Three Roses
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第二十三話 野心その九
「当初は法皇庁にいてその意向のまま動いていたな」
「はい」
その通りだとだ、司教も答えた。
「そうでした、この国に生まれましたが法皇庁に招かれ」
「法皇猊下ともお会いしてだな」
「そのお考えの下に動いていましたが」
「それでもか」
「やはり私はこの国の者です」
国への想い、それがあるからこそというのだ。
「どうしても」
「法皇庁があくまで自分達の立場からこの国を動かそうとすることにはか」
「従えませんでした、異端審問もです」
法皇庁の狂犬と言われる彼等もというのだ。
「どうしてもです」
「好きではなかったな」
「当初は違いましたが」
「あの者達の実態を知っていったか」
「法皇庁についても」
彼等自身もというのだ。
「確かに私は旧教ですが」
「この国のものだな」
「法皇庁は神にお仕えすべきです」
建前として言っている通りにというのだ。
「そのことに専念すべきなのです」
「その通りだ、世俗のことはだ」
「それぞれの国の帝室、王室が担うべきですね」
「私もそう考えている、無論父上もな」
皇帝である彼もというのだ。
「法皇庁は自分達のことしか考えていない」
「欲を」
「この国を教会の雌牛としたいのだ」
「そのことに気付きましたので」
「離れたか」
「はい、信仰は変わりませんが」
それでもというのだ。
「今では」
「私もです」
オズワルド公も太子に言った。
「法皇庁はこの国のことはです」
「この国の者に任せて欲しいのだな」
「そう思います」
司教と同じ考えだった、オズワルド公も。
「まさに」
「全くだ、卿等は正しい」
太子は微笑み二人に述べた。
「異端審問の者達がいるが彼等jは鎖につなぎだ」
「動かさない」
「そうしておくのですね」
「そうだ、いるだけで新教徒達の牽制になる」
旧教というよりかは法皇庁の敵には容赦なく襲い掛かるからだ、だから彼等は恐れられているのである。
「いるだけでいい」
「しかし勝手なことはさせない」
「絶対にですね」
「それも一切」
「そうされますか」
「そうだ、若し彼等が動こうとすれば」
その時はというのだ。
「止めろ、いいな」
「わかりました、それでは」
「その様に」
「だがこの国は再び旧教のものにする」
法皇庁の介入は許さないがというのだ。
「そうしていこう」
「はい、そして王国ですが」
「あの国は」
「最も厄介だ」
この国については太子もこう言った。
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