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提督はBarにいる。

作者:ごません
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アニヲタ比叡の優雅な?休日・2

 
前書き

注意!

文章内にコンビニの商品についての批評が載ってますが、全て筆者の個人的な感想です、悪しからず。
 

 

 比叡は着替える為に自室に戻り、寝癖の付いた頭を撫で付ける。短くカットされた髪は毛先の跳ね具合が気に入ってショートカットにしてはいたが、寝癖の治りにくさがネックだった。ある程度戻った所で妥協し、着ていたパジャマを脱いで着替える。黒の無地のTシャツに白のパーカー、緑の七分丈のカーゴパンツ。そして首許には愛しい姉から選んでもらった金のネックレス。活発な彼女は可愛さよりも機能的な服装が好みらしい。

「さって、と。行きますか!」

 むん、と気合いを入れて部屋を出る。しかし……

「ご飯と買い出し、どこでしよう……」

 身支度を整えるのに夢中で、買い物をどこでするか考えていなかった。

「食堂……は閉まってる時間だし、酒保…だとちょっと味気ないよねぇ。」

 鎮守府の中を歩きながら思案する比叡。

「やっぱり街に出てコンビニが一番手っ取り早いかなぁ?」

 そうと決まれば動きは早い。鎮守府内で共用の自転車に跨がると、比叡は街に向かって漕ぎ出していた。




「コンビニで買い物するのはいいけど、どこのお店にしよう……。」

 ペダルを漕ぎながらも尚、比叡の思案は止まらない。鎮守府近辺のコンビニの数は日本と遜色ない程だ。それに有名なコンビニは全て揃っている。セブンにファミマ、ローソンやミニストップ等々、メジャー所は揃っている。店によって扱う商品は違うし、同じ名称の料理でも店によって味は全く違う。店のチョイスがその日のアニメの鑑賞会の快適さを決める、と言っても過言ではない。

「とりあえずローソンかなぁ……?」

 誰に言うでもなく、比叡はそう呟きつつハンドルを向けた。数分もしない内に見慣れた青と白のカラーリングの店舗が見えてきた。

『いらっしゃいませ~』

 店員の元気な挨拶に迎えられる。さて、何にしようかと足は自然とお弁当・惣菜コーナーに向かう。ローソンの弁当は味に拘っている……というのが、寝坊が多くてコンビニをよく利用する比叡の印象だ。後は、スイーツが美味い。弁当の揚げ物一つ取ってもくどくなりすぎないように、味付けや衣の付け方等が工夫されている。

「う~ん……でも今日はお弁当って気分じゃあ無いんだよねぇ。」

 さてどうしよう?おにぎりやサンドイッチは別のお店の方が美味しいし、ホットスナックも欲しいけれど遅めの朝食には物足りない。いっそ別の店に移動しようか?なんて考えていると、

「あれ、比叡さんじゃないですか。」

 と、不意に声をかけられた。

「ほぇ?」

 と気の抜けた返事をしながら振り向くと、そこには落ち着いた色のダッフルコートを着た阿賀野型軽巡の2番艦・能代がいた。




「ありゃ、能代ちゃん!奇遇だねぇ。」

「比叡さんも鎮守府とのコラボのチェックに?」

「コラボ?」

 何の事やら?という顔の比叡に、能代は愕然とした顔をしている。

「あれ、知らなかったんですか!?ウチの鎮守府じゃないですけど、艦娘のイメージアップに一般企業とタイアップして広告作ったんですよ?」

「あ、あ~……確かそんな話してたような、してなかったような…?」

 比叡以外の艦娘もいる所でも大々的に発表されていたのだが、この寝坊助は立ったまま寝ていて、夢心地に聞いていたので記憶に無かったのだ。

「あっれー?比叡さんも来てたんですか?」

「まぁ、あれだけ大々的に出されてたら……ねぇ?」

「酒匂だったら恥ずかしくてぴゃああぁぁぁっ!てなっちゃうよ。」

 どうやら、姉妹全員揃ってコラボ商品のチェックに着ていたらしい阿賀野型姉妹と遭遇した。

「……え?私もコラボ商品あるの?」

「コラボ商品というか……広告塔になってますよ?比叡さん。」

「え゛っ。」

 矢矧の指差すその先には、風に翻る凛々しい(他の鎮守府の)比叡の姿が。そう、比叡の写真はのぼり旗に起用されて店の前に大量に飾られていた。

「ひっ、ひえええぇぇぇぇぇぇ!」

 比叡、この日ニ度目の大絶叫である。




「ううぅぅぅ、恥ずかしい……。」

 顔を真っ赤にして自転車を押しつつ、阿賀野達と歩みを進める比叡。結局叫んだせいで居たたまれなくなり、からあげクンだけ買うとそそくさとローソンを後にした。

「アハハ……、あの様子じゃあ当分あそこのローソンは使えませんね。」

 苦笑いしながら能代が比叡を慰めている。

「でもでもぉ~、比叡さんのお休みの過ごし方阿賀野は好きだなぁ。」

 比叡同様からあげクンを買っていた阿賀野は、早速歩きながらパクついている。

「それは阿賀野姉ぇが普段からだらしないからでしょっ!」

 痛烈なツッコミを入れているのは矢矧。ホットコーヒーのカップに口を付けつつ、だらしない姉にツッコミを入れるという何とも忙しない事をしている。その言い方だと比叡もだらしないと発言しているように聞こえる事は黙っておこう。

「でもさ~、色んなコンビニの食べ物買って、食べ比べしながらテレビ見て、おしゃべりするのって楽しそうじゃない?」

 コロッケにかぶりついている酒匂の発言を聞く比叡は、確かに楽しそうだと思う。アニメ見ながらの女子会……良いかも知れない。

「じゃ、じゃあ私の部屋で一緒に見ます?アニメ。」

「「「「え、いいの?」」」」

 息ピッタリ、といった感じで阿賀野達が答える。そんな四姉妹の呼吸に嘗ての自分達を重ねながら、比叡は微笑んだ。

「よ~っし、気合い、入れて!行きます!」 
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