Three Roses
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第二十五話 最後の言葉その十一
「それも非常に」
「兵ではなく教義ですか」
「それで攻めてくるとは」
「確かに切れる方ですね」
「それも相当に」
「人を率いる力もお持ちです」
マリーは太子のこの資質も見抜いていた、ただ切れるだけではないことも。
「同じ旧教とはいえ他国の者達も引き込むとは」
「確かに」
「今ではこの国の旧教徒の指導者です」
「マイラ様の夫というお立場から」
「そうなっています」
「人を惹き寄せるものをお持ちです」
それが太子が人を率いらせる素だというのだ。
「ですから余計にです」
「恐ろしいと」
「そうなのですね、あの方は」
「そう思います」
まさにというのだ。
「流石に後に皇帝となられる方ではありません」
「帝国の、ですね」
「あの帝国の皇帝になられる方」
「だからこそですね」
「それだけの資質をお持ちですね」
「その方が私達の向こう側にいます」
即ち旧教の方にというのだ。
「ですから用心してです」
「教義のこともですね」
「学びそして」
「対する」
「そうしていくべきですか」
「そうしていきましょう、次の王は決まりましたが」
王子、マリーの養子になっている彼女のだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「それで全てが決まったのではない」
「むしろこれからもですね」
「政は続いていきますね」
「はい、では」
マリーはここまで話してだ、諸侯達に話した。
「これからは」
「はい、これからはですね」
「旧教の教義も新教の教義も学び」
「そのうえで、ですね」
「旧教に対していくのですね」
「そうなります」
マリーは諸侯達に毅然とした口調で話していた、しかしそれだけで終わりではなくだ。諸侯達が去ってからだ。
マリーにだ、ロドネイ公が言った。大司教とデューダー卿、キャスリング卿も共にいる。この四人はやはり側近中の側近であり今も共にいる。
「明日またですね」
「はい、マイラ姉様とです」
「お会いになられますね」
「その予定です」
マリーも答えた。
「楽しみにしています」
「それはいいことなのですが」
「何か」
「私が見たところですが」
こう前置きしてだ、ロドネイ公はマリーに話した。
「お二人の距離は」
「まだ、ですか」
「はい、縮まっていないのでは」
「そう思われます」
「お気を悪くしたら申し訳ありませんが」
「いえ」
ロドネイ公のその言葉はいいと返した。
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