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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  恋姫†無双 ~対戦・魏&北郷軍~


開戦。


銅鑼の音が鳴り、同時に春蘭が飛び出していった。


「う、おおおおおおおおおおおお!!!」


頭上高く振りかぶり、大剣を蒔風の脳天に振り下ろす。
訓練用の刃が潰れた物といってもそれは鉄の塊。
当たればただでは済まないだろう一撃だ。


「フンッ!!」

バギャッ!!


だが蒔風は一歩も動くことなく右の裏拳で真横にそれを弾いた。

「んなっ!?」

「どうした、夏候惇元譲。素手で剣に向かうのがそんなにおかしいか?」

「っ!!ハアッ!」


弾かれた剣を握り締め、そこから真横に剣を薙ぐ。
それを蒔風が手をつけないで側転し、風車のようにかわす。


着地し、タンッ、と地面を蹴って蒔風が下がり、構えなおす。


相手に向かって斜めになるように足を広げ、腰を落とし、上半身も半身になって両腕を構える。


ズンッ・・・・という音がした気がした。
周囲の空気が重くなり、息が苦しくなってくる。


構える蒔風はなにかをしているわけではない。

ただ、構えているだけ。
だがその風貌はあまりにも重々しい。
春蘭にはまるで両足が地面に根を張っているように感じられた。


「ッ・・・・・・・!!」

春蘭がゴクリと喉を鳴らす。


(なんという気迫・・・・・・構え一つでここまでやるか!!)


だが春蘭の顔は心なしかニヤケている。
彼女もまた「魏武の大剣」と呼ばれた武人。

強者との戦いに少なからず歓喜しているのだ。


と、蒔風の手が開き、チョイチョイと誘ってきた。


――かかってこいよ――


どの世界においても共通のジェスチャー。
そのメッセージに春蘭が応ずる。


「いっくぞォォォォォォおおおおおおおおお!!!」

「・・・・・ッハアッ!!!」


春蘭が蒔風の脚を狙って大剣を薙ぐ。
だがその攻撃を蒔風が飛び蹴りのジャンプでそれをかわした。


蹴りを放つ蒔風。
春蘭は攻撃が外れるとすぐに防御の態勢に入った。

その形は完璧。
蒔風のキックが一撃ならば。


「んっ!ダァッ!!V3・・・じゃなくて蒔風!!」

蒔風がドカドカッ、と駆け上がるように左右の足で一撃ずつ蹴って空中でのけ反りで一回転し


「反、転!キィック!!」


そこからもう一撃、本命のキックをぶちかます!!


バガァ!!


最初の二撃をその剣で見事受け止めた春蘭だが、三撃目のキックに吹き飛ばされて仰向けに倒れる。

衝撃に顔をしかめ、目を開けたときには蒔風が跨がり喉元に指をまっすぐに伸ばして突き付けていた。



「私の・・・・・・負けだ」



周囲がざわつく。

無理もない。春蘭は魏において最強の武将だ。
その春蘭がなにも出来ずに打ち負かされたのだから。


「さ、次は誰だ?」


と蒔風が周囲を見渡して言うが、実際はこの戦い、冷や汗ものだった。


(手ぇ痛ぇーーー!!!カッコつけて素手でやるんじゃなかったよ!!見た目以上の力だなおい・・・・・・こりゃフォルスが少なからず入ってんな・・・
 力の使い方に気づけば化けるぞこれ。手ぇ痛い!ジンジン言ぅとるよ!?)



そんな蒔風の前に踊り出たのは北郷軍代表、星だ。


「クジ順では私だな。では、趙雲子龍、いざ参る!!」

「よし、やるか!」



蒔風と星が向き合う。



二回戦開始の銅鑼が鳴った。



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「何なのだあやつは!素手に負けるなんてもう私はダメかもしれん・・・・」

「あ、姉者、気を落とすな。また今度勝てばいいではないか」

「そうですよ春蘭さま!!あ!!今度はボクがあいつをボコボコに・・・・・」


落ち込む春蘭を妹の夏候淵(真名・秋蘭)と部下の許緒(真名・季衣)が励ます。


「まさかあんたが負けるなんて思わなかったわ・・・・・」

と、いつもは辛辣な言葉をかける魏の軍師、荀彧(真名・桂花)までもが唖然とする。


そんな中


「あれには無理よ。諦めなさい。春蘭はよくやったわ」


華琳が声をかけた。



「か、華琳様!!!」

「あの男は確かに強いわ。それは認めざるを得ない事実よ」

「そ、それは・・・・・」



「まぁ、見てみましょう。あの男は一体どれほどの人間なのか」

「華琳様、まさか・・・・・」

「いいえ、違うわ。でも・・・・・」

「でも?」

(大きな器・・・・でもないわね。なにかを感じるわ・・・・本当に只者ではないみたいね。でも、王の素質は感じられない・・・・・だからと言ってそこらの凡夫とも違う・・・・あなたが何者で、一体どんな人間なのか、じっくり見させてもらいましょう)





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「星雲神妙撃!!」


星が飛び出し槍による刺突の連撃を繰り出してくる。
それはさながら突きの壁だ。

ついに蒔風が武器を取り出すのか、と皆思った。


だが、「星」の名を冠する以上、蒔風にこの技は効かない。


「打滅星!!」


スパァン!!



