世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
Fate/stay night ~Final/world link~
そして次の日の朝。
蒔風たちは居間に集合して朝食をとっている。
「んお、この鮭おいしい」
「シロウ、おかわりを」
「はいよセイバー」
「うまいなぁ・・・この飯誰が作ってんだっけぇ?」
「うーん?士朗と桜が毎朝やってんのよ・・・・ふぁああ」
セイバーがモリモリとご飯を食べ、凛と蒔風は眠そうにモゴモゴと食べている。
そんな三人に士朗と桜は給仕をする。
「んれ?アーチャーはぁ?」
「あいつは見張りよ・・・・アーチャーの目は鷹の目以上なのよ」
「あぁ~、道理で昨日・・・・」
「どーかしたのー?」
「いや、何にも。うん、今日も味噌汁がうまい!!」
そこでランサーが乱入してくる。
どうもカレンからこちらに来るように言われたそうだ。
「お、うまそうな飯だな。オレにもくれよ」
「オレこれ以上は食えんからもういいぞ」
「おっ、そうか、悪ぃな」
そう言って蒔風が食べきれなかった朝食をランサーがうまそうに、実にうまそうに食べる。
「何かあったのか?」
「いや、昨日の夜にこの兄ちゃんの護衛に行けってカレンが言うもんだからよ、ギルとオレとで揉めてな。結局オレが来ることになったんだが、あのガキ、普通あそこまでして人を売るかよ・・・・・」
どうやら家庭の事情があるようだ。
これ以上聞くとなんだかロクなことになりそうにないので、蒔風は言及することをやめた。
「んで、その「奴」ってのはいつくんのよ」
「知らんがな」
「待つしかねえのかい」
「そゆことになる」
「難儀なこった。ん、味噌汁おかわり」
「結構あっさりとしてるんだな」
「なぁに。戦いなんざいつでも唐突さね。気付いてたら死んでたー・・・なんざザラにある。来んのがわかってるだけでも僥倖ってもんだろ」
「はぁーーっ。さすがその時代を生きた人間は違うな」
「いや、あそこで白米頬張ってる女もその時代の人間なんだがな」
そう言って箸でその女性をさすランサー
セイバーはそんなことには気づかずに、後ろに腕を伸ばしつっかえにして、後ろに傾きながら
「よい時代に生まれました・・・・」
とか言っている。
もうこの時代の子になっちゃいなさい。
「シロウ。あなた宛てに小包が来てますよ」
居間のふすまを開けてライダーが小包を持ってきた。
その後ろにはイリヤがついてきている。
おそらく昨日泊まったイリヤを呼びに行って、その途中の玄関で受け取ったものだろう。
「差出人は・・・・書いてないな」
「うわ何それ思いっきり怪しい」
「疑わないバカはいないだろ」
「アホですね」
「言ってやるなよ・・・こう言ったことが好きな奴なんだよ・・・・・」
そう呆れながら言った蒔風がひょいと小包を持って縁側のふすまを開ける。
そして小包をポーンと放り投げた。
と、同時に両手で地面を叩き、落下地点を覆う様に四枚の地面が起き上がってきた。
遠隔の畳返しで囲んだその中に小包が落ち、中で爆発する。
「なかなかに強力なもの送ってきたなぁ」
「ですがこれで?」
「「奴」はそこまで馬鹿じゃない。次は直で来るぞーーー」
そう言って皆が居間で「奴」を待つ。
この家には防犯用の結界が貼っており、侵入者があれば音で知らせてくれるのだ。
なので緊張しすぎず、かといってだらけすぎないように時間が過ぎて行く。
――数時間後――
「全員、外に出た方がいい。何か来るぞ」
アーチャーのその言葉に反応し、皆が武装を整えて外に出る。
太陽が沈みかけ、もうすぐ夜になるだろう時間だ。
セイバー、アーチャー、ランサーが戦闘モードに切り替わり、志郎と凛、桜にも緊張が走る。
ライダーはいざという時に士朗を守る役だ。
その後ろには巨大な肉体を誇るイリヤのサーヴァント・バーサーカーが仁王立ちしている。
「来たか」
蒔風が空を見て呟くと、ストン、と「奴」が降りてきた。
「やーーっぱ待ち構えてんのな。だから嫌なんだよめんどくさいし」
「だったらくんな!!」
「そうはいかない。取り込んだ世界のためにも、な」
あれが「奴」か?などと言った質問は誰一人として言わない。
そんなことは一発ではっきりする。
この一周して逆に純粋とまで言えるようなおどろおどろしい殺気を向けてくるのが敵でないはずがない。
それを確認した桜が家の敷地を包むように結界で覆っていく。
「ふう、前振りはいらないよな?いくぞ!!!!」
「ぶち殺すぞ!!!!」
「「「おぉう!!!!」」」
ダォウ!!!!
