世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
W ~重症のM・戦いへの覚悟~
風都総合病院
現在この病院で蒔風が手術を受けている。
「そういえば蒔風の身分証明って大丈夫なのか?」
「あいつのポケットに入っていた証明書のカードは受理されたからな」
「おそらく、世界が与えたんだろうね。その世界での役割のように」
廊下でそんなことを話し合う翔太郎たち。
廊下の先にある扉の上には「手術中」のランプが赤く灯っている。
「それにしても・・・・・あのメモリはなんだ!!「アルティメット」に「イーター」だと!?」
「アルティメットメモリは相手を超越するメモリだ。さらにイーターメモリは捕食者の記憶・・・・・「喰らう」という衝動に特化したメモリ・・・・どちらも厄介だよ」
「そんななかで・・・・・俺たちは勝てんのか?・・・・・・・蒔風は大丈夫なのかよ」
暗く落ち込む一同。
と、そこでランプが消えて扉が開かれた。
出てきた医師に照井が様子を聞いた。
「!!!どうなんですか」
「なんとか持ちこたえました。ですが、彼は何者ですか?あれだけの傷で、まだ息があるなんて・・・・」
「悪いが・・・・質問はしないでくれ」
「まあ・・・わかりましたけど・・・・」
そう言って医師はその場を後にする。
蒔風は病室に運ばれ、済し崩し的に皆がそこに集まって会議を始めた。
「問題は「奴」がどの程度動くかだ」
「蒔風は確かあと四日、と言っていたな。ではそれくらいは大丈夫ということか?」
「だがそれでも「奴」は来た。いや、それだけじゃねえ。こうしている間にも「欠片」の方がメモリをスキャンしてるかもしれねえ」
翔太郎がガシガシと頭をイラついたようにかきむしる。
「奴」は、この世界を破壊しようと動いている。
この瞬間にもそれは進み、この町が脅威にさらされている事が、彼には我慢できないのだ。
「落ち着くんだ翔太郎。逆を言えば、君さえ守り通せれば、最悪世界は破壊されない」
「とにかく蒔風と左の身辺を守り通さなければならない」
「お前ら・・・・だけどそのためにお前らが殺されちまったら・・・・」
「死なないさ」
唐突に放たれたフィリップの覚悟に満ちた声が、暗かった病室の空気を塗り替える。
「絶対に死なないさ。僕はもう、死なない。僕に・・・僕達に未来を送ってくれた人たちのためにも、絶対に」
その言葉に皆の心が立ち上がる。
落ち込み、これからどうしようかという思いを払拭し、必ず勝つという覚悟。
それが復活した。
そこで照井の携帯が鳴る。
出てみると、それは部下からの連絡でドーパントが暴れているとのの連絡だった。
「まさか・・・・!!!」
「いや、アルティメットドーパントではない、他のドーパントだ」
「こんな時にも事件は起こるか・・・・・しょーがねーなぁ!行くぜ?フィリップ!!」
翔太郎が帽子をキュッ、と直し、意気込んで病室を飛び出そうとする。
だがその首筋をフィリップが掴み、翔太郎の身体に急ブレーキがかかる
「グエェッ!!??」
「待つんだ翔太郎。君が言ってそこで「奴」に捕まったらどうする?もちろん可能性は低いが、ゼロじゃない。ここは僕が行くよ」
そう言って羽織った上着をバサッ、と直して、扉に手をかけながら言うフィリップ。
だがそんなフィリップに亜樹子が言葉を返した。
「フィリップ君、翔太郎君、気絶してる」
「・・・・・・・・行こう!!!翔太郎!!!」
「えっ!?(裏声で)お、おう!?あいぼー!!!」
翔太郎の手首をプラプラさせて亜樹子が裏声で答える。
「オレも行こう。もし「奴」が来たら一人では無理だろう」
「頼もう。アキちゃん、何かあったらすぐに連絡をしてくれ」
そしてフィリップは行ってくるよ、と言い残して、飛び出して行ってしまった。
照井もその後を追う様に病室から出て現場に急行する。
「ふう・・・・・なんだか慌ただしいなぁ~~~~」
「ん・・・・んが?おい亜樹子、フィリップ達はどーした?」
「ドーパントが暴れてるから、そっちに行ったよ」
翔太郎が目を覚まし、それを亜樹子に訊くと、ダブルドライバーを装着して待機しておく。
「んごぁ・・・・・・ウォが?」
そこで蒔風も目を覚ます。
