魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
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第三十九話 疑惑の視線
前書き
皆、待たせたな!胸糞悪くなるであろう話が今話から始まるぜっ!!
テストが終了し、全は商店街で買い物をしてから家へと帰宅していた。
ちなみに、全の今回のテストの出来は上々。恐らく、百点がいくつかはあるだろう。
いくつか、というのは自己採点した結果であり、それに含まれない。つまり自己採点で百点に届いていないと思われるテストの時間の際に全は誰かの視線を感じ取ったのだ。
それに集中を切らされたという程ではないが、それでも気になってしまいペンがあまり進まなかった。
テストを提出した後、再び視線の元を感じ取ろうとしたが決まって視線の元を感じ取る事は出来なかった。
「一体、何だったんだろうな。あの視線は……」
『私の方でもサーチしてみましたが、探知は出来ませんでした』
《私もだな。というか、私は全と視覚を共有しているから見る事は出来ないんだが》
「そうだったのか。知らなかった」
全は自身のデバイスであるシン、自身に宿っている真耶と会話しながら家に到着する。
家のドアの鍵を開け、家に入った瞬間
カチッカチッカチッ……カ……チ…………カ…………………
――――――――何かの歯車が止まったような、そんな感覚を全は感じた。
「?なんだ?」
全は胸を抑え、違和感を探る。しかし、違和感の正体に気付く事はなかった。
『?マイスター、どうかなされたので?』
「……いや、何でもない」
気のせいだろうと思い、全は靴を脱いでキッチンへと向かう。
この時全は気づかなかった。ある一人の男の手によって既にこの物語は破滅へと向かっているという事に…………。
翌日。全はいつも通り、制服へと着替え学校へと向かう。
しかし、学校に向かう間、何かと全は視線を感じていた。しかもそれらは全て嫌悪を感じさせる視線だった。
(なんだ?なぜ町の皆、そんな視線を俺に向ける?こんな事、今までなかったのに……)
全は疑問に思いながらも、学校に到着し自身の席につく。
鞄を机の横の物掛けに掛けると、鞄の中から小説を取り出す。
「「「「「「「「おはよう!」」」」」」」」
小説を読み始めて少し。聞き覚えのある声がおはよう言ってと教室にやってきた。
なのは達が登校してきたのだろう。全は顔は動かさず目線だけなのは達に向ける。
そしてそこでも予想外の事があった。
いつもならフェイト、アリシア、はやて、るい、アリサ、すずかは全に挨拶をしてから自身の席に座る筈なのだ。
だというのに、今回はそれが誰一人なかった。
まあ、こういう時もあるだろうと全は思い、読書を再開する。
チャイムが鳴り、先生が入ってきて、点呼を取る。
「橘」
「はい」
「…………橘、後で先生と一緒に来なさい」
「?はい」
点呼の際に全は先生に一緒に来いと言われた。全自身呼ばれる案件などあったか?と疑問だったが、とりあえず朝のHRを終わってから先生と共に教室を出て、ある教室へと入っていった。
そこは「生徒指導室」。
(?なぜ生徒指導室?俺は何もした覚えがないんだが……)
全は未だに疑問に思いながらも先生の後を追って生徒指導室に入り、先生と向かい合って座る。
「橘……」
「は、はい……?」
「こんな事言いたくはないんだがな……お前、もう少し周りとのコミュニケーションを考えて取れ。それかもう少しましな対応をしろ」
「…………は?」
訳が分からない。それが全の最初の感想だった。
「あ、あの、先生?どういう事か分かりやすく説明してほしいんですけど……」
「自覚がないのか?……お前の対応の悪さがこの学校にまで影響を及ぼしているんだ」
「対応の悪さ……?」
何に対しての対応だ?と全は疑問に思ったが、この学校にまでという先生の言葉で察した。
この学校にまでという事はその話の出所は学校ではない。つまり、町からという事だ。
「それは、商店街などからの苦情、ですか?」
「まあ、聡明なお前の事だ。それ位気づくよな……いやな、俺もお前がそんな悪い対応をするとは考えられないんだ。普段のお前を見ていると特にな。だから、これは確認だ。お前、店の前で舌打ちとか、小言で店の悪口とか言ってないよな?」
「言う訳ないじゃないですか!」
全は思わず椅子が倒れるのも気にせずに荒々しく立ち上がる。
「俺は商品を買っている側なんですよ!?そんな自身のストレスの捌け口にするような真似!!」
「わかった、わかった。そうだよな、とにかく落ち着け。これはあくまで確認だ」
先生は手でどうどうと抑えろ言ってから席に座れと促す。
全も少し落ち着きを取り戻すとすいません、と謝ってから椅子を戻し座る。
「だが、実際にそういうのが後を絶たないんだそうだ。結構昔からな。遂に学校にまでどうにかしてくれと商店街の会長さんから頼みに来られたんだ」
「俺が……昔、から……?」
「ああ。お前、両親がいなくて一人暮らしだろう?お前が一年の頃からそういう話はあったらしいんだが……」
「俺が、一年の頃から……?」
いや、それはおかしい。だって、一年の頃って……と全は思った。なぜなら全はまだ自身の心の殻の中に閉じこもっていた時期だ。
表面に出てきた事も一度もなかった。
そしてもう一つありえない事。昔からという事だ。
一年。つまり、まだ紗華だった頃。紗華は学校では最悪だったが、逆に商店街などでの評判はよかった。
それがどうした?なぜ過去が改変されている?
それが全には不気味に思えた。
「まあ、いいさ。過去は過去、今は今だ。これからその印象を変えていけばいい」
「……はい」
そう言って全は生徒指導室を後にした。
その日は、全に誰も話しかける事はなかった。昼休みにもだ。
最初に話しかけてきて最初に記憶を取り戻したアリサとすずかでさえも、全と会話する事はなく、ただ見つめているだけだった。
「……帰るか」
全は手早く帰る支度を整えると、教室を後にした。
「………………………ふひっ」
「?どうしたの、聖君?」
「うぅん、なんでもないよ、なのは」
「そうなの?ならいいけど……」
教室を出ていく全のそんな背中を見ながら聖は不敵な笑みを浮かべていた。しかし、終ぞ誰もその笑みの本当の意味を知る事はなかった。
後書き
短いが、ここからが本番です。物凄く全君が辛い目にあいます。
しかぁし!!前から言っている通り、これを乗り越えた後、全君にとって心強い味方が登場します!!本当に心強い味方です!来るまで全君、耐えてくれっ!
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