「奴」に向かって蒔風とランサーが突っ込む。
蒔風が顔面に伸びる腕をスライディングでかわし、通りざまにローキックをかます。
それに対処している一瞬の間にランサーが「奴」に赤き槍で数十の刺突を繰り出した。
「なん!?」
「サーヴァント最速のランサーか?少しがんばればまあ何とか・・・だな!!!」
あろうことか「奴」は拳と手刀のみでその攻撃を弾き飛ばした。
さらには背後からハイキックを繰り出してくる蒔風の足を振りむかずに掴み、ランサーに投げつける。
ランサーが蒔風を受け止め、その背後からセイバーが飛び出していった。
「おおおおおおおおおッ!!!」
「ふんっ!!」
ガギィ!!!!!
「奴」が魔導八天の一本を抜き応対する。
「聖剣か。この反天剣に、勝てるかなぁっと!!!!」
「奴」が左手一本に剣を持ちかえ、右腕を振りかぶって外側からセイバーの左こめかみを狙う。
それをセイバーはひじを張り、そこで受け止めた。
だがしかし受け止めた瞬間にセイバーの景色がブレた。
気付けば地面に倒れていたし、左肩が砕けたのではないかと言うほどに痛みを発している。
「バカな・・・・」
「一人一人で来るなよ・・・ん?」
「I am the born of my sword!!!!偽・螺旋剣!!!!」
ギュオウッ!!!!!
「そうくるかっ!!!」
ガキン!!ドゴォン!!!!!!
アーチャーの放ったガラドボルグが「奴」に命中する。
爆音が響き、火柱が空へと伸びる。
「やったか?「バカ!!!」マ、ジかよ!?」
その火柱に向かって蒔風が「風林火山」を居合の構えで突っ込む。
そしてそこに到達すると、それを一瞬で抜き、火柱ごと中にいるモノを斬った。
「単撃、一閃・・・・ダメだ・・・ランサー!!!頼む!!!」
「おうよ!!!」
ゆらりと現れた「奴」の身体には少々の煤がついているが、ダメージはほとんどないようだ。
そこにランサーが殺気を込めた一撃の突きを、背後からはセイバーが、そして頭上からはアーチャーの放った赤原猟犬(フルンディング)が落ちてきている。
フルンディングはアーチャーが投影した剣で、標的に命中するまで追い続けるモノだ。
しかし、「奴」はそれにも臆さない。
ここで「奴」の驚異的な戦闘スキルが発揮された。
まず、頭上から迫るフルンディングを少しだけジャンプして、掴んだ。
本来ならば掴んだとしても暴れてその手から逃げ出すそれを「奴」は振るい、独楽のように回転して着地しながらランサーとセイバーの攻撃を弾き、さらには蹴りのおまけまで付けてきた。
「ぐあっ!!」
「ゲほっ・・・ちょいとあれは強すぎンじゃねえのか?」
「そう悲観的になるなよ。こっちにはお前ら最大の勝因がいるんだからな」
そう言いながら蒔風が「天地陰陽」を組み立てる。
いつものような両手に構える形にではない。
トンファー型のこの剣の取っ手部分。
そこで背を合わすようにくっつけると、その通りについていく。
そして四本組み立て、「十」の字型にした。
「天地陰陽・風斬車」
その間に「奴」はフルンディングをへし折っていた。
アーチャーが壊れた幻想で爆破させようとしたのだが、その前に壊されては不可能だ。
壊れているものをこれ以上は壊せない。
蒔風が風斬車を右手に持って振り下ろした。
その勢いで手の中の取っ手を軸に高速回転で刃が回る。
「塵になりたきゃ触れるがいいさ。なりたくなくてもさせてやらぁ!!!!」
蒔風が「奴」に走る。
「奴」がとっさに足元にある拳大の石を蒔風に蹴っ飛ばした。
蒔風がそれを風斬車で殴るように振り払うと、回転する刃に削られ、石がキラキラと光るほどの粉末になってしまった。
「おいマジかよそれ鬼畜だろ!!!」
「お前にはっ、言われたくない!!!」
「奴」の「天人」と蒔風の「風斬車」がぶつかって壮絶な火花を散らす。
バチィ!!と蒔風が「天人」を弾き、腕を振るって回転を持続させながら「奴」に攻撃を続ける。
「いつまでも寝てらんねえわな」
蒔風と「奴」の交戦場所にランサーが突進してくる。
そして宝具であろうその槍の先端に、空気が焼けるのではないかと言うほどの殺気を込め
「その心臓、貰い受けるッ!!!」
「ぃえっ!?」
蒔風の相手をしている「奴」に向かって、ランサーが下方に向かって槍を放つ。
「刺し穿つ―――」
「ッ!!!」
「死棘の槍!!!!」
「っと!!」
ギュッ、オウッ!!!!
