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Blue Rose

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第三十四話 ハウステンボスでその十四

「こうした場所は」
「今私達がしているみたいにね」
「それならいいさ」
 龍馬は笑ってだ、優花に話した。
「こうしていれば」
「そうね、観ているとね」
「奇麗なものを観ているとな」
「それだけで幸せな気持ちになれるから」
「いいよな」
「私もそう思うわ」
 優花も微笑み龍馬に話した。
「こうした場所にいても」
「いいよな」
「ええ、だから次はね」
「宝石とかか」
「それか美術館か」
「どっちか行くか」
「どっちがいいかしら」
 優花は龍馬に顔を向けて尋ねた。
「それで」
「難しい問題だな」
「距離で考える」
 優花は今度はこう言った。
「それで」
「そうするか」
「お昼食べるお店は」
「イタリア料理店でな」
「確か」
「長崎に縁のあるな」
 まさにとだ、龍馬は優花に話した。
「あのイタリアの作曲家さんの名前のな」
「そのお店ね」
「そこに行くからな、場所は」 
 そこはというと。
「さっきワイン飲んだお店の近くだよ」
「じゃあすぐにわかるわね」
「というか運河沿いに降りる時に前通ったぜ」
「あっ、あのお店ね」
「ああ、あそこだよ」
「そうなの、それじゃあ」
「もう場所わかったよな」
 微笑んでだ、龍馬は優花に言った。その顔はワインのせいで真っ赤であるが足取りはしっかりしていて言葉の呂律も確かだ。
「じゃああそこに行こうな」
「わかったっわ」
「それで次は何処に行く?」
「近くね、じゃあ」
 それでというと。
「戻る時に宝石の展示コーナーに行けるから」
「じゃあそこ行くか」
「あとあのお店の近くに陶器のコーナーもあるの」
「陶器?」
「そう、陶器のね」
 それのというのだ。
「そこに行かない?御飯を食べる前に」
「陶器って」
「欧州でも陶器流行ってたの」
 そうだったとだ、優花は龍馬に話した。
「日本や中国から輸入してね」
「貴族の人達の間に」
「それで流行って欧州でも陶器が造られる様になったの」
「その陶器を集めたコーナーがあるのか」
「これがまた奇麗だから」
 それでというのだ。
「行く?」
「じゃあそうするか」
「それで午前まだ時間があったらね」
 今二人がいる城に宝石、そして陶器のコーナーを見て回ってだ。
「美術館も行きましょう」
「そうするか」
「ええ、じゃあね」
「お城を隅から隅まで見て回ってな」
「それからね」
 宝石や陶器を見て、というのだ。二人はこれから行く先も決めた。
 そのうえでだ、優花は宮殿の中の階段の一階まで降りたところで龍馬にこんなことを言った。
「ドレス着て、それでこのお部屋にいたいわ」
「おいおい、ベルサイユの薔薇みたいにか」
「そうも思ったわ」
「何か乙女だな」
「自分でもそう思うわ」
「もう完全になんだな」
「そうなったわ」
 心まで少女になっていた、優花はそのことを自分でも感じ取りながらそのうえで宮殿のその優雅で華麗な雰囲気も楽しんでいた。


第三十四話   完


                        2016・8・19 
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