起き上がろうとして、そのとたん腹部に激痛が走って腹を押さえる。
「蒔風、目が覚めたか!」
「だ、大丈夫!?ゆっくりしてないと!!」
「あ、ああ・・・・あの野郎・・・オレの事まで食いやがって・・・・・」
蒔風が二ヘラと笑いながら発言する。
その言葉で翔太郎と亜樹子がその瞬間の事を思い出し、ウゲェ、という顔をした。
「やめてやめて、痛そうな話」
「あ~~~~~、そういう話はパスだぜ?」
「ッたく・・・・治るのに三日はかかるか・・・・・いや、微妙に間に合わないかもな」
腹を押さえながら蒔風が言う。
その発言に、亜樹子がびっくりしていた。
「そんなに早く治るの!?」
「なんとかな。戦闘がきつくなるくらいか。万全ではないけど、贅沢はいってらんねえしな」
「「奴」って・・・・だれなの?全然顔見えなかったっけど」
その問いに蒔風がう~~ん・・・と唸ってから、さぁ?と首をかしげる。
「だがまあ、今回は記憶を扱われずに済んだな」
「「記憶?」」
「蒔風、記憶を扱うって何だ?」
蒔風が翔太郎の問いに答える。
「奴」の「記憶」活用方を話してから、だけどな、と話し始める。
「この世界では「記憶」は形に残せる。それがガイアメモリだ。そしてそういった形になって、過去のメモリは破壊されている。この世界で使うと言ったら・・・・ん、エターナルだな。だがそのメモリはブレイクされているし、その変身者は二重に死人だ。そんなもん引っ張り出すには時間がかかるし面倒臭い。そんなことするなら最初からメモリ使った方がいいし、現に超厄介になってるしな」
なるほど~~とうなづく翔太郎に、首をひねる亜樹子。
と、そこで翔太郎がフィリップが敵と遭遇したことを感知する。
「んじゃ、行ってくるぜ」《ジョーカー!!》
「がんばれ」
「負けんなよぉ?」
「おう。変身!!(ガシュウ!!)」
ジョーカーメモリをドライバーに挿入し、それがフィリップの方に転送される。
それと同時に翔太郎の意識も飛び、身体が倒れて亜樹子が支える。
それを椅子にもたれさせ、ふう、とひと段落する。
「大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。あいつらは二人で一人の仮面ライダー。この町のヒーローだ。やられることはあるめえよ」
病室から見える街。
その街の空には暗雲が立ち込めている。
だが、街のある場所で一陣の風が吹き、雲がゆっくりと流れを変える。
そしてそれから三日、蒔風は探偵事務所に居候した。
病院は一日後に退院し、残りは事務所で治療に専念した。
「奴」の計算の終わるであろう四日目。
その日までに腹を塞いで治さなければならない。
借りれる力は借りていった。
そして蒔風の腹は、なんとかではあるが塞がった。
いかんせん血液量が足りず、体力も万全ではないが、戦闘にはことたりるだろう。
そしてこの間に何もしていなかったわけではない。
すでに行き先はわかっている。
あとは向かうだけ、そこに敵がいる。
その空は、三日前から晴れ渡っていた。
to be continued
後書き
アリス「うわ~~~。中身スカスカ」
言わないで・・・・・・
ア「ついにWと蒔風がやるのか!?」
いや、蒔風は治っても身体万全じゃないし。
ア「そういえばですね、思ったのですが」
はいはい
ア「「マジ恋」の百代の力借りれば、瞬間回復でどうにかなるんじゃ?」
はいキタこの問答。
蒔風が借りているのはそのシステムや技術(技ではなく、武器や科学としての)です。
だから彼が百代の力を借りてもできるのは「気の扱い」のみなんです。
それを練って体力回復なんてことは蒔風にはできません。
ライダーの力借りても、そのまんまに戦うんじゃなくて、蒔風風に戦ってるでしょ?
ア「それにしてはオリジナルに近いですけど・・・・」
それは彼の趣味。
だから瞬間回復できないんです。
ま、瞬間は無理でもほんの少しずつなら何とかなりますから、それを含めて四日の内になんとかですね。
ア「そういうことですか。次回、「奴」と戦う・・・・何秒前でしたっけ?」
しらん!!
ではまた次回
さぁ、お前の罪を数えろ!!!
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