フロンティアを駆け抜けて
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約束の証明
「行くよ、ルリ!」
「現れろ、王潤す清水運びし水の君!スイクン!」
ボールから出ると同時に、北風が吹いた。やはりというべきか、ジャックの先鋒を務めるのは伝説のポケモンだ。蒼と白によって作られた体のラインは、美しさを超えて神々しくすらある。
「まずは無難に行こうか、『オーロラビーム』!」
「ルリ、『アクアジェット』!」
まずは小手調べ、というふうでスイクンの周囲の空気が歪み、極冷の風となってマリルリに吹きつけるのを、尾から飛び出る水流によって横っ飛びに躱すマリルリ。
「だったら『かぜおこし』だ!」
「一気に突っ込んで!」
スイクンの象徴たる冷たい北風が広範囲に吹き付ける。ジェムはわずかに身震いしたが、分厚い脂肪を持つマリルリなら大したダメージはない。再び瞬発力のある動きでスイクンの横に潜り込む。
「へえ……伝説相手に強く出たね」
「悪いけど、ジャックさんでも臆さないわ!ルリ、ジャンケン『グー』!」
緩急の激しい動きに、スイクンの体が一瞬強張る。その隙を見逃さず、『腹太鼓』の攻撃力増強を腕一本に集約した拳で腹の部分に強烈な一撃を加える。スイクンの体が大きく吹き飛んだ。だがジェムは油断しない。
(まだ全然本気じゃない、今のは打たせてくれただけ)
技自体もその威力も、伝説の本気とは思えなかった。事実一撃を受けたはずのスイクンは、体の周りの風を操りふわりと着地し、毅然とした目つきは鋭さを増す。
「さすが君らしい、可愛らしい攻撃だね」
「褒めてるのかしら?だけど威力は可愛くないわよ!一気に畳みかけて!」
マリルリが吹き飛んだ方向にジェット噴射で近づく――その勢いが、急激に弱くなった。部屋の中に、体の芯から冷えるような冷たい強風が吹き始める。それはマリルリの行く手を阻む逆風となり、スイクンにとっての追い風となった。
アクアジェットの噴射は一瞬だ。風の勢いに負け、ゴロンゴロンと丸い体を転がすマリルリ。スイクンの『追い風』だ。
「なら、可愛いだけじゃなくなった弟子にはそれなりの対応をしないとね。北風の象徴たるスイクンの力、見せてあげるよ」
「っ……来るよルリ!」
スイクンが、加速する風に乗って跳ぶ。マリルリはまた横に飛ぶが、スイクンは流れるように追随し、狙いを定める。その口に、青い光が迸る。
「『冷凍ビーム』!」
「『身代わり』で逃げて!」
風に邪魔され、身動きを制限されるマリルリは咄嗟に水の分身を作って後ろに下がる。それに冷気の光線が直撃し、一瞬で凍り付いた後粉砕された。
「判断も速くなったね。男子三日会わざれば括目して見よとはよく言ったもんだよ」
「私は女よ?」
「冗談冗談」
けらけらと愉快そうに笑うジャック。それを見ていると、おくりび山で毎日相手をしてもらった時を思い出す。ずっと勝てなくて、時には負けて悔しくて泣いたりして。彼はそれを慰めて。その後父親の代わりに笑わせてくれた。この笑顔をくれたのは君のお父さんなんだよといつも言っていた。ジェムが父を強く尊敬しているのは、彼のおかげでもある。
「……ルリ、間合いを詰めて!いつでもアレが撃てるようにしててね!」
「確かにさっきの技はなかなかだったけど、出来るかな?」
激しい水の噴射と、冷たい風の流れ。緩急の強い動きを繰り返すマリルリに最初こそ出遅れたが、伝説の威光を持つスイクンは徐々に対応し、拳の間合いに入らせない。そして時折放たれる極寒の光線が、マリルリの体力を削っていく。
マリルリの体が徐々に凍っていき、動きが鈍くなり、間合いから遠ざかる悪循環だ。
「それじゃあとどめかな!『冷凍ビーム』!」
「今よルリ!ジャンケン……!」
「そこからじゃ届かないよ?」
マリルリとスイクンの間合いは、およそ4mまで開いていた。マリルリの拳では到底届かない。それでもマリルリはジェムの指示に従い、腕に力を籠める。口に冷気を込めたスイクンが、蒼い光線を放ちまっすぐにマリルリを狙う。力を溜め、太くなった光線は避けられる速さではない。
ジェムはその状況で――確かに、笑った。
「『パー』!!」
「ルリー!!」
