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Three Roses

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第二十四話 やつれていく身体その十五

「叔父上は」
「それでそなたを次にと考えていたが」
「しかしですね」
「それは適わなくなった」
「私の為に」
「いいのだ、そなたは女王に相応しかった」
 言葉は既に過去形になっていた。
「それ故にだったからな」
「左様ですか」
「しかしそなたは女王にはなれなくなった」
 太子はマイラにあらためてこの現実を述べた。
「だがそれでもだ」
「まだ、ですか」
「やり様はある、私は動いていく」
 これで終わらずにというのだ。
「そなたの悪い様にはしない」
「それでは」
「私に巻かせてくれ、そしてそなたは」
「私は、ですか」
「マリー王女と仲良くしてくれ」
「妹と」
「そなた達は血を分けた姉妹なのだからな」 
 このことをマイラに指摘して話した。
「だからこそな」
「共に手を携えてですか」
「そのうえでこの国を治めていくのだ」
「姉妹二人で摂政として」
「共に働くのだ」
 是非にというのだ。
「この国の為にな」
「そうですか、しかし妹は」
 マイラは顔を曇らせてそうして太子に述べた。
「私とは違います」
「私はそうは思わないがな」
「妹はむしろセーラ、そしてマリアと」
「三人の仲睦まじいことは知っている」
 太子もこのことは否定しなかった。
「しかしだ」
「それでもですか」
「そなた達は姉妹だ、実の姉妹はだ」
 あえてだ、太子はマイラとマリーが母親が違うことを言わなかった。彼の考えではそれでも同じ姉妹であるからだ。
「何よりも強い絆がある」
「同じ親を持つからこそ」
「兄弟姉妹こそ手を携えなければだ」
 それこそというのだ。
「国は成り立たない、だからこそだ」
「私と妹は」
「手を携えていくのだ、いいな」
「そうすべきですね」
「それを頼む、では今宵もな」
「はい」
 マイラは太子の今の言葉には素直に頷いた、そうして共に同じ部屋に入った。二人が行く場所は同じだったが心はそれぞれだった。


第二十四話   完


                     2016・9・15 
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