世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
恋姫†無双 ~午後の部、特訓の成果、夜の散歩~
昼食後、蒔風は特訓の成果だと言って何人かを庭園に集めた。
「それで、どんな特訓をしたので?」
「(ニッ)超加速」
星の質問に蒔風がしたり顔で答える。
そして翠と霞に顔を向けた。
「さ、やってみようか!」
「「おう!!」」
そう言って二人の姿がフッ、と消える。
「は?」
「ど、どこに!?」
「わからん・・・」
そして再び二人が現れた。
その間実に一秒。
二人の手にはなにかが握られている。
「あたしがとってきたのは朱里の帽子だ」
「うちがとってきたんは愛紗の青龍円月刀や」
と、二人が発表すると同時に城内から二つの声が聞こえた。
「はわっ!?ぼ、帽子がーーーーーーー!!!???」
「私の青龍円月刀はどこだぁーーーーーー!!!」
「ほらな?こういうこと。二人は無事に超加速移動法、名付けて「風足」を身につけたのさ!!」
「す、すごいですな・・・・」
「これは相当な脅威ね・・・・」
その場に集まった星、華琳、小蓮は唖然とするばかりだ。
その後愛紗と朱里がダッシュでこっちに走ってきた。
それに対して蒔風は
「よーいドン!!」
と号令を出して、翠と霞が再び走り出した。
「んな!?」
「二人共消えちゃいました!?」
「落ち着け。実はかくかくしかじかでな」
「なに?それは本当か!?」
「どうやら本当のようだぞ、愛紗。確かにこの目で見た。といっても見えなかったのだが」
こんなこともあって翠と霞が「風足」を身につけたことはすぐに城中に知られた。
「それは他の武将達にも出来るのかしら?」
華琳が蒔風にそんなことを聞いてきた。
それもそうだろう。
全員が「風足」を習得すれば怖いものなしだ。
「あぁーーー、残念ながらそりゃあ無理だ。あの二人だから出来たんであってそうホイホイ出来るもんじゃないのさ。しいていうなら「文官に戦場に立て」と言うものさ」
「そう・・・」
華琳が少し残念そうにする。
「なに気にするな。その分鈴々や春蘭のように力の強い者もいるんだ。相性だよ、相性。がっはっは!」
そう言ってバンバンと華琳の背中を叩いて蒔風は一刀の部屋に歩いていってしまった。
「奴」が来るかもしれない時間になり、その周辺を固めるためだ。
「で、また来ました」
「「奴」が来るのか?」
「そこがいまひとつわからないですな。ま、今日はここにいるよ」
蒔風がベッドに転がる。
一刀もカリカリと書類をこなしていっている。
部屋にはこの二人しかいない。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
~~そのまま30分後~~
ドォン!!!
「来たか!?(ガバッ)」
「(ガチャ)すみません!愛紗さんが料理に失敗したみたいです!!」
「そうか・・・・ありがとう、月」
「では片付けを手伝って来ますね(パタン)」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「「・・・・・ぷっ、あはははははははははははははは!!!」」
「来ないなぁ」
「来ないねぇ」
「これは来ないな、うん」
「そういうもんか?」
「来ない来ない。くそったれなことだけど、「奴」のことは一番よく知っているからな」
「??」
~~~数時間後~~~~
日も沈み、空に星が輝くころ。
「ご、ご主人様~~~~?い、いらいら、いらっしゃいますか?りょ、料理を作ったので、少しどどど、どうでしょうかっ!?」
入ってきたのは料理を持った愛紗だ。
がんばってがんばって、も一つおまけに頑張って作ったチャーハン(四回目)を持ってきている。
だがそんなことよりも重大なことが目の前手起こっており、愛紗は冷静に、それはもう冷静にチャーハンを持って青龍円月刀を構えた。
「仕事まだ終わってないのにどこ逃げるおつもりですかッ!!!!!!」
窓から脱出しようとする蒔風と一刀に向かって叫んだ。
「い、急げ一刀!!!鬼が来た!!!(窓の外から一刀を引き上げる)」
「ひ、引っ張ってくれ!!!!早く!!!(なんとか窓の向こうに抜け出す)」
「にぃがぁすかぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!(ドカバリーーーン!!!と窓を砕いて飛び出す)」
「き、来たっ!!!」
「おい一刀!!誰だよこの時間は見回り来ないから抜け出してもいいって言ったの!!!」
「まさかあのまま愛紗が料理やってるとは思わなかったんだよ!!!!」
蒔風と一刀は走る走る。
だがそれも長く続かない。
いつの間にか走っているのは城壁の上にある通路だ。
後ろにはまだ愛紗がついてきている。
「仕事ほっぽってどこ行くつもりですかっ!!!!」
「しゃーーねぇ、一刀、一言何か言ってやれ」
「えぇ!?えーーーとぉ!?」
蒔風が走りながら一刀の身体を掴む。
そしてそのまま二人の身体が宙に浮いた。
何事かと蒔風の方を見ると、その背には美しい銀白の翼が羽ばたいていた。