マリルリが掌にして突き出し、ハイドロポンプと同等の勢いで『アクアジェット』が噴き出す。それは蒼い光線にあたって凍り付き、なおも放たれる水は光線を凍りながら食い尽くすようにスイクンの元へ伸びた。凍った『アクアジェット』がスイクンの顔を直撃する。実質巨大な氷柱が爆発的な速度で突っ込んできたようなものだ。追い風など関係なく壁まで突き飛ばし、スイクンの体が倒れる。
「へえ……すごいね。まさか『アクアジェット』があそこまでの威力を持つなんて。『貯水』の特性を持つスイクンでも、凍った水は吸収できない……よく考えたね」
「知らない水ポケモンがいたら水技は全く効かないかもしれないことは頭に入れておきなさいって、ジャックさんに教えてもらったもの」
「よくできました。80点をあげよう。――でも油断するのはまだはやい!」
スイクンにはもう立ち上がるほどの力は残っていない。だが、防御に優れるが故に戦闘不能にはなっていなかった。蒼い目が輝き、『神通力』が発動する。その技は念動力によってマリルリの体を穿ち、水風船を割ったように破裂した。
もちろんジャックにもスイクンにもマリルリを殺すつもりなどない。予想外の光景に、一瞬動きが止まる。
「……まさか」
「油断したのはそっちよ!私達の全力、見せてあげる!」
破裂した水は、マリルリの『身代わり』だった。気づかぬ間に、スイクンの体を打ちつけた氷柱は上に傾いて斜めになっていた。それは、『アクアジェット』で上に飛びあがったマリルリが凍った氷柱を持ちあげたせいだった。
体に似合わぬ尋常ではない怪力は。氷柱を完全に持ち上げ、再びスイクンを撃つ巨大な氷のバットにする!
「な……逃げろスイクン!」
「どこにいても同じよ!いっけえ、逆転満塁ホームラン!」
ジェムが拳を突き出すと、マリルリは氷柱をフルスイング。フィールドを根こそぎ吹っ飛ばすような動きはスイクンを芯で捉えて、天井まで叩きつけた。落ちてスイクンに、完全に力は残されていない。
「……お疲れ様、スイクン」
「ルリ、ありがとう。後で元気にするからね」
ジャックはスイクンが地面に叩きつけられる前にボールに戻し、ジェムもマリルリをボールに戻した。身代わりの使用に消耗が少ない二回のジャンケン、そして最後の一撃はさすがのマリルリといえども通常の力では不可能。調整なしの、全力の『腹太鼓』を使ったためもう体力は残っていない。
「スイクンの反撃を予測して身代わりを作っておいたとはね……」
「何が起こるかわからないのがポケモンバトル。強烈な一撃の後も油断は禁物……でしょ?それに、私達がジャックさん相手に油断なんて出来るわけないじゃない。いったい今まで何度負けたかわからないんだから」
「ふふ、楽しいね。さすが僕の弟子だ。やっぱりバトルっていうのはこうでなくっちゃ!!」
ジャックが二つめのモンスターボールを取り出す。ジェムも二体目のクチートを出した。
「それじゃあお待ちかね、かつて君のお父さんを苦しめた伝説のポケモンの登場だ!現れ出ちゃえ、全てを弾き返す鋼のヒトガタ――レジスチル!!」
鉛色の丸みを帯びたボディに、表面の点字。いかなる感情も伺えない面持ちが、異常なプレッシャーを放っている。
(このポケモンが、昔お父様と戦った……)
話はジェムの母親やジャックから聞いている。まだ旅の途中、圧倒的な力を前に父親が屈しかけた伝説のポケモン。場に出たクチートが『威嚇』をするが、全く意に介した様子を見せない。
「あの時は技を出せなくなるまで戦う消耗戦だったけど、君はどうするのかな?君の答えを見せておくれ」
「……私達は正面突破で行くわ!クー、メガシンカ!漆黒を靡かせ、仇なすものをを噛み砕いて!」
ジェムが拳を天につき上げ、クチートの体が桃色の光に包まれる。一つの後ろ顎が枝分かれし、ツインテールのような二口になる。それを持ちあげ、クチートがあざとく笑顔を浮かべた。
「さてさて、続いて『力持ち』のポケモンか。ならレジスチル、『呪い』だ!」
「クー、『噛み砕く』!」
レジスチルの体を赤いオーラが覆っていく。ゴーストタイプの『呪い』は相手を呪う黒い呪詛だが、それ以外のポケモンが使った場合は素早さと引き換えに力を上げる赤い呪詛となる。
畏れずメガクチートがレジスチルに挑みかかり、その二つの牙で鋼に噛みついた。鋼と鋼がぶつかり、砕ける音がする。
だがそれは、レジスチルの体が砕けた音ではなかった。クチートの顔が苦痛に歪み、一歩下がる。ジャックには、クチートの二つの顎の歯が砕けているのが見えた。ジェムにも、レジスチルの体が凹みすらしていないのを見て理解する。