「奴」がそう叫ぶと、ランサーの槍、ゲイボルグに変化が起こる。
ゲイボルグは放たれれば最後、必ず心臓に突き刺さる宝具である。
実際には槍の持つ因果逆転の呪いにより、「心臓に槍が命中した」という結果をつくってから「槍を放つ」という原因を作るのだ。
ゆえにそれを回避するには槍の魔力を上回る力や、高い幸運などが必要だ。
だが「奴」のとった行動はその両者どちらでもない。
軽く、次元を捻ったのだ。
そも、世界を食らうような奴だ。
しかもこの世界はすでに構築計算を終わらせている。
で、あれば
その因果をいじって捻ることはやってやれないことではない。
「う、ゴアッ!!!!」
ゲイボルグが蒔風の左肩を貫いていた。
いじれはすれど、それがどこに飛ぶかはわからない。
しかし、今回は「奴」に運が向いたようだった。
蒔風が倒れ込み、セイバーがそれを回収して後退する。
「あの野郎、俺のゲイボルグの因果を変えてきやがった!!!」
「その宝具にとって「奴」は天敵だな・・・・」
「どうしますか!?」
「慌てるなよ。まだやって無いやつもいる」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
ドバゴアッ!!!!!
地面に亀裂が入り、それが「奴」に向かって伸びて行く。
その衝撃を飛んでかわした「奴」に、アーチャーの剣、干将・莫邪が飛んできた。
それを弾いた「奴」だが、さらにアーチャーが干将莫邪を投影し、「奴」に飛びかかって斬り、地面にたたき落とす。
落ちたところでバーサーカーがその巨大な足で「奴」を踏みつぶし、巨大な斧剣を振り下ろした。
大地が揺れ、木々が軋み、家のガラスにひびが入った。
土煙が上がり、キャッキャとイリヤがはしゃいだ。
「ふん!私の士朗を殺そうだなんていい度胸じゃない!!やっちゃえ!!バーサーカー!!!」
ここまでやっても憂さはまだ晴れないらしい。
そうバーサーカーに命じるとその命のままに彼は動いた。
幾度も幾度も斧剣を叩き付け、そのたびに地面に亀裂が入る。
「これは・・・終わったか?」
「その台詞、まだまだ終わらないフラグだぜ?」
「な、なんですって!?」
聞こえてきた台詞にイリヤが驚愕する。
土煙が晴れると、そこには斧剣を素手で受け止めた「奴」がいた。
グググググッ、と膝をあげ、立ち上がってくる状況を皆信じられなかった。
パワー、スピード、そしてこの地における知名度で言ってもトップクラスに入るバーサーカー・ヘラクレスの攻撃をしのいだだけでなく受け止めただと!?
「筋肉筋肉~~~ってなぁ!!!!筋肉さんにいい思い出はねえ!!!」
「!!!そうか!!!!!」
「ぶっ飛んどけ!!!」
「奴」が斧剣ごとバーサーカーを持ち上げ、投げつけようとする。
だが、蒔風がそれよりも早く動く。
「力を借りるぜ!!真人ぉ!!!!!」
ズォアッ!!!!
「筋肉革命だぁ!!!!!」
蒔風が力を借り、固有結界を開く。
その瞬間、「奴」とバーサーカーの力関係が逆転した。
ズッシン!!!
バゴオ!!!!
持ちあがっていたバーサーカーの身体が地面に戻り、逆に「奴」をすくい上げて思いっきり拳で叩き付けた!!!
