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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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689部分:第九十九話 宮殿の中へその三


第九十九話 宮殿の中へその三

「くっ、しかも」
「技か!」
「この技は!」
「オーム!」
 両手で印を結んだだけである。だがそれだけで。
 小宇宙が途方もなく高まったのだ。その小宇宙は魔神達の誰もが人に対しては今まで感じたこともない程に巨大なものであった。
「くっ、だが!」
「まだ我等を攻めてきているわけではない!」
「ならば!」
 魔神達も怯まずそのうえでそれぞれの技を繰り出そうとする。しかしだった。
 そのシャカはまた印を組んだ。そうしてであった。
「カーン!」
 その言葉と共に今度は小宇宙が炎となった。
 赤い炎ではなかった。何と白い炎である。それが襲い掛かって来たのだ。
「白い炎だと!」
「赤ではないというのか」
「これは」
「白き炎は最も熱き炎」  
 それを放ったシャカの言葉である。
「まさに全てを焼き尽くす浄化の炎」
「ならば我等を焼き尽くせるというのか!」
「戯言を!」
「その様なことができるものか!」
「ならば受けるがいい」
 シャカの今度の返答は一言であった。
「御前達自身で。不動明王のこの浄化の炎をだ」
「くっ、これは!」
「だ、駄目だ!」
 忽ちのうちに数人がその炎の衝撃に吹き飛ばされた。
 そうしてだった。彼等の誰もが瞬く間にその荒れ狂う白い炎に吹き飛ばされた。その熱さ、衝撃は彼等をしても避けられるものではなかった。
 全ての者が城の石畳の上に叩き付けられた。瞬時にであった。
「ば、馬鹿な・・・・・・」
「七十二柱の魔神の我等が全員だと・・・・・・」
「しかも瞬時にだと・・・・・・」
「言った筈だ。私は神だ」
 シャカはその倒れ伏す彼等の前に立ちながら静かに述べてきた。まるで何もなかったかの様に涼しげな顔でそこに立っている。
 白い炎は既に消えている。その中でさらに言うシャカだった。
「御前達は確かに強い。しかしだ」
「貴様はそれ以上だというのか・・・・・・」
「まさに」
「そうだ。私と戦える者は神のみ」
 まさにその神だけだというのだ。
「では。その神と今から戦いに向かうとしよう」
「くっ、バルゴのシャカ・・・・・・」
「何という恐ろしい男だ・・・・・・」
「間違いない、この男こそ」
 彼等は薄れゆくその意識の中で確信していた。
「聖域で最も恐ろしい男・・・・・・」
「まさに最強の聖闘士だ・・・・・・」
「間違いない・・・・・・」
 その黄金聖闘士達と戦ってきた彼等の言葉である。
「神だ」
「だが、しかしだ」
「バルゴよ、覚えておくことだ」
「そうだ、覚えておくのだ」
 彼等は倒れ伏しながらも最後の力を振り絞って言うのであった。まだその目は死んではいなかった。その目を光らせながらの言葉だった。
「八大公の方々、それに四闘神の方々はだ」
「貴様をしても容易な相手ではない」
「それにアーレス様だ」
「あの方には勝てはしない」
 その彼等の主である。赤い戦いの神だ。
「それを覚えておくことだ」
「そしてアーレス様さえ御健在ならばだ」
「我等は何度でも蘇ることができる」
「アーレス様の御力によりだ」
 だからこそ彼等は今いる。それは事実だった。
「最後に勝つのは我等だ」
「何があろうともだ」
「それを覚えておくがいい」
「冥界でそれを思い知るのだ・・・・・・」
 こう言ってそれぞれ息絶える。七十二の小宇宙が今消え去った。
 アーレスは己の玉座にいた。そこでその小宇宙達が消え去ったのを感じ取った。そのうえで今は傍らに控えるエリスに対して告げるのだった。
 
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