「あははっ、その程度の攻撃力じゃ僕のレジスチルは倒せないよ!」
「なんて固い身体……!」
「今度はこっちから行くよ、『チャージビーム』!」
レジスチルが両手を重ねて突き出すと、そこから一本の電撃が放たれる。威力も攻撃範囲も大したことはなく、クチートは二つの顎を重ねて防いだ。電流が体に流れるが、痛手ではない。
「また最初は手加減した攻撃?」
「いいや、ここからは本気の本気だよ。『チャージビーム』で攻撃した時、自分の体内にも電気を溜めることで自分の特攻を上げることが出来る……さあもう一回だ!」
再び掌から放たれた一条の電撃は、さっきよりわずかだが太く速くなっていた。クチートが弾くが、体に流れる電流で動きがわずかに鈍る。
「だったら攻撃力が上がりきる前に攻めるわ!クー『火炎放射』!!」
クチートは、二つの顎を開く。二口に炎が溜まっていき、放たれるのは強烈な炎。メガシンカして顎が増えたことによって、『炎の牙』を遠距離技に昇華させる奥義。
レジスチルはまた電撃を出すが、その威力では相殺しきれず、鋼の体が炎に包まれる。表情はやはり一切伺えないが、鋼タイプに炎技は効くはずだ。
「お見事、単に攻撃力が上がっただけじゃなく、苦手な遠距離戦も対応できるようになったんだね。――でもまだ甘い!『アームハンマー』だ!」
「っ、『アームハンマー』!?」
クチートとレジスチルの距離は離れている。『噛み砕く』や『火炎放射』を避けるそぶりを見せなかったことから、レジスチルの移動速度は遅いはずだ。ならば直接攻撃技の『アームハンマー』は当てられないはず……だが、ジェムとクチートは警戒する。
レジスチルは炎に包まれる腕を一度両方後ろに下げ、反動をつけるように前に伸ばす。そう――本当に、その腕がゴムのように勢い良く伸びた。さながら『炎のパンチ』と化した拳が、金属を加工するプレス機のようにクチートを襲い、後ろへ吹き飛ばす。
「クー!!」
「確かに鋼には炎がよく効く。だけどレジスチルの防御力はおいそれとは突破できない。下手な攻撃は全て跳ね返すよ!」
「だけどクーはまだ戦えるわ。それに『アームハンマー』は強力だけど使った後は動きが鈍るはず……」
「それでも問題ないさ。僕のレジスチルは攻撃も防御も無敵なんだから。今度は『メタルクロー』!」
「クー、ここは耐えて……!」
レジスチルは、伸ばしたままの腕の先端を鋭くしてクチートの顎ではなく身体を狙う。炎の爪を必死にクチートは捌くが、それでも熱された切っ先はクチートの顎、身を守る盾であり矛を削っていく。
10秒、15秒、20秒。今だ身体そのものを焼かれ続けているのに、レジスチルの攻め手は緩まらない。それどころか、『メタルクロー』の攻撃すればするほど研ぎ澄まされる力で与えるダメージは多くなっている。
「……それにお礼を言わなくちゃね。君たちの火炎放射のおかげで本来以上の攻撃が出来るよ」
「どういうこと?」
「ふふ、対戦相手に聞くとは素直だね。それも君の美徳だけど……金属っていうのは熱せられると柔らかくなる。まあレジスチルは元々最も硬く最も柔らかい金属で出来たポケモンではあるんだけど、ね」
「自分の弱点ですら、攻撃のための力に変える。これがジャックさんの本気……!」
レジスチルの特性は『クリアボディ』であり相手による能力の減少を受け付けず、自分の『呪い』に『チャージビーム』、『メタルクロー』で自分の能力を徹底的に上昇させる。元々高い能力を持つがゆえに、速攻で沈めることも極めて難しい。
(だけど、弱点はある。それは『呪い』や『アームハンマー』は己の速度を下げること。そしてもう一つ)
ジェムの予想では、その弱点はもうすぐ露呈するはずだ。だからこそここまで攻撃せずに耐えることに集中していた。凌ぎつつも諦めない様子のジェムに対し、ジャックは静かに言う。
「ああ。残念だけど、レジスチルは炎に焼かれる直前に『ドわすれ』を使ったみたいだね。『チャージビーム』を一時的に使用する選択肢から消すことで、守りを固めたんだ。……もしかして、特防を上げる手段はないと思ったかな?」
「……!!」
ジェムの表情が険しくなる。レジスチルは特防を大きく上げる技も備えていた。しかも『火炎放射』を受ける前に使われていたのなら、ほとんどダメージはないに等しいだろう。クチートは遠距離攻撃が本分ではないからだ。
