世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
恋姫†無双 ~信頼への道~
「じゃあお話を始めるわね?この世界の、外史の話はご主人様達にはしたけど、おさらいということで聞いてちょうだい」
貂蝉が話を始めた。
この世界は外史と呼ばれるものだ。
外史とは、正史という世界において想像されることで誕生する世界。
一刀はその正史からこの世界の主軸として連れ込まれた人間である。
外史は様々な「想像」で生まれる。
「もしもこんなことがあったら」「こうだったら面白そうだ」
そして、「三国志演技の武将がみな女の子だったら」
そういった思いから、この外史はできた。
そして貂蝉はこの世界の観測者として存在する者、らしい。
「なるほど!じゃあ今度はこっちの話だな。聞いてくれ」
次に蒔風が話に移る。
いつもする話。
実に手慣れたものだ。
~蒔風説明中~
「というわけですたい」
「確かに理論上は可能でしょうけど、本当に世界を食らうなんて・・・・・」
「それが「奴」なんよ。気をつけんと、どないことになるかわからんよ」
「そういうことだったのね。翼人様がいらっしゃるからいよいよこの世界の終わりが来たかと思ったわん!」
「「「「翼人?」」」」
一堂が首を傾げて声を揃えた。
「観測者というだけあるな。どんなふうに伝わってんだ?」
「・・・・・・・最悪の悪魔だったわ・・・・」
「そっちか」
蒔風が顔に手を被せてうんざりした。
「私たちの前に現れたのは「赤銅の翼人」だった。ある外史からやってきたそれはすべてを支配しようと暴れたらしいわ。その時消滅した世界は11。私たちといっても前任者の時代だけどねん。その時128人もいた観測者も、生き残りは一人しかいなかったわ。その一人がどこかに封印したらしい、という話だけどね」
「・・・・・・・ま、オレは違うがな」
「それは見てればわかるわ!まったく、あたしったら緊張でビクンビクンしちゃったわ!!」
「ま、待ちなさい!だったら一刀がその「奴」とかいう男に殺されるっていうの!?」
「その「奴」とはいつ来るのだ!?」
すっかり貂蝉と話しこむ蒔風に華琳と愛紗がすごい迫力で迫る。
「おぉう・・・・ナイチチとウシチチがまさかのコラボ(ドカバガァッ!!)・・・・ここは外史。つまりはパラレルの一つだ。多重世界でない以上、明日かそこらか?」
「そ、そんなに早くか!?」
「「奴」は早いぞ~~」
と、そこで蓮華が疑問を口にする。
「だがそいつは所詮一人だろう?こちらの武将全員で攻めれば勝てるのでは?」
「「無理だな(ね)」」
貂蝉と蒔風がその考えを否定する。
華琳や星はその意味がわかっているようだ。
「まあそうでしょうね。翼人だというこの男と同等かそれ以上の力をもつ「奴」が相手では、奇跡が起こらないかぎり無理ね」
「待つのだ!鈴々たちは一人でもさいきょーむてきなのだから、みんなで戦えばきっと勝てるのだ!!」
「うん?張飛殿、では聞こう。百人以上の観測者・・・・つまりは貂蝉に勝てるか?「奴」はそれよりも強いぞ?この翼人と張り合うんだからな」
「う・・・・・」
この貂蝉、見た目は実に変態の極みだが、戦闘力は群を抜いている。
おそらくこの城の武将の中でまともに交戦できるのは一人くらいか。
「と、いう訳だから舜ちゃんにはこの城にいてもらった方がいいわ」
「まあオレとしてはそうしてくれた方がありがたいが、多分ハイそうですかとはいかないだろ」
その言葉に愛紗、華琳、蓮華が頷く。
「どこの者とも知れぬ男をいきなり城の客、しかもご主人様のそばに置くのはあまりにも不自然だ」
「それに、あなたの言葉が真実かを知っているのはそこの筋肉とあなただけ」
「もしお前が「奴」とやらの仲間だった場合、取り返しがつかない」
「ふーーん。北郷はどう思う?」
「そうだ・・・ね。オレ個人としてはいいけれど・・・・・」
「ヘタレ」
「うるさい!!!」
「皆何悩んでるのだ?そんなもん、戦ってみればわかるのだ」