蒔風の拳が壁に放たれ、無数の突きは掻き消され、星の身体が反動で軽く宙に浮く。


「んな!?」

「技名に「星」とつけなきゃよかったな。朱雀槍!!」


ガァン!!


蒔風が左前脇の柄を掴んで引き抜くと同時にそれが朱雀槍となり、星の龍牙と火花を散らした。


「フッハッ!んっ!セイッサイッ!!」


ガィン、キャンギン!カンカンギィン!!


蒔風が槍を振るい、それを星が受けていく。
その反動で星はいまだに地面に足を降ろせない。


ガンガンガン!ギィン!!


蒔風が星を弾き、庭園の木に向かって星が飛んでいく。
その木に足を付け、更に迫る蒔風を回避するように上方にジャンプし、当然蒔風もそれを追って跳び上がる。


皆が首を上げるほどに飛び上がった二人は城の屋根の上にまで上がり、更にそこからあちらこちらの場所に跳びはねて戦闘を続けていく。



「ど、どんな戦い方だ!!」

「すごいのだ!!あんなに速く、あっ!もうあっちにいる!!」

「おい!今度はあっちだ!壁走りながらやり合ってら・・・・」

「は、はわわ・・・・こ、壊さないようにお願いしま~~~~す!!!」


「「善処しよう!!」」


「守る気ないですよねぇ!?」

「星!足を地面につけねば!!」





仲間からの声援に星が苦笑する。

「っ!タッ!!簡単に言ってくれる、なっ!!」


そう言いながら星が蒔風を振り切るように壁を走りまた別の屋根に跳ぶ。そして後続の蒔風に向かって再び星雲神妙撃を放った。


蒔風は朱雀槍で受ければよかったものを反射的に打滅星で応対してしまった。
必然、跳び移ろうと宙にいた蒔風の身体が反動で勢いを失う。


ガァン!!


そこに星が槍を振りかぶって叩きつけ、蒔風が地面に向かって落ちていく。


ドッフン!!


蒔風が地面を窪ませて着地し、追って飛び下りてくる星を見据えた。


「あ、マズ」

「いらっしゃいませぇ!!」

落ちてくる星に蒔風が槍を突き出す。
それを星が必死に丸くなって空中一回転し避け、そして


「ハァッ!よっ!!」

「おぉ!?すげぇ!!」


朱雀槍の上に飛び乗ったではないか。
これには蒔風も驚いた。




「じ、実戦じみた訓練でやるものではないな・・・・・」

周りはすごいすごいと騒いでいるが当の星は心臓バクバク、冷や汗が背中を伝っていた。
顔には一切だしていなかったが。


星が槍から飛び下り、蒔風が槍を放り捨てた。


「夏候惇でV3の真似事だったから、今度は変身だっ!!」

蒔風が右腕を左上にまっすぐ伸ばし、それを右上にスライドさせる。


「ライダー・・・・・」


そして入れ代わるように左腕を右上に突き出し、ベルトの風車、タイフーンが回りだす!!


「変、身!!トゥ!!」


蒔風が高く高くジャンプし、仮面ライダー一号に変身した。
そしてその状態から星に向かって


「ライダァーー!!パァンチ!!」


ガゴォ!!


星はとっさに槍で防御するがあまりの威力に防御ごとすっ飛んだ。

蒔風のその姿に周りの皆も騒然とする。
だが市街で一度変身を見た星は一切怯まず蒔風に槍を振るう。

が、その槍を蒔風は受け止め、捻り上げる。
星の手から龍牙が離れ、蒔風が奪い取った槍を星に向ける。


そこで動きが止まり、星が両手をヒラヒラと上げた。


「降参だ。負けを認めよう」


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!??



周囲がざわつく。
春蘭に続き星までもが負けるとは誰ひとり想定していなかったのだ。


星が退場し、蒔風が変身を解く。
それと同時に、次の銅鑼が鳴り響いた。








to be continued
 
 

 
後書き

アリス
「まずはこの二人ですか」

はい。
で、次に呉、そして最後に董卓ですね。

アリス
「次回、一体どうなるのやら・・・・」

ではまた次回









熱く滾る魂 雄叫びと共に解き放て
決められたルールを打ち壊して
駆け抜けろ 自由へと 
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