「手を緩めることに期待して守りに入ったのは失敗だったね。攻撃力がもう4段階、防御が1段階、特攻と特防が2段階……ここまで上がった時点で、もうレジスチルには手が付けられないよ。残念だけど、このまま押し切らせてもらうね」
ジャックの顔が、翳った。その表情は儚くも久遠の時を光る月明りのように淋しげだった。勝利を確信し、これ以上の盛り上がりは望めないからだろう。
そんなジャックを見るのは辛い。彼はジェムにとって兄であり友であり師匠であり、両親にとって大事な人だ。
「果たしてそうかしら?」
「えっ?」
だからジェムは啖呵を切った。ジャックに心の底から笑ってほしいから。ジェムの父親がそうであったように、笑わせてあげたいから。
「まだまだ、お楽しみはこれからよ!クー、ありったけの力で『冷凍ビーム』!!」
クチートが両顎から一気に冷気を放つ。さっきのスイクンのそれに比べれば弱いが、今までずっと耐えながら力を溜めていた分、持続時間は長い。レジスチルを包む炎は鎮火し、冷えていく。
「炎を消せば、クチートに大ダメージは与えられないと思ったかな?姑息な手を使うね」
冷気の放出が止まり、クチートが揃えて前に突き出していた顎が両房に別れる。確かにクチートに与えられるダメージは減るかもしれないが、度重なる『メタルクロー』によって攻撃力は相当上昇している。
「ふふ……自分のポケモンを良く見てみなさい!」
自信満々のジェム。ジャックはレジスチルの体を注視したが、鋼の体は周りが凍り付いているものの大きなダメージを受けたとは思えない。『ドわすれ』によって上がった防御能力は、『冷凍ビーム』にも有効だ。
「金属は熱くなると柔らかくなる。だったら冷やせば固くなるのよね?もうその腕は自由に操れない!クー、『噛み砕く』!」
「しまった……!」
レジスチルの金属は無限に存在するわけではない。伸ばせば、腕は細くなる。クチートの両顎が、レジスチルの細腕を噛み砕き、先の両爪がゴトリと音を立てて落ちた。いくら能力が上がっていても、細い棒の中間を万力以上の力で潰されればひとたまりもない。
「まさか最初から、これを狙って……?」
「確信はなかったけどね。上手く凍らせられれば勝ち目があるかなってくらいだったんだけど、流石ジャックさん。いいことを教えてくれたわ!」
「まったく、君ってやつは……」
「どんなに能力が高くても、技が出せなくなれば勝ち……これがお父様とジャックさんに倣って見つけた私の答えよ!クー、『十万ボルト』!」
再びクチートが顎を揃え、今度は大きな電撃を放ち続ける。一発は大したダメージにはならないが、両腕を失ったレジスチルはただの的だ。時間をかけても倒せるのであれば問題はない。
ジェムの父親は、『影分身』や『怨み』を駆使してレジスチルを行動不能に追い込み、ジェムは腕を破壊することで実質行動の選択肢を奪った。
「すごいね、君は。僕の予想なんて、いつの間にか駆け抜けて追い越してしまう」
「まだ勝負は終わってないわ。まだまだ追いつけてすらない。だからもっと楽しみましょう!」
「――もちろんそのつもりだし、レジスチルの技は腕だけじゃない!『ラスターカノン』!」
「こっちも『ラスターカノン』!」
お互いの鈍色の光弾がぶつかり合い、相殺する。直観的にお互いのポケモンは前に出ていた。傷ついた両顎を振るうクチートと、両腕を失い身一つで突進するレジスチル。
鋼タイプ同士、最後に繰り出す技は一緒だった。
「「『アイアンヘッド』!!」」
顎と頭がぶつかり合い、硬いものが砕ける音がした。急激な温度変化に晒され、本来の硬度を維持できなくなったレジスチルの点で出来た顔のような部分が砕け落ちる音だった。
「……お見事」
仰向けになって倒れたレジスチルを見て、ジャックは満ち足りた笑顔を浮かべた。20年前の約束は、守られていることを実感できたからだ。そして、自分の感情も自覚した。
「君は、自分の父親の言葉が正しいことを証明した。ついこの間、僕と彼がした約束を聞くかい?」
「……うん。聞きたい」
ジャックのついこの間は昨日の事であったり50年前のことであったりするが、今言っているのはジェムが生まれる前、まだジェムの父親が旅をしていたころの話だ。ジェムもそれを察し、今まで語られなかった事実を聞こうとする。
