Three Roses
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第二十三話 野心その八
「より、な」
「人前に出られ」
「そして人と話す」
「それが大事なのですね」
「そうだ、どうも暗い気質が強い」
マイラ、彼女はというのだ。
「学識があり聡明だというのにな」
「そういったものを活かしてですね」
「よき女王になって頂く為にも」
「マイラ様はより人前に出られるべき」
「そうなりますか」
「そうだ、そなた達にはだ」
再びオズバルト公と司教に言った。
「このことも頼みたいが」
「わかりました」
「それでは」
二人は太子の今の言葉にも応えた。
「慎んでお受けします」
「我等二人が」
「それではな、私は法皇庁と王国を見る」
この双方をというのだ。
「近頃再び動こうとしている」
「どちらもですか」
「そうしてきましたか」
「このことの真偽も確かめてだ」
そしてというのだ。
「どうするかを決める」
「法皇庁と王国」
「その二つが」
「我が帝国は法皇庁の守護者だ」
表向きの話をここで出した。
「教会のな、しかしだ」
「その実は」
「せめぎ合っている」
「それが帝国と法皇庁ですね」
「そうですね」
「そうだ、法皇庁は貪欲だ」
このことは帝国だけでなく多くの者が言っている。
「神に仕えているのだが」
「この世のものにですね」
「欲が深いですね」
「それも極めてな、黄金に土地に馳走、酒に美女に権勢とだ」
とかくあらゆるものをというのだ。
「求め手段を選ばず手に入れようとする」
「それが法皇庁、教会ですね」
「あらゆる国からあらゆるものを手に入れようとする」
「それが法皇庁であり」
「帝国も」
「帝国はロートリンゲン家が治めている」
即ち太子の家がとだ、太子は言い切った。
「法皇庁の領土ではないのだ」
「法皇庁な結構な領土をお持ちですが」
「法皇領を」
「豊かで広いご領地ですが」
「そこにさらにですね」
「そうだ、法皇庁は信仰を口実にしてだ」
まさにそれからである。
「あらゆるものを手に入れようとする」
「この国においてもですね」
「それは同じである」
「我等にとっては厄介な相手が」
「王国と共に」
「どうも王国と法皇庁は手を組んだ」
この情報も言う太子だった。
「ならばだ」
「この国もですね」
「まとまるべきですね」
「王国、法皇庁に付け込まれない様に」
「一つであるべきですね」
「そうだ、しかし司教はだ」
ここで太子は司教を見て彼に問うた。
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