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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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682部分:第九十八話 出陣その一


第九十八話 出陣その一

                   出陣
 シオンは己の前に全ての黄金聖闘士達を集めていた。まさに黄金集結であった。
 この聖戦においては常に行われていることだ。だが今はその雰囲気が全く違っていた。
「へっ、どうやらわかってるみてえだな」
「わからない筈がない」
 アイオリアが緊張した面持ちでデスマスクに返す。そのデスマスクの顔もその笑みがいささか引きつっていた。そのうえでの言葉だったのだ。
「これだけの禍々しい小宇宙はだ」
「あいつしかねえな」
「アーレス、間違いない」
 アルデバランもその顔が強張っていた。
「遂に出て来たか」
「それだけではありません」
 アフロディーテですら普段の余裕がその表情から消え失せてしまっている。
「争いの女神エリスと四闘神、それに」
「ええ。八大公と倒れた筈の彼等がです」
 ムウも今はあの優雅な微笑みがなかった。
「います」
「復活したということだな」
 カミュは何とか冷静さを保っていた。しかしその目はかなり険しいものだった。
「あの者達もまた」
「つまりトラキアの戦力は以前よりも遥かに強大になった」
 シュラもその緊張が恐ろしいまでだ。
「あの者達も復活したことによって」
「その通りです」
 シャカだけであった。彼だけは普段とその態度が同じであった。
「今トラキアは戦力のピークにあります」
 そんな話をしながら教皇の間の中を進んでいく。そしてその彼等の前にだ。あの二人がいてそのうえで声をかけてきたのであった。
「来たか」
「これで全員だな」
 サガとアイオロスだった。彼等は既に来てそのうえで二人並んで立っていたのである。
 そして彼等を迎えてだ。また言うのであった。
「それではだ。行くか」
「教皇の御前に」
「はい」
 応えたのはシャカであった。
「今から」
「わかっていると思う」
「既にだ」
 二人はあらためて彼等に告げた。
「アーレスは復活した」
「そしてトラキアにいる」
「嫌になる位わかるぜ」
 デスマスクは相変わらず目を笑わせられなかった。
「本当にな」
「だからこそ我等は今ここにいる」
 シュラもそのまま険しい顔だ。
「そのトラキアに向かう為にだ」
「そしてです」
 アフロディーテも続く。
「貴方達もですね」
「無論だ」
「言うまでもない」
 二人の返答は既に一つしかなかった。
「それはだ」
「我等も共に行く」
「言い換えるならば行かなくてはならない」
 カミュも冷静さに加えて深刻さがそこにあった。
「そういうことだな」
「言い換えればな」
「そうなる」
 それを否定しないことにも彼等は言うのだった。
「我等全てでだ」
「トラキアに向かわなくては勝てるものではない」
「そして」
 さらに言う彼等だった。
「我等全ての力を合わせなくてはだ」
「今のアーレスの軍勢には勝てはしない」
「黄金聖闘士全員が」
 アルデバランはそれを聞いて強張った顔で述べた。
「まさに聖戦ということだな」
「普段ならば我等が出るだけでも余程のことだ」
 ミロはそのことはよく認識していた。黄金聖闘士というものはそれだけの重さがあるのだ。それだけの存在でもあるのである。
「その我等が全員か」
「今聖域にいる黄金聖闘士は十一人」
 アイオリアも言う。
「それが全てなのか」
「それだけで済めばいいのですが」
 ここで言ったのはシャカだった。
 
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