「僕は伝説のゲンシカイキによって大体3000年前から生きているっていうのは知ってるよね。君には言わないようにしてたけど、これだけ生きてるともうこの世の全てが退屈になってくるんだ。今までに見た者の繰り返し、同じ過ちを繰り返す人たち。それだけ固い絆で結ばれても、先にいなくなってしまう友人たち……ずっとそばにいてくれるのは、伝説のポケモンだけ。僕はこの世の全てに絶望していたんだ」
「私にはわからないけど……ジャックさんがたまに辛そうなのは、知ってたよ」
「察しのいい子だね。だから僕は、20年前にこの世界をゲンシカイキの力で滅ぼそうとした。そうすれば誰かが、いや君の父親が黙っていない。彼なら僕の中にあるゲンシカイキを壊してくれる。それで僕は、永遠の眠りにつくことが出来る。そのはずだった」
まだ20年も生きていないジェムには到底理解できない感情。自分の尊敬する人がかつて世界を滅ぼそうとしたことを聞かされて、胸が苦しくなる。
「お父様は、どうしたの?」
「うん。そのことを彼に言ったら、自分で死のうとしちゃだめだって言ったんだよ。僕の気持ちなんてわからないのに。……いや、僕がポケモンバトルが好きなことだけは、わかってたからかな。だから彼はこう言った」
ジャックは胸に手を当て、歴史を紐解く吟遊詩人のように昔の言葉を詠みあげる。
「俺が、誰もが楽しいポケモンバトルを出来るようにこの世界を変えていく!人を笑顔にするチャンピオンになって!誰かを笑顔にしてみせる!そして俺に憧れてくれた誰かがまたチャンピオンにでも何でもなって、志を受け継いでくれればいいんだ!」
「それが、お父様の言葉……」
「……ってね。彼は事実としてチャンピオンになり、今もまだ防衛している。彼に憧れる人は多く、だからこそ様々なバトルを楽しむ最先端の遊技場、バトルフロンティアが誕生した。そして彼の遺伝子と志を受け継ぐ君は、こうして僕の伝説を次々に打倒している。」
「そうだったんだ。やっぱり、お父様は凄いね」
「君もだよ。勿論君を育てたお母さんもだ。……さて、勝負に戻ろうか。約束の証明は済んだ。勝っても負けても、一生忘れないバトルになる。……最高の気分だよ」
「私が勝つわ。こんな話を聞いて、負けられるわけがないもの」
ジャックはモンスターボールを二つ取り出した。中からは岩のヒトガタと氷のヒトガタが現れた。バトルは3対3。後使えるのは一体だけ。しかしジェムは疑問を感じなかった。
「今から見せるポケモンこそ、僕が持つ最強の伝説。――さあ行くよ!レジアイス、レジスチル、レジロック!」
ジャックの体が、青、赤、緑の三色の光を放つ。彼は瞳を閉じて、ジェムの聞いたことのない呪文を唱えだした。ジェムはそれを、固唾を飲んで見ている。
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レジアイスの身体が、氷が解けるように蒼色の光に交じって消える。
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倒れたレジスチルが、溶かした金属が流し込まれるように赤い光となって消える。
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残ったレジロックは、大岩が気の遠くなる時間を重ねて苔むすように、緑の光となって消える。だが3体はいなくなったわけではない。ジャックの後ろで光になったまま、伝説の存在感を放っている。
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伝説を取り込んだ3色の光が、混じりあっていく。ジャックが唱えるのはこの3体が生まれた時に使われていた点によって表現される古代語。唱えるべき呪文は、あと一つだけ両手を合わせて、詠唱を完了する。
○● ○○ ○○ ○● ○○ ○● ○● ○○ ●○ ○○ ○○
○○ ●● ○● ●○ ●● ○○ ●● ●● ○○ ○● ●●
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3体の伝説は、融合して一体の無垢なる巨人となった。7,8mほどの体が、ジェムとクチートを見下ろす。
「現れろ!森羅万象を宿す巨人――レジギガス!」
「こんなポケモンがいるなんて……」