「夜間飛行とまいりまーーーす」
「愛紗ごめん!!!でもあの量は無理だーーーーー!!!」
「あっ!!!・・・・・・・飛んで行ってしまった・・・・・」
「おお、美しい翼だな」
「星!そこにいたならどーして止めてくれなかったのだ!!」
愛紗が見上げる先には見張り台で酒を飲んでいる星がいた。
「まぁまぁ落ち着け。ほら、これでも呑め」
「いつから飲んでるのだ、おぬしは」
「それこそ気にするな。呑んでもないと、怒りが溜まってしまうぞ?」
「・・・・・ふう、それもそうだな」
そう言って星の隣に座り込み、少しだけすする愛紗。
見上げる先には満天の星。
そしてキラキラと蒔風の羽根が輝いていた。
「美しい翼だったな」
「そうだな。だがあんなことに使われては困るぞ」
「いやいや、私としてはとても面白くなってきたぞ?今一度、舜とは論議を交えたいものだ」
「そういえば・・・・舜が言うには「奴」とやらは今日来るはずでは?」
「来ないのならばそれでもよいではないか。彼がいれば大丈夫だろう?」
「そうであるといいがな、ふぅ・・・・・・」
一方上空、一刀と蒔風
「うおーーーー、飛んでる・・・・」
「この世界に翼人の伝承は一般には無いっぽいからな。いやーーー、羽根を伸ばすとはまさにこのこと」
一刀は蒔風の背に乗っている。
風を受け、一刀は上着を脱いでいる。
「にしてもあっついなーーーー」
「そうだねぇ。大体秋くらいなのにねぇ」
「蒔風はいろんな世界を回ってるんだろ?何か面白い世界なかったのかよ」
「面白い世界っつったらそりゃ全部さ。面白くない世界なんかないよ。っと、一旦降りるか?どこがいい?」
「じゃあ郊外にある川にいこう。いいところなんだ」
一刀の提案に乗り、蒔風たちはスイーーーっと飛んで行き、森の中の川に着いた。
小さな滝のようにもなっており、そばにある大きな岩がいい感じの形をしている。
「いいなここ。静かだ・・・・月が明るい」
「な?お気に入りなんだ、ここ」
そう言って二人で話し始める。
「世界について、ねぇ・・・・・一つだけ言えるのは、消えていい世界なんてないってことだな」
「それが・・・・誰かのエゴで作られた・・・・こんな外史でもか?」
「誰かのエゴ?」
「この世界はある程度オレの思い通りになるって左慈が言ってたんだ。だから時々嫌になる。彼女達の想いも、オレの都合でああなったのかな・・・って」
「一刀・・・・・・このバーーーカ。喰らえデコピン」
「バ!?アタっ!」
「お前はその事実を知ってさ、どう思ったよ」
「そんなんじゃないと思った。だけど、そうだったらと思うと、やり直したくなったよ」
「ふーーーん。で、結局思いどおりにするってのは嫌だと思ったんだろ?」
「ああ・・・・・」
「だったらその通りなんじゃねぇの?この世界は最初からお前だけの思い通りにではないってことじゃね?お前がそう思ってるってことはさ」
「あ・・・・・そうか・・・・・・」
「自分の思い通りの世界作るなんてな、「奴」だけで十分だってーーの」
「ありがとうな・・・・・」
「なーーに真面目腐った顔して考え込んでんだか。オレが今まで巡った世界にもな、同じような力持ったとんでも女子がいたよ」
「どんな?」
「現実をある程度捻じ曲げるってやつだな。しかもそこは外史じゃないんだぞー?」
「そ、そいつはどうしてるんだ?」
「そんなこと知らずに周り引っ掻き廻しているよ。で、その周りが彼女に知られないように事後処理してる。面白かったなーーーあそこも。死にかけたけど。あっはっはっは!!!」
「笑い事じゃないだろ、死にかけたって・・・・・・」
「笑い事だよ~~~~。「死」なんてオレにとっちゃ恐怖ゼロの取るに足らないもんだもの~~~~」
「へ、へぇ~~(凄い覚悟で乗り越えたんだろうな、それは・・・・・・)」
(あれ?なんか勘違いしてるかも?まぁいっかな~~~~)
「で?他に訊きたいことは?お兄さん、なんでも相談にのっちゃうぞ?」
「お兄さん・・・か」
「ん?」
「いや、なんでもないさ。ありがとな」
「こっちもなかなかにスリリングな体験できたからいいさ。帰るか?」
「そうだな・・・・・でもオレ部屋に帰ったら・・・・・」
「オレっちの部屋来い。そこなら大丈夫だろ」
そう言って蒔風と一刀は城に戻った。
こそこそと蒔風の部屋に戻り、蒔風はどこからかやってきた荷物から寝袋を出す。
蒔風は構わないと言ったが、一刀がいいからいいからと言って蒔風がベッド、一刀が寝袋で眠った。
結局、「奴」は今日来なかった。
to be continued
後書き
アリス
「「奴」来ませんでしたね」
彼にも彼の思惑があるのでしょう。
多重世界でもないのに待つ理由が・・・・
アリス
「それにしても星さんよく出てきますね?」
作者が一番好きなキャラですから。
恋姫の中では一番好きです。
アリス
「次回、きた!!仮面モノ!!!」
ではまた次回
やべ・・・・なくなったか?
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