「が・・・お・・・・・」
「これは・・・固有結界!?」
「他の世界で仲間になった奴の力を借りただけだ。オレのじゃねえ」
驚愕するセイバーに蒔風が説明する。
(これで終ってくれればいいがな・・・・オレのコンディションも最高じゃねえし・・・・)
その瞬間、蒔風の顔面を衝撃が襲った。
ビュオッ!!!!
バガン!!!
「奴」が蒔風の顔面に拳をめり込ませ、蒔風が地面に後頭部から突っ込んだ。
「な!?」
「に!?」
「はぁあああ・・・・この場において一番の筋肉量はバーサーカーだけどな・・・・
二番は俺だっての」
シュウウウウウウウ・・・・・・
固有結界が消えうせ、自分の背後に迫るバーサーカーの斧剣を受け止め、さっきやろうとしたことを実行に移す。
地面にバーサーカーを叩き付け、その腹部に斧剣を深々と刺した。
地面に標本のように止められたバーサーカーが脱出しようともがくが、一向に斧剣は抜けない。
「ハァッ!!」
「オオッ!!!」
「オリャア!!!」
セイバー、アーチャー、ランサーが同時に攻撃を仕掛けるも、殴られ蹴られ投げ飛ばされて、相手にもならなくなる。
「どけよ、ライダー。お前じゃかなわない」
「わかりませんよ・・・・」
「魔眼は止しとけ。その前にお前の首が飛ぶぞ。またそんな最後は嫌だろう?ライダー・メデゥーサ」
「ッ!!!騎英の・・・」
「遅いよ」
ッ、ドガシャァ!!!
ライダーの身体が飛び、居間に突っ込んで机を破壊した。
そこに桜が駆けよっていこうとするが、「奴」の目の前で背中を見せることはできない。
「お前・・・・オレを殺してどうするつもりだ」
士朗が「奴」を睨みつけて聞く。
「この世界を喰って、新たな世界を。そこでならオレがうまく調節して、悪の無い正義ある世界を作れるが・・・・どうする?」
「・・・・・・本当か?」
「ちょっと士朗!?」
「本当だともさ。ま、その前にお前は死ぬが、新たな世界で復活できるよ」
「・・・・・そうか・・・・・・・・・だったらその話は呑めないな」
その言葉には決意と覚悟と、そして受け継いだ夢を実現させる想いがあった。
「ただえさえ貰いものであるこの憧れ、夢、羨望。そこから生まれた感情は俺のものだ。それをいくら誰かが幸せになって、敵も味方も救えたって、この想いが嘘じゃ意味がない。
そんな結果は俺が納得しない。そんな結果じゃ、オレが置き去りにしてきた人たちに申しわけが立たねえよ!!!!」
「ち」
「先輩!!!」「士朗!!!」
士朗が詠唱を始める。
「奴」がそれを止めようと動いた。
「身体は剣でできている―――」
「させるか!!!」
「それをさせるかぁっはぁ!!!!」
そこに蒔風が飛び蹴りで「奴」を弾き飛ばす。
着地の際に血がボダボダと身体からこぼれるが、蒔風は気にしてなどいない。
「できねえよ、お前には。こいつは「正義の味方」だぞ。ヒーローを殺せんのはよ、そのヒーローのそばにいる人間なんだよ!!!」
「自分よりも人を優先させる異常が、破綻が!!それが正義だと言うのか。それを正義と言えるのか!!!」
「バッカ野郎が。それくらいならまだ人の域だよ。まだ戻れるし、戻そうとしてくれる友がいれば、こいつは問題ねえよ!!だよな?」
「はい!!」「もちろんよ。こいつをまっとうにさせてやんのが私の使命よ!!!」
「いいぜ・・・・士朗、準備はいいか!?」
「いけるぜ!!」
「よっし・・・・ゲッ、ブフッ・・・・(ボタボタボタ)」
蒔風が派手に吐血する。
肩の傷も酷い。
「大丈夫だ・・・・行くぞ!!!」
【Fate/stay night】-WORLD LINK- ~WEPON~!!
全員の身体に魔力が巡る。
そしてそれはマスターを通じてサーヴァントにも!!!
「これは・・・・」
「気前がいいな・・・・今から使う、魔力は、世界が負担してくれるから・・・・やりたい放題だぁ!!!」
そして士朗が固有結界を開く。
その世界はまさに剣の世界。
彼の内包する世界を、今ここに!!!!