「は?」「え?」「む?」
鈴々のいきなりの提案に愛紗たち三人がポカンとする。
「り、鈴々?お前今何と言った?」
「だーかーらー、愛紗たちは何をそんなに悩んでいるのだ?一度思いっきり戦ってみれば、そいつがどんな奴か一発で分かるのだ!!!」
という鈴々。
なんとまあ熱血な考えだ。
「それは・・・・いい考えね」
「華琳殿!?」
「愛紗、私たちは一度敵だったとはいえ今は友人よ?「殿」なんて言い方やめてちょうだい。せっかく真名を預け合ったのだから。それはそうと名案だわ。その男の実力を測ることもできるし、戦わせてみせましょう」
「ふむ・・・確かに、あなたの実力は私も見てみたいですからな」
「せ、星まで・・・・・」
「私も賛成だ。だがここは一刀の城。故に最終決定は一刀が決めてくれ」
蓮華の言葉に皆が一刀の方を向く。
そして一刀が口を開いた。
「蒔風がいいなら、それで」
「了承!!!」
「なら善は急げよ。各軍から武将を一人ずつ選び、勝ちなさい。そうすればあなたを認めましょう」
「ではこちらは今の話を皆に伝えてくる」
「それは各陣営でやりましょう。では数刻したら城内の庭園に集まってから開催よ」
「オレはそれまではどうすれば?」
「じゃあオレの部屋にでも来てよ。面白い話が聞けそうだから。星、朱里にこの話をしておいてね」
「あいわかりました。行くか、愛紗、鈴々」
「ま、待て星!なんで私でなくお前なのだ!!」
「さっきの話を細かく説明できるか?」
「う、ぐぅ・・・で、でもしかし・・・・・・」
皆が各自部屋に戻る。
残されたのは一刀と蒔風のみ。
「・・・・・・にしてもすごいな」
「なにが?」
「こうやってオレと二人にしてもらえるってことが。もう信頼されてるってことだろ?」
「さぁてね。オレは隠密なんかが得意だから、自然と溶け込んでるだけかもよ?」
「本当は天の御使いってあんたのことじゃない?」
「天の御使いだぁ?」
「オレがそう呼ばれてんの。いきなり現れて愛紗たちと出会って客寄せパンダみたいに祭り上げられて・・・・ね。で、オレのいた正史の世界は「天の国」って言われてる」
「なるへそ~~~。うん、いや、それは間違いなくお前だよ。この国のトップに立ったのも、この国を、みんなを導いたのも、な」
そう言いながら一刀の部屋に向かう二人。
「にしても大変な時に来たね」
「大変な時?」
「ああ、話してなかったな、実は・・・・・」
一刀はこの世界の観測者に狙われている。
左慈という、貂蝉とは対極の位置に存在する観測者にだ。
この世界は本来、武将が女の子、ということを除けば史実の通りに話が進むはずだった。
それが北郷一刀によって歪んだ。
故に一刀を消し、本来の形に戻し、そして正しく観測すべきだ、と。
そして三国が一つになった時、ついに大きく動いてきた。
白装束の雑兵を操り、一刀を消しに来たのだ。
貂蝉が最初にした話は一刀たちは昨日聞いている。
そして数日後に軍備を整え、左慈達のいる山に攻め入ろうと言うところだったのだ。
「なるほど。左慈は改変、「奴」は捕食の目的でそれぞれお前を狙ってるってわけか」
「ああ。左慈が博物館の銅鏡を盗み、それを追いかけたところからすべては始まったんだ」
「・・・・・・となると「奴」はすぐには来ないか・・・・・・?」
「え?どういうことだ?」
「気にするな。もし明日中に「奴」が来なきゃ当分は大丈夫かもって話だよ」
「???」
「っと、そろそろ時間じゃね?」
「そう・・・かもな。行こうか。案内するよ」
気付けば時間は結構経っていた。
かなり話込んでいたようだ。
~~蒔風、一刀移動中~~
二人が庭園につくと、そこには全武将、軍師が集まっている。
そして中心には四人の将が立っていた。
「来たわね?では始めましょう!!!」
華琳の号令に愛紗が全員に話しかけた。
「この場にいる全員は新たに現れた敵の事を聞いたろう!!そしてこの男がそれを食い止めるべくやってきたのだそうだ!!!