「この子はかつて世界の大陸を飲み込む洪水が起こったとき、大陸を持ちあげて人々を救ったと言われるポケモン。今はさすがにそこまでの大きさはないけれどね。さあ行くよ!」
「『噛み砕く』で迎え撃って!」
レジギガスが寸胴な体に似合わぬ速度で巨腕をまっすぐ伸ばし、クチートの体全体を掴む。それを狙ってクチートの二つの顎が掌に噛みついた。
「残念だけど、インド象にコラッタが噛みついたくらいにしかならないよ!『にぎりつぶす』!!」
レジギガスがクチートの体を持ちあげ、リンゴを潰すように力を込めた。腕の中から、クチートの凄まじい悲鳴が聞こえる。何せこの巨体だ。完全に隠れて見えない分、普通に攻撃されるよりずっと不安になった。
「クー!」
「大丈夫、絵面は酷いけど命に別状はないよ。『にぎりつぶす』はレジギガスだけの技。相手の体力が多いほど本気で攻撃し、逆に体力がなくなるほど威力は低くなる。戦闘不能になっても、死ぬことはありえない」
レジギガスは害意がないことを示すように腕をジェムの目の前にゆっくり動かし、その手を開いて気絶したクチートをそっとジェムの隣に降ろす。ボールに戻すジェムを見て、伸ばした腕を元に戻した。点で出来た顔からはやはり全く表情がわからないが、その仕草は一個の生命に対する確かな慈しみを感じる。さっきの大陸を持ちあげ人を救った逸話といい、優しいポケモンなのだろう。
「さて、お互い残り一体。やっぱり最後はあの子かな?」
「クー、お疲れ様……うん、ラティで行くわ。そして……メガシンカも開放する!」
ボールからラティアスが現れ、すぐさま光に包まれて赤色の体に青が加わり紫色の鋭いボディラインとなった。
「メガシンカで真価を発揮する伝説と、融合によってその威容を現す伝説……さあ、決着をつけよう!『にぎりつぶす』!」
「ラティ、『影分身』!」
レジギガスが再び手を伸ばす前に、ラティアスは光の屈折を操って自分の姿を増やす。自身が高速でレジギガスの周りを飛び回ることもあり、向こうの手は空を切る。
「『竜の波動』で攻撃よ!」
ラティアスがレジギガスの背後に回り、銀色の波動を放つ。そのまま直撃したが、レジギガスは倒れるどころか、よろめく様子すらない。そこにいたのか、と言わんばかりに振り向いて手を伸ばす。
ラティアスは避ける。躱すのは難しくないが、『にぎりつぶす』を受ければ確実に致命傷だ。
「今度は『サイコキネシス』!」
エスパータイプの中でも強力なはずのラティアスの念力は、まるで幼子が親を引っ張ろうとしてるように無力で、微動だにしない。ジャックも特に指示をしないということは、本当に効いていないのだろう。
「レジギガスはレジスチル同様の性質を持ってる。あんまりのんびりはしていられないよ?」
「また能力を上げる技を……?」
「いいや、特性『スロースタート』さ。レジギガスは召喚されてから5分間はその本領を発揮できない。攻撃力もスピードも今は半分程度なんだ」
「これで、半分!?」
ラティアスの移動速度にはかなり劣るとはいえ、決して動きは遅くない。威力は既に絶大といえるほどなのに、また全力を出しきれてはいないのか。
「だったら『冷凍ビーム』よ!足と肩、緑色の部分を狙って!!」
「ひゅううん!!」
メガラティアスが口から幾条もの蒼い光線を放つ。緑色の部分は恐らくは植物だ。ならば草タイプの可能性はそれなりにあると見て、その部分を凍らせていく。
「残念、もう一つ教えてあげるよ。レジギガスは伝説の中では珍しいノーマルタイプ!特別な属性を持たないが故に、明確な弱点は存在しない!」
「特に有効なのは格闘技だけ……」
とはいえ、規格外の巨体に例えば『クロスチョップ』などをしても蠅が止まった程度にしか感じられないだろう。そもそもラティアスは格闘技は使えないので詮無きことではあるが。
「このまま五分まで待っててもいいけど、それじゃあまた対策されちゃうかな!レジギガス、『炎のパンチ』!」
レジギガスの腕が燃えていく。それだけで、ストーブに直に当たるような熱気が部屋を包んだ。まだレジギガスはラティアスの影分身を見切ってはいない。振り上げた拳は、本体ではなく分身を殴って空を切ったが異変が起こる。ラティアスの分身が、みるみるうちに形が歪んでいくのだ。
ラティアスの分身は光の屈折を利用するもの。突然発生した高熱は砂漠で蜃気楼が起こるように、空気を歪ませ、淀ませる。『冷凍ビーム』の氷もあっさりと解けた。