――身体は剣でできている――
――血潮は鉄で 心は硝子――
――幾たびの戦場を越えて不敗――
――ただ一度の敗走もなく――
――ただ一度の勝利もなし――
――担い手はここに孤り――
――剣の丘で鉄を鍛つ――
――ならば、我が生涯に意味は不要ず――
――この体は、“無限の剣でできていた”――
「無限の剣製!!!!!!!」
ドゴォ!!!!
炎が走り、一面が荒野へと変わる。
そしてその荒野には墓標のようにいくつもの剣が突き刺さっている。
そして背景には巨大な歯車が回っていた。
「行くぞ、影役王。「正義」を殺す覚悟はできたか」
「そんなもんはとっくの昔に」
「だったら・・・・ゆくぞ!!!!!」
ゴォウ!!!士朗が「奴」に走り出す。
その途中で士朗の手に投影された剣が飛んできた。
その剣で士朗が「奴」に斬りかかり、「奴」も剣で受けるが、その顔は驚愕に染まっていた。
「な・・・・十五天帝!?」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
バキィ!!!!!
士朗が「奴」を弾き飛ばし、空中に無数の剣を投影して、それを一斉に射出した。
「トレース、トレース、トレース!!!!全投影、連続射出!!!!!」
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザッ!!!!!!
投影された剣が次々と「奴」へと飛来する。
「奴」は魔導八天をフルで使ってそれを次々と弾いていく。
「シュン!!大丈夫ですか?」
「セイバーか・・・ああ、大丈夫だ・・・シメに行こう!!!!開翼!!!!!」
「・・・・はい!!」
駆け寄ってきたセイバーと、開翼した蒔風が「奴」に向く。
【Fate/stay night】-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~!!
ゴォ!!ドォ!!!
蒔風の十五天帝と、セイバーのエクスカリバーが輝き始める。
そして蒔風が頭上を通るように左にいるセイバーに十五天帝を投げた。
セイバーも蒔風にエクスカリバーを投げる。
するとお互いの剣は吸い込まれるように手に収まり、より一層強い光を放ち始める!!!!
「行くぞ!!!」「ええ!!!」
二人が剣を振りかぶる。
「約束された・・・・」
「正義の証たる・・・・」
そして同時に振り下ろす!!!!
「勝利の剣!!!!!!!」
「十五の刃!!!!!!!」
ドドゴア!!!!
恐ろしいほどに輝きを発する二本の光が、「奴」に向かって疾駆した。
だが
「受け止めるぞ、魔導!!!八天!!!!!」
「奴」もまたすべての剣を一つにし、大きく振りかぶってからその剣を光に叩きつけた。
すると信じられないことに、その剣はエクスカリバー、十五天帝の攻撃に耐えていた。
しかし、いまだに撃ち続けられる二本の光。
「奴」はその光を魔導八天で押し耐えている。
「は・・・はははっ!!!なっんっとっかっ!!!耐えてやるぜぇぇぇぇえええええ!!!!」
衝撃が周囲を覆う。
「奴」も光も、蒔風たちも、一向に動かない。
「もうちょっとなんだ!!!」
「押しきれええええええ!!!!!」
と、踏ん張る二人の肩を二人の男がポン、と叩いた。
「援護しよう」
「オレを忘れるなよ」
「「I am the born of my sword」」
後ろに立つのは士朗とアーチャー
その手に握るは投影したばかりのエクスカリバー。
本来は投影どころか解析すら不可能なその代物が、いま世界の後押しを以って顕現する。
「「エクス、カリバーーーーーーーー!!!!!!」」
セイバーの横から志郎が、蒔風の横からアーチャーがエクスカリバーを発動させる。
四本の光は一つとなって、「奴」を沈めんと一気に迫る!!!
「うおおおおあああああああああ!!!!!(バチィ!!!!)」
だがここで「奴」が動く。
まだ「奴」の方には追加の二本は届いていないため、一瞬だけ今までの二本の光を弾く。
少しだけ押し、「奴」と光との間に余裕ができ、その隙に「奴」が力を込める!!!
「魔導八天!!!限界突破!!!全力全開ッ!!!!!!」
ドゴゴゴゴガァッ!!!!!!
そして魔導八天と四本の光が衝突する。
その反動に「奴」の足が地面に埋まり、クレーターのように周囲が陥没したが、それでもまだ「奴」は耐えていた。
「うははははははははーーーーーーーーーーッ!!!!!!
