隊の面々が厨房から戻ってきた。

「ホラ、持ってきてあげたわよクソ提督!」

「氷も大量ですよ~っと」

「お塩もたっぷり、貰って来ました~」

 用意したのはごみバケツ等に使う大きなポリバケツに、大量の氷と塩。これを使ってドリンクを冷やす即席サーバーを作るのだ。




 熱々のバーベキューを食べるのに、ぬるいビールなんてのは論外だ。瓶をキンキンに冷やすには、それなりの努力が必要だ。まずはポリバケツの底に氷をザラザラと流し込む。そこに塩を満遍なくふりかけ、そこに凍らせたビールやドリンク類を入れる。炭酸飲料は凍らせられないが、ビールは凍らせてもそれほど炭酸が抜けない。なので、持参する半数を凍らせて、後半に飲む分兼保冷剤にしてしまおうという訳だ。その上に再び氷と塩。再び凍らせたドリンク、氷と塩……といった具合に層を作り、一番上に凍らせていないドリンクを並べて氷で蓋をする。こうすれば半日はキンキンに冷えた飲み物が飲める。クーラーボックスなんかでも応用できるからオススメだ。

「でもご主人様、すぐ飲みたいのに冷えてねぇ時はどうするんです?」

 これもあるあるだな。今すぐ冷えたのが飲みたいのに冷えてない!泣きたくなるねぇ。大丈夫、そんな時に使えるアイテムをご紹介しよう。使うのはサーモスの缶クーラー(蓋付き)とスポーツ用のコールドスプレー。あ、缶クーラーは別に蓋付きならどこのメーカーでもいいぞ。使い方は缶クーラーに飲みたいドリンクの缶を入れて、コールドスプレーを5秒くらい噴射。蓋を閉めて2分くらい放置。蓋を開ければあら不思議、さっきまでぬるかったドリンクがキンキンに。注意する点としてはコールドスプレーの種類。中身が純粋な液体窒素の物を使いましょう。そうじゃないと湿布臭い、お前はどこのルートビアだとツッコミを入れたくなる味わいの残念ドリンクを飲むハメになるので。 
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