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Three Roses

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第二十五話 最後の言葉その十二

「構いません」
「左様ですか」
「そうですか、公爵はそう思われますか」
「どうも」
「卿達もでしょうか」
 マリーは大司教とデューダー卿、キャスリング卿にも尋ねた。
「そう思っていますか」
「はい、どうも」
「私達もです、お言葉ですが」
「そう思います」
 三人の返事も変わらなかった。
「マリー様は歩み寄られていますが」
「マイラ様はその分離れられています」
「どうにも」
「やはりそう見えますか」
 四人の言葉を否定せずにだ、マリーは返した。
「私達は」
「マリー様ご自身もそう思われますか」
「距離は縮まっていないと」
「これまで何度もお会いしていますが」
「それでもと」
「私はです」
 マリーとしてはというのだ。
「同じ姉妹ですから」
「だからこそですね」
「仲良くしていきたい」
「姉妹として」
「そうありたいですね」
「はい、ですが」
 彼女がそう思っていてもというのだ。
「姉様は」
「元々お静かな方です」
 大司教はマイラのこの気質を話した。
「お一人でいられることを好まれる」
「学問と信仰にですね」
「その中におられることを好まれます」
「そうした方だからこそ」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「マイラ様はです」
「私が歩み寄ってもですか」
「離れられます」
「どうしてもです」 
 今度はデューダー卿がマリーに話した。
「あの方はです」
「お母上のことで」
「はい、あの方のお母上は旧教の方であられ」
「側室であったからですか」
「このことがどうしても気になられて」
 それでというのだ。
「ご幼少の頃からです」
「はい、ああした方でした」
「ですから今も」
 成人したがそれでもというのだ。
「お一人でおられることを好まれるのです」
「だから私とも」
「ご自身とマリー様は違うともです」
「その様にもですか」
「お考えでしょう」
 マイラ、彼女はというのだ。
「やはり」
「私もそう思います」
 キャスリング卿もマリーに話した。
「マイラ様はマリー様に強い劣等感をお持ちなのでしょう」
「劣等感ですか」
「そうです」
 その感情をというのだ。
「そうであるからこそです」
「私を避けていて」
「そのせいで」
「その理由はわかりますが」
 マりーにしてもだ、それがわからない彼女ではない。 
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