いける?いけるんじゃねえ?いけんじゃねえの!?このまま耐えれば俺の勝ちだ!!!」
「奴」が半分狂ったような声を上げる。
それに対し、蒔風は苦しそうな顔をした。
(いくらなんでもムチャクチャだ!!!もっと弱らせた方が良かったか!?
だがこれ以上長引かせるのはまずかった・・・・どうする・・・・
WORLD LINKもそろそろ切れるぞ!?)
四人が焦る。
いくらなんでもこのままではまずい!!!
と
そこに実に余裕そうな感じの声がした。
「まったく何をしているのだ。あのような雑種にも劣る脇役、さっさと消し去ってしまえ」
その声の主は歩きながら金の鎧を着け、自身の肩口あたりの空間から一本の剣を抜く。
そしてそのまま歩を進め、四本の破壊の光の中に、なんの躊躇もなく入っていく。
まるでこの程度、どうとでもなると言わんばかりに。
「消えろ、脇役。貴様ごときが我の庭に入るでないわ。」
「はぁ!?ちょっとまて!!これ以上は・・・・」
「脇役はとくと舞台から消えよ。道化にもならん」
「ガぅッ・・・・!!!」
最強のサーヴァントによる、無数の宝具が叩きこまれる。
「奴」は最後まで言えなかった。
言う前に、塵となってこの世界から消えた。
そしてWORLD LINKが切れ、光が収まり固有結界も消えた。
と、四人がその場にバタリと倒れた。
「つぅかれたぁ~~~~」
「これはもう二度とやりたくはないな」
「あんなに撃ち続けたのは・・・・・初めてでしたよ・・・・・」
「・・・・・・(ゲフッ)」
「ギャーーー!?蒔風が血を吐いた!!!桜!!早く早く!!!」
「は、はい!!!」
ボロボロの蒔風を皆で治療し始めるその光景を見、英雄王のサーヴァントはもう飽きたのか、取り出した小瓶の中をクイッ、と飲んだ。
すると青年だった身体がたちまち小さくなり、少年の姿へと変わった。
「まったく。気になるなら最初から入ればいいのに。大人の僕ってホントなんであんなにひねくれたのか・・・・」
そう言いながら少年は皆のところへと駆けて行った。
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その晩、蒔風は包帯グルグル巻きにされていた。
さらには輸血パックが常げられ、穴の空いた左型は三角巾で吊っている。
「きっついなぁ・・・これ」
「これでも魔術で治癒は止めてんだから文句ゆーな。あんたの体力ならどうにかなるでしょ」
「そのためにあの時からずっと開翼しっぱなしなんですけど」
「(ニッコリ)もう一度言うわよ~?文句言うな」
「はい・・・・」
蒔風は昨日泊まった部屋の布団で横になる。
さっきから士朗をはじめ、セイバー、ランサー、アーチャー、桜とライダー、最後に凛が見舞いに来ていた。
「舜、大丈夫か?」
「また来たのか・・・・」
そしてまた士朗がやってきた。
「お前は俺たちの恩人だからな」
「よせよ。オレは俺自身の世界のためにやっただけだ」
「お前の世界?」
「気にすんな」
そう言って無理やりに話題を終わらせる蒔風。
すると
[Gate Open---Fate/stay night]
ゲートが開いた。
それを見て、蒔風が立ち上がる。
「おい・・・まさかもう行くってのか!?」
「どーやらそうらしいな。蒔風使いの荒い世界だぜ・・・・」
「その怪我でどうするんだよ!!!」
「どうにかするさ。じゃあな」
「あっ!!!ま・・・てよ・・・・」
言い終わる前に蒔風はゲートをくぐってしまった。
そしてその場には士朗が残される。
「そんなんでお前はいいのかよ・・・舜・・・・・」
世界にいいように扱われた自分自身を見た、士朗だからこそ言える言葉。
だがそれは彼には届かなかった・・・・・
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渋谷に落ちた隕石。
そこから出てきた怪物ども。
奴らは人間に擬態して、この社会に溶け込んでいる。
怪物の名は、ワーム。
この世界の戦士は、天の道を往く男
to be continued
後書き
【Fate/stay night】
構成:"フォルス"70%
"LOND"30%
最主要人物:衛宮士朗
-WORLD LINK- ~WEPON~:魔力消費量&身体への負担ゼロ、投影制限の解除
-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~:エクスカリバーと十五天帝による混合攻撃
原典:なし
アリス
「次回、変身するのは完璧男だ!!」
ではまた次回
天の道を往き、総てを司る男だ
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