提督はBarにいる。
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提督のホワイトデーお返し大作戦!
礼号作戦に纏わるゴタゴタが終わった後、俺は3日間の有給を取った。とは言っても休みではない。来るホワイトデーの為にお返し用のクッキーを支度する為の休暇だ。何しろ250を超える人数だ、纏めて作らないと時間が足らなくなる。更に今回の騒動の詫びのつもりなのか、ジィさんの所から新型の駆逐艦が2隻、来る事になったとの連絡が入った。秋月型が1隻、夕雲型が1隻。この娘達にも配らなくては。
毎年趣向を変えて作っているのだが、今年はベタにクッキーの詰め合わせにしようと考えていた。必要な材料も買い揃え、俺が隠れ家代わりに借りたアパートに引きこもる。大して大きくない部屋なのだが、本格的なアイランドキッチンが付いているのを気に入って即決で借りた。緊急の用が無ければ連絡も来ない。ここなら集中して取り組めそうだ。
「さて、まずはプレーンなバタークッキーだな。」
《王道!バタークッキー》※分量は30枚分位。
・バター:100g
・砂糖:60g
・卵黄:1個
・薄力粉:150g
・バニラオイル:5滴くらい
まずは定番、室温に戻したバターと砂糖を合わせる。最初はゴムへらを使いながら練るように混ぜ合わせ、手触りが滑らかになってきたら泡立て器に持ち換え、砂糖のザラザラとした感触が感じられなくなってバターが白っぽくなるまで混ぜ合わせていく。
次は卵黄だ。練り上げたシュガーバターに卵黄を加えてムラが無くなるようによく混ぜ、混ざった所にバニラオイルをチョンチョンと。薄力粉を振るい入れて、ゴムへらでサックリと混ぜる。ある程度混ざったら手で粉っぽさが無くなるまで捏ねていく。
捏ね上がったら棒状に成型し、ラップでくるんで冷蔵庫で生地を30分~1時間寝かせる。この間にオーブンの余熱と2種類目の仕込みを始める。同じ種類ばかり作らずに、飽きの来ないように作っていくのが、250人分以上のクッキーを作る時のコツかな?そんな機会無いとは思うが。
「さてと、お次は……ココア生地にスライスアーモンドだな。」
《サクサク!ココアアーモンドクッキー》※分量は3cm円形で20枚位
・薄力粉:100g
・ココアパウダー(無糖):20g
・バター:60g
・砂糖:40g
・卵黄:1個
・スライスアーモンド:適量
手順はほぼさっきのバタークッキーと変わらない。バターと砂糖を練り合わせ、薄力粉とココアパウダーを振るい入れて混ぜる。バターが少な目なのは、アーモンドが入るからくどくならないようにする為と、ココアパウダーの香りを殺さないようにする為だ。
ゴムへらでサックリと混ざったら、ここでスライスアーモンドを投入。後はバタークッキーの時と同じ要領で捏ねていく。アーモンドが粉々になりすぎないように注意しよう。これも捏ね上がったら棒状に成型、ラップでくるんで冷蔵庫へ。……っと、バタークッキー用に余熱していたオーブンが温まったらしい。バタークッキーの生地を取り出して、カットして焼いていこう。
ラップを外したら直径3cm位にした生地を1cm幅位に切っていく。後はクッキングシートを敷いた天板に並べて、170℃に余熱したオーブンで30分焼いたら完成。勿論、焦げないようにチェックしながら焼き色は調整してくれ。
割とベーシックなクッキー2種類が出来た所で、今度は小麦粉もバターも卵も使わない、風変わりなクッキーを1つ。
……え?小麦粉使わずにどうやって生地を作るのか、って?そいつは今からのお楽しみ。
《朝ごはんにも!ココナッツオートミールクッキー》※分量は30枚分位
・オートミールの粉末:200g
・オートミール:80g
・ココナッツロング:50g
・ココナッツオイルまたはオリーブオイル:30g
・はちみつ:30g
・牛乳:適量
・シナモンパウダー:お好みで
・ナッツ類やドライフルーツ:お好みで
小麦粉を使わない秘密はコレ、オートミールだ。オートミールってのは燕麦(えんばく)って麦を脱穀して調理しやすくしたもの。または、それを粥状に調理したり、加工したものを指す。アメリカやカナダ、イギリスなんかだと牛乳とかかけて食べる朝食の定番だったりするらしい。保存も利くから、昔のアメリカ海軍ではレーションとしても採用してたらしいぞ。……おっと、話が逸れたな。今回はこいつを粉に挽いた物と粒のままの物、2種類を使ってザクザクとした歯触りの食感の良いクッキーを作る。
調理は簡単、材料を全てボウルに入れ、混ぜ合わせたら牛乳を少しずつ加えて纏めていく。牛乳がつなぎだから弛くなりすぎないように調整しながら混ぜるように。
生地が纏まったら天板にクッキングシートを広げ、30枚が同じ大きさになるように等分しながら丸く成型していく。少し位不格好な方が歯応えが楽しめるぞ。オートミールは全粒穀物だから栄養価も高いし、今回のレシピは甘さ控え目だから朝飯代わりにもオススメだ。ナッツやドライフルーツを加えて味の幅を広げると飽きずに食べられる。
焼く時は180℃に余熱したオーブンで15分だ。丁度バタークッキーが焼き上がったらしい。取り出すとバターの濃厚な香りと砂糖とバニラオイルの甘い香りが鼻をくすぐる。どれ、一枚味見……と。
「うん、サクサク。バターと砂糖で超濃厚。これなら紅茶でもコーヒーでも牛乳でも、何でも合うな。」
よしよし、少しオーブンを休ませて、今度は180℃に余熱だ。ココアクッキーの生地もそろそろ頃合いだから、カットして焼く準備に入ろう。ココアクッキーもオートミールクッキーと同じく、180℃で15分だ。
よし、この調子でどんどん作っていこう。
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