「炎そのものの攻撃じゃないのに、ここまで……」
「もうこれで分身は出来ない。今度はこっちが対策させてもらうよ」
また『冷凍ビーム』を使えば空気は冷やせるかもしれないが、そうすればまた『炎のパンチ』で鼬ごっこが続くだけだ。一瞬で氷は解ける。タイプ一致の念力もドラゴン技も効かない。
「……『ミストボール』!」
「来たね、ラティアスだけの得意技が」
ラティアスが虹色の球体を作り出し、レジギガスに放つ。当たる直前で霧散し、視界と技の威力を奪う魔法の霧になる。これなら炎のパンチでも溶かすことは出来ない。もともと気化しているのだから当然だ。
ラティアスとジェムにはここから派生して相手の体を水で包んで動きと呼吸を奪い、最後に念力で押しつぶす必殺技がある。だがさすがにレジギガスほどの巨体は包めないし、そもそも息をしているのかもよくわからない。自分を姿を隠すので精いっぱい」
「せっかくの専用技も、通用しないかな?」
「……それでも、負けないわ」
「期待してるよ。だけど容赦はしない!レジギガス、『見破る』!」
「ラティ、逃げて!」
レジギガスの腹、左右対称になった3対の目のような部分が光を放つ。その目には、はっきりと霧の中のラティアスの姿が写った。だが警戒し距離を取るラティアスをすぐに攻撃はしない。今の速度では居場所はわかっても逃げられる。
「レジギガスの『スロースタート』が切れるまで後30秒……本気の速度で、狙いを定めたレジギガスが攻撃する。それでチェックメイト!」
「くっ……」
本来の速度に戻ったとしても、ラティアスの移動速度に及ぶわけではない。だがジェムとラティアスはそのことはわからない。最大速度の広範囲攻撃を浴びせれば、少なからず硬直するだろう。避けられない。
だけど、ジャックの中に失望や退屈はなかった。まだジェムは12歳。それでスイクンとレジスチルに打ち勝ったのだ。十分褒めたたえるに値する。将来に期待が持てる。
(そして、実はあと30秒ではなく15秒、『スロースタート』の影響時間は4分45秒……ジェムはいい子だ。故にこそ隙がある。相手の言うことをなんでもかんでも信じちゃいけないって教えてあげないとね)
老爺のような、いたずらっ子のような表情を浮かべるジャック。ジェムは必死に考えを巡らせているだろう。あと10秒まで迫ったとき、行動を起こした。
「ラティ、時間ぎりぎりまでレジギガスの足を『冷凍ビーム』で凍り付かせて!」
「足元を凍らせれば、動けなくなるっていう作戦か……悪くないね。だけど『炎のパンチ』!」
ラティアスの氷を、レジギガスはだらりと下げた腕を燃やして溶かしていく。それでもラティアスは一心不乱に冷気を放ち続ける。凍って解けて、その繰り返し。動きを封じるには至らない。そしてジャックの仕掛けた罠が発動する。
「15,14,13,12,……なぁーんちゃって、0だ!『ギガインパクト』!!」
「えっ……ラティ!」
ラティアスもジェムも、ジャックの言葉を信じたが故完全に虚を突かれた。冷気を放つのは止めたが、動き出しは確実に遅くなった。
一方、ジャックのレジギガスは力を開放するときをずっと待っていた。完全に力を開放したレジギガスは並の速攻型のポケモンを優に超え、音速に近い速度さえ出せる。かつて大陸を動かしたとさえ言わしめた剛腕の動きは、振りかぶっただけで衝撃波を発生させ、部屋全体をびりびりと振るわせた。
3対の瞳も完全にラティアスを捕えている。後はただ単純に拳を振るだけでラティアスは蚊トンボのように撃墜される。
直後、バトルピラミッド全てが震撼するほどの衝撃が発生した。
「……そんな」
驚愕の表情を浮かべ、倒れたポケモンを見やるのは――
「どうして、レジギガスが倒れたんだ!?」
レジギガスの体は、殴りかかろうとした瞬間にバランスを崩して転んだ。右腕に溜まっていた超莫大なエネルギーが暴発し、他ならぬレジギガス自身に大ダメージを与える。ラティアスも衝撃波の影響は受けたが、大したダメージにはなっていない。
「今よラティ!ありったけの力で『竜の波動』!!」
「ひゅううううううん!!」
残り全てのエネルギーを使い、銀色の波動がレジギガスの右腕を狙う。『ギガインパクト』のエネルギーが暴走して壊れかかった腕は、罅だらけのガラスを小突いたようにばらばらになった。レジギガスが咆哮し、起き上がろうとした動きが止まる。戦闘不能だ。