だが我々としてはそう簡単に信じることはできないし、彼もその考えだ。
故に!!各軍の武将一名と本気の手合わせをし、その形を見て皆に決めてもらいたい!!!
武に通ずる者ならば、その構えを見ればわかるはずだ!!!
では、まず我が北郷軍からの武将は!!!」
「この趙子龍が承る!!!!」
星が出て、己が槍「龍牙」をダン!!と地面に突き立てる。
「そして我が魏からは」
「魏武の大剣!!!夏候惇元譲が相手だ!!!!」
その手に幅広い刀身を持つ片刃の大剣を握りしめ、肩に乗せながら夏候惇(真名・春蘭)が気合を入れる。
「そして私たち呉からは、甘興覇を出すわ」
「蓮華様の命とあらば」
凛としてそこに立つのは甘寧(真名・思春)である。
「あ、あの・・・・わ、私たち董卓軍からは!!呂布奉先を出します!!!!」
「・・・・がんばる」
なぜかメイド服の董卓だと言う少女(真名・月)が無口な少女を紹介する。
その少女は上がってしまったのか「えいちゃ~~ん」といって人ごみの中に帰って行ってしまった。
紹介された少女はと言うと、その手にかの有名な方天画戟を持ち、犬を撫でていた。
「北郷」
「なに?」
「ホントにみんないるのね?」
「ああ。皆大切な仲間さ」
「よくもまあここまで引き込んだもんだ。このハーレム野郎」
「あ、あはは・・・・・・」
「そしてあのメイド服はグッジョブ(ガシッ)」
「わかってくれるか(ガシッ)」
そういってから蒔風がその四人の前に出る。
と、四人のうち三人が引き、ひとりが残される。
その一人とは・・・・・
「私が一番手だ!!!そして終わらせてやる!なぁに!!この様なヒョロい男、一発ですよ華琳様!!!」
夏候惇、春蘭だ。
蒔風がガシガシと頭を掻いてから春蘭を指さし、こう言った。
「最初に言っておく。オレはかーなーり、強い!!!
魏武の大剣だか何だか知らないが、それはお前の勝因にはならない」
「面白いことを言うなお前!!いいだろう、特別に二発で倒してやる!!!」
そう言って庭園の中心で二人が構える。
その光景を見て、星が愛紗に言った。
「おぬしはやらなくてもよいのか?今からでも変わるが?」
「わかって言っているだろう。私はあの時にもう負けていた」
あのとき、とは街で一瞬蒔風とぶつかったときだろう。
寸前で止まったとはいえ、あのまま肘がめり込んでいたらと思うと、恐ろしい。
「ふぅむ・・・ま、私も負ける気はしないがね」
自信満々の星に、愛紗が聞こえない声で呟いた。
「あの男・・・・強いぞ。本当に」
to be continued
後書き
いやあ、書けた書けた
貂蝉って自分なかなか嫌いじゃないんですよね。
アリス
「そっちの人?」
ちがうわ!!!
普通にいい人やん。
変態だけど。
アリス
「次回、大激突!!」
ではまた次回
なのだ~~~~!!!!
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