世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
恋姫†無双 ~美しき蝶の仮面~
「で、オレ今日なにしてよっかね」
この世界に来てから数日がたち、この世界の武将たちともそれなりに仲良くはなった。
そして、蒔風は現在どうしているのかというと・・・・暇を持て余していた。
え?だって「奴」来ないんだもん。とのこと。
一刀達はというと、この世界における本来の敵である左慈達白装束との最終決戦に向けて準備中だ。
「だから舜は自由にしててもいいぜ?出発まであと三日か四日かかると思うし」
と言うは一刀の談。
「あのやろぉ・・・・・自由にしててが一番不自由なんだぞーーーーー?」
そうぼやきながらなんだかんだでやること見つけるのが蒔風である。
仕事を見つけ、翠、鈴々と共に街の警邏(パトロール)に向かう。
「それにしてもなんで舜は着いてきたのだ?」
「あー、暇だ暇だと庭で寝っ転がってたら貂蝉がやってきてな、街で面白いことがあるかもって教えてもらってそれでだね」
「面白いこと?なんじゃそりゃ」
「さぁね~~~~?」
街中をそんなことを離しながら歩く三人。
途中ラーメンや点心を買い食いしてホクホクと先に進む。
無論、金は蒔風が出す。
各世界をめぐるとあって資金は潤沢。
しかもそれぞれの世界の通貨が出るのだから都合がいいったらありゃしない。
ただでうまいものが食えてしかも腹いっぱいまで食えるとあって、鈴々はすこぶる上機嫌だ。
「今度警邏に出るときは舜と一緒がいいのだ!!」
「食べ物的な意味で?」
「うん!!!」
「ちょ、鈴々・・・・・」
「なんだ?翠もそんなこと考えてんのか?」
気まずそうに否定するってことはこいつもそういうこと思ったな、うん。
「う・・・・・」
「あっはっは!!気にすんな!!誰かがうれしそうにしてんのはいいもんだ、うん!!!可愛い女の子二人も連れて、おにーさん大満足だ」
「あははっ、ありがとなのだ」
「か、かかかかわいっ、ってぇ!?あたしがぁ!?」
「なんだぁ?そっち方面に免疫なしか?一刀からも言われてんだろ?」
「あ、あたしみたいに男っぽいのがか?」
「それを含めて「翠」だろうが。それ以上に説明はいらんだろ」
「うぐ・・・・・あ、ありがとう・・・・・」
「正直に話して礼を言われるとは得したねこりゃ!!!」
そんなこんなで歩いていると、目の前に町民の一人が駆けよってきた。
「しょ、将軍様!!!助けてくだされ!!!」
「将軍?あ、そっかお前ら将軍か」
「そーなのだ。わすれてたのかー?」
「わり」
「それでおっちゃん、何があったんだ?」
翠が訊くと男はあわてながらも正確にある方向を指さしてこう言った。
「う、うちの方の通りで子どもを人質に取った男が暴れてんだ!!!しかも三人・・・・・」
「なに!?」
「よぉし!!今すぐ鈴々が成敗するのだ!!!」
「それはいいけどおまえら相手に怪我させんなよ?」
そう言いながら男の案内で蒔風たちがついていく。
移動中‥…━━━ΣΣΣ≡┏|*´・Д・|┛
蒔風たちが到着する。
だがそこにはすでに先客がいた。
「はーーーっはっはっはっはっはっは!!!!華蝶仮面一号参上!!!!」
「同じくぅ!!華蝶仮面二号参上ぉぉぉおオオオオ!!!!ブルァァァアアアアアアアア!!!!!」
「・・・・・何あれ」
「やったーーー!!!また出たのだ!!華蝶仮面!!!」
「その通り!!!華 蝶 仮 面 だ!!!!!」
「だから――――何それ?」
「事あるごとに現れるんだよ。愛紗なんかは目の敵にしてんなーー」
「え?でもあれって・・・・・せ」いだよね?
と言いかけたとこで蒔風の言葉が止まる。
『それ以上は語るなよ?』
そういった意味を持った視線を華蝶仮面改め星が向けてきたからだ。
ちなみに二号は貂蝉である。
『なるほどな・・・・分かったぜ。ヒーローの素性は秘密にってことだな?』
『ほう、わかるか』
謎の意思疎通で通じ合う二人。
ここはそういうもんだと割り切り、とりあえずこの場を任せてみることにする。
相手はチンピラ三人だ。
チビっこいのとデブとアニキと呼ばれる長身の男である。
長身の男が男の子を人質・・・・・なのだろうか。
その子を肩車して乗っけた状態で、グルグルと回りながら何かを叫んでいる。酔っているようだ。
「おぉらぁ!!なんだってんだようがぁ!!!おれぁ・・・・」
「あ、アニキ、暴れすぎっスヨ!!!」
「そ、そうなんだな、さすがに鬱憤がたまってるからってこれはひどいんだな」
「うっせぇ!!!うれはよっぺまへぇ~~~ん」
「ベロンベロンなんだな」
「いいや、それよりひどいっすね」
「あーーー、あれか、完全にあの男一人の問題だな」
「しかも人質なんかじゃねえじゃん」
「男の子も楽しそうなのだ」
「何があったか知らないが、暴れているのは事実である!!!」
「酒は呑んでも呑まれるな、よぉ?まだまだってことねん!!」
「行くぞ!!二号!!」
「わかったわ、一号!!!」
「あ、始まった」
「ま、今回のはたいした事件じゃないからのんびり見てようぜ」
「・・・・・・なあ、あの仮面、誰だかわかる?」
「うーーん、そういえば正体は知らないんだよなぁ・・・・・」
(なんだこれ?・・・・・いや、なにこれ面白いけど。「お約束」ってことなのか?仮面一つでバレないのか!?)
