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Three Roses

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第二十四話 やつれていく身体その十四

「そして」
「はい、そのうえで」
「この国を正しく治められる」
「そのおつもりでしたね」
「女王として」
「旧教の信仰に基づいた」
 マイラは二人に答えた。
「そう考えていましたが」
「しかしです」
「それはです」
「女王としては」
「適えられなくなりました」
「女王として、つまり」 
 オズワルド公の言葉にだった、マイラは反応してだった。そのうえで彼等に対して言ったのだった。
「摂政として」
「はい、マリー様とマイラ様はです」
「共に摂政になられるとか」
「王子、次の王の摂政として」
「若しお若い時に玉座に就かれれば」
「そうなりますか、では」 
 女王になれなくなったことに気落ちして俯いていたがだ、マイラは何とか気を取り直してそのうえで言った。
「これからは」
「摂政としてです」
「この国を導かれることになります」
「そのうえで、です」
「お励み下さい」
「わかりました」
 まだ俯いているが確かな声でだ、マイラは答えた。
「そうさせて頂きます」
「旧教は必ず力を取り戻します」
「正しき教えなのですから」
「ですからマイラ様もです」
「再び」
「そうですね、私もまた」
 ようやくだった、何とか。
 マイラは顔を上げた、表情は浮かないが。
 そのうえでだ、こう言ったのだった。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「その様に」
 二人の側近達も応えた、そのうえで。
 あらためてだ、気力を振り絞って言葉を出した。
「これからも宜しくお願いします」
「わかりました」
「これからも」
 二人も応えた、そのうえでだった。夜に太子と共になった時にだ、窓から月を見つつそうしつつ彼に問うた。
「叔父上は」
「王か」
「近頃特に」
「実はだ」
 太子はマイラに応えて話した。
「最早な」
「そうなのですか」
 マイラもここで察した。 
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