「レジギガスが、負けた……」
「勝った……やったよラティ、みんな!」
レジギガスの体が光になって消え元のレジアイスレジスチルレジロックに戻る。その3体もうつ伏せに倒れ、力を無くしていた。メガシンカを解いたラティアスを、バトルを終えた常として抱きしめる。
ジャックは3体をボールに戻しつつ、ジェムに歩み寄り、手を伸ばした。
「まずはバトルピラミッド攻略おめでとう。そしてありがとう。一生忘れないバトルが出来たよ」
「こちらこそありがとう。昔からジャックさんが色々教えてくれたおかげよ」
ジェムは当然師匠の手を取り、固い握手を交わす。するとジャックの手の中には何か小さな硬いものがあった。ジャックは目くばせして、ジェムにそれを渡す。
「ピラミッドキングに勝利した証だよ。これを君に渡せて良かった」
「……うん、大切にするわ」
受け取ったシンボルを眺めた後、パーカーの中の内ポケットにしまう。
「そろそろ聞いてもいいかな。レジギガスをどうやって倒したのか。あの冷凍ビームはダメージにも足止めにもなっていなかったはずだけど」
倒れた直後に動いたことからして、ジェムは確信をもって何かを仕掛けたはずだ。ジャックがジェムのオッドアイを見つめる。
「レジギガスが倒れたのは……ジャックさんが『炎のパンチ』を使ったからだよ」
「どういうことかな?」
「氷の上は滑りやすいっていうけど、カチンコチンの氷は滑らない。あれは氷が少し溶けて水があるから滑るって知ってる?」
「……へえ、むしろよく知ってるね」
「これでも勉強はしてるもの」
レジギガスの炎によって、氷は溶けていく。そのたびにまた凍らせる。結果、氷が少しだけ溶けた状態になる。
「そして極め付けは、ジャックさんのレジギガスは一気に最大速度で決着をつけるつもりだったということ。思いっきりパンチをしようとしたら、足だって踏ん張らないといけないわよね。だから地面を踏む力は強くなる。強い力で踏まれれば、氷は溶けるし余計滑りやすくなる」
「そこまで考えてあの技を……」
「ねえジャックさん、私はお父様に近づけたかしら?」
バトルに勝って嬉しそうに言うジェム。その思いは純粋で尊いものだが、少し物悲しくもある。だけど、それを否定する権利は自分にはないとジャックは考えていた。
「そうだね、本当に強くなったし、賢くなった。まさにあの二人の意思を継ぐ存在だよ」
「えへへ……」
ジェムにとってはそれが最大の賛辞だ。緩んだ年相応の笑顔を見て、若いなあと思うジャック。
「だけどジャックさん、一人忘れてるわ。本気のジャックさんと勝負してみて分かった。私はお父様とお母様と……ジャックさんの強さも、貰って生きたい。3人とも私の尊敬する家族だもん」
「……」
ジャックはぽかんとした表情を浮かべた。3000年の時を経て、なお幼子の姿である自分に家族などできるわけがないと思っていたから。
「そっか。そっか。あはは、年を取るといらない心配ばかりしていけないなあ。あははははははっ!!」
「もう、何言ってるのジャックさんったら。それじゃあ……今は帰るけど、これからもいろいろ教えてね?」
哄笑するジャックは、ジェムが今まで見てきたどの時よりもうれしそうだったけど、瞳が緩んで涙が溜まっているのも気が付いた。そのうえでジェムは笑って手を離した。きっと、触れられたくはない涙だろうから。
「もちろんだよ。僕の弟子であり妹で大切な孫娘だものね。君はこれからもいろんな人と戦って、勝ったり負けたり、時にはきついことだって直面するだろう。でも君ならどんな苦難だって乗り越えられるよ。そう確信できた」
「うん、皆がいるもの!それじゃあ……またね!」
ジェムは振り返り、部屋から出ていく。そしてラティアスに乗ってポケモンセンターへと戻っていった。ひとまずの休息と、次に進む準備をするために。
「そっか、家族か……幸せだなあ、バトル以外で生きてる気持ちになったのなんて、いつ以来だろう……ありがとう、本当にありがとう」
ジェムが去った後、ジャックは天気雨のような笑顔で涙を零していた。ジェムは初めて誰かを、ポケモンバトルで心からの笑顔を与え、救うことが出来たのだった。
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