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Three Roses

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第二十三話 野心その五

 ロドネイ公達にだ、こう言った。
「私は王位よりも」
「それよりも」
「別のものを」
「欲しいのですが」 
 中庭にいて薔薇達を見つつ言うのだった。
「出来れば今もと思っていました」
「しかしそれは」
「どうしても出来ません」
「どなたも嫁がれます」
「ましてや王家に生まれたなら」
「はい、それもまた務めです」
 結婚、それもとだ。マリーもわかっている。
「私もやがてはですし」
「そのお話はまだ出ていませんが」
「やがてはです」
「マリー様もとなります」
「間違いなく」
「生涯、とはですね」
 マリーは側近達の言葉を受けて述べた。
「なりませんね」
「はい、どうしてもです」
「結婚して頂くことになります」
「他国の王家の方か国内の有力な諸侯のどなたかと」
「やがては」
「そうですね、では」
 それではとだ、マリーも頷く。自身のことについては。
 そしてだ、マリーはあらためて赤と黄色、白の薔薇達を暖かい目で見てそのうえでこう言ったのだった。
「ですが今も」
「はい、セーラ様そしてマリア様とは」
「文でのやり取りも行われていますね」
「お二方もそれぞれのお国にこの薔薇達を入れられています」
「それでは」
「そうですね、私達はです」
 まさにと言うのだった。
「今も共にあります」
「離れてしまいましたが」
「それは御身のこと」
「お心は共にあります」
「そうなっています」
「そうですね、では二人に何かあれば」
 セーラ、そしてマリアにだ。
「私は何があろうとも」
「助けられますね」
「そうされますね」
「是非」
 こう言うのだった、そしてだった。
 この話の中でだ、ロドネイ公はマリーにこうしたことを言った。
「王女は王位は望まれていませんね」
「はい」
 その通りとだ、マリーはロドネイ公に答えた。
「実は」
「そうですね」
「この国と民が幸せになることがです」
「望みであられ」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「私はそれが今のままで適えられるなら」
「玉座はですね」
「必要ありません」
 こう言うのだった。
「目的が適えられるのなら」
「ではです」
 グラッドストン大司教がマリーに言ってきた。
「このままでもですね」
「構いません」
「マイラ様が女王でも」
「それでも」
 全くという言葉だった。 
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