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Blue Rose

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第三十五話 欧州の美その一

                 第三十五話  欧州の美
 宮殿から宝石の展示コーナーに優花と共に入ってだ、龍馬はその宝石達を見てこんなことを言った。
「こうした宝石って日本にはな」
「あまりないわよね」
「ああ、どういう訳かな」
「江戸時代まではね」
 その頃までの日本はとだ、優花も話す。
「そうした方面はね」
「日本で宝石採れなかったからか」
「多分ね」
 それでというのだ。
「そうしたものを芸術に使わなかったのよ」
「そうなんだな」
「私が思うにね」
「よく欧州の貴婦人が飾ってた」
「マリー=アントワネットみたいに」
 ハプスブルク家出身のフランス王妃だ、革命に巻き込まれ断頭台の露として消えたこともあまりにも有名であろう。
「ダイアとかサファイアとか」
「そういうのはなかったな」
「珊瑚とか翡翠はあっても」
 それでもというのだ。
「あまりね」
「そうだよな、日本は」
「武士の人達も華美じゃなかったし」
 質素さでは定評があった、何しろ多くは赤貧だったというある意味凄い支配階級だった。
「あの人達って」
「そっちとは全然関係がないな」
「武士の人達はね」
「あの頃の日本の絢爛は」
 それはとだ、龍馬が思うにはだ。
「歌舞伎か」
「ああした派手さだね」
「また違う方向の華美だな」
「そうよね」
「宝石のそれじゃないか」
「ええ、あと次に行く陶器とか漆器よ」
 それもというのだ。
「日本の華麗な芸術は」
「漆器もか」
「漆器もなのよ」
 所謂漆塗りもというのだ。
「あれもね」
「日本の芸術作品か」
「それで世界的にも有名だったのよ」
 優花はダイアの首飾りを見ながら龍馬に話した、無数の白く輝くダイアが無数に繋げられていてそれで飾られている。
「そこからジャパンになったし」
「漆器からか」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「その名前もね」
「それだけ凄かったんだな」
「そうだったの」
 まさにというのだ。
「日本の漆器はね」
「意外だな」
「ちなみに陶器はね」
「ああ、中国だな」
「チャイナはね」
 中国の英語読みのそれはだ。
「まさにそれよ」
「そうか、やっぱりな」
「そう、日本は漆器でね」
「陶器は中国か」
「それぞれ名前になっているの」 
 そうだというのだ。
「英語のね」
「そうなんだな」
「本当に漆器はね」
「日本を代表するものなんだな」
「かぶれるけれど」 
 こうも言った優花だった。 
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