「むぅ、なかなかやりおる」
蒔風がそんなこと考えていると、星と貂蝉がちびとデブを倒していた。
と言ってもその二人は倒れたフリだ。
戦ったのも長身にいけと言われて渋々いったようだった。
そして長身と戦い始めてから少しして、今は押され始めている。
(これも演出か。やりおるな、星!!)
ここまでくると蒔風も楽しんできた。
こうなるとこの男は悪乗りをする男だから―――
周りの町民は心配そうな顔をしている。
よく見ると鈴々や翠も手に汗握っている。
をい、お前らそれでいいのか?
「へぇ~~~~いいな、これ・・・・・・ん?」
ゴソリと蒔風がポッケに手を突っ込むと、そこに何かあった。
取り出してみて蒔風の顔がにやりと笑う。
「あのときか・・・・やるなぁ貂蝉。ありがたく使わせてもらおう」
そうして蒔風の姿が路地裏に消える。
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「ぐあああ!!!」
「いやあああん!!!」
「ああ!!華蝶仮面が!!!」
「やられちゃう!!!」
「頑張って華蝶仮面!!!」
「負けるなーーーー!!!」
「へっへっへ、オレはここからトンズラするぜぇ。あばよ二人さん!!!オレは世界当主になるんだぁアぁああああああ!!!」
この男、完全に酔っている。
もう何言ってんだかわからなくなった。
男がその場から走り去る。
だが・・・・・
「なんだ?何者だ、てめえ!!!!」
その脚が一人の男の前で止まる。
男はボロボロの布に頭から身を包み、その正体は誰にも知られない。
「誰かの叫びが聞こえたんだ」
「なに?」
「力と技の二人の戦士から受け継いだこいつが、ここにオレを導いた!!!」
男がその手に持つのは仮面。
華蝶仮面の物と同じだが、色だけは違う。
「ま、まさかてめえは!!!」
「ふっ、助けに来たぞ!!!一号、二号!!!!」
「お、お前は!!!(貂蝉、うまくやったな!!!)」
「ま、まさかぁん!?(ふふっ、ちゃんと受け取ったようね)」
ブワサァ!!!!
男が布をはぎ取って、顔が見られる前に仮面をつけた。
「風の唸りに血が叫び、力の限り、ぶち当たるッ!!オレの名は・・・・」
そして左手を右ひじにあて、右手は親指から中指の三本を立てて甲を向ける。
「華蝶仮面、ブゥイスリァ!!!!!!」
「「ぶ、ブイスリー!!!!!」」
「か、華蝶仮面の新たな仲間か!!??」
「この状況で、お前の味方だと考えるほど、お前はおめでたいのか?」
「ぬ、ぬかせぇ!!!!」
「トォ!!トォオ!!!!」
ガン、ガキィ!!!!
華蝶仮面V3改め蒔風が男の拳を弾き、星と貂蝉の元に寄る。
「大丈夫か!?一号、二号!!!」
「うむ、助かったぞ!!!」
「にしてもノリノリね」
「む、危ないっ!!!」
男がどこから取り出したのか角材を振り回してきたのを、蒔風が二人を押しのけてからジャンプしてかわす。
そしてそこからそのままキックを放つ!!!
「V3スクリューキィック!!!!」
ドカッバキィ!!!
蒔風が空中で身体を捻り、そのままスクリュー状に回転しながら男に、正確には男の持つ角材に向かってキックした。
すると角材は砕け散り、男は後ろに後ずさるだけとなる。
「(我ながらうまく角材だけ破壊できたな)いまだ!!!行くぞ!!一号、二号!!!」
「「おおう!!!!」」
バババッ!!!!!
三人が高く跳躍し、そこからそろって降下する!!!!
「華蝶―――トリプルキィック!!!!!」
「ぐ、ぐあああああああああああああああ!!!!!!!」
ドゴォン!!!!
長身が吹っ飛び、地面に倒れる。
そしてヨロヨロと立ち上がってから・・・・・爆発した。
(えええええええ!?さ、さすがにそこまでは・・・・)
(大丈夫だ。怪我はしてない)
(そのようね。ほら、あの二人が連れて帰ったわ)
煙でよく見えないが、起き上がったちびとデブが長身を抱えて帰って行っている。
「わーーー!!新しい華蝶仮面だーーーー!!!」
「でもぶいすりーってなんだーー?」
「わかんねーけど、かっこいい!!!」
「ふ、オレが出てくるのはまだ早かったようだ。まだまだ修業の身。また会おう!!一号、二号!!!」
「あっ!!ブイスリーー!!!」
屋根を跳ねてどこかへと去っていくブイスリー。
それと同時に裏路地から蒔風がひょっこり出てきた。
「あ!!舜、どこにいたのだ?」
「今日のはスゴかったぞ!!」
「らしいな。オレはトイレに行ってて見逃してしまったよ」
と、そんなこんなで騒動は終結した。
いつの間にか二人の華蝶仮面もいなくなっていた。
撤収早いな。
to be continued
後書き
アリス
「きた、華蝶仮面」
これ書きたかったんだ。
いや、これが書きたかったんだ
アリス
「何やってんでしょうね、彼」
さら?楽しそうだからいいんじゃない?
アリス
「次回、その晩」
ではまた次回
誰かに捧ぐ命なら 自分の境界も越えて
今ならば ここでなら 強さに変わり 明日へ続くよ
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