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夏の傘

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第二章

「スカートの娘大丈夫?」
「あっ、中ね」
「スカートの中ね」
「半ズボン穿いてるわよね」
 体育の時に穿くそれをというのだ。
「ちゃんと」
「うん、大丈夫よ」
「私穿いてるわ」
「私もよ」
「私もだし」
 言いだしっぺの凛音もだ、少し自分の腰の方を見て言った。
「それじゃあ安心ね」
「やっぱりこれはね」
「ちゃんとしておかないとね」
「見えるからね」
「ちょっと激しく動いたら」
 女の子同士で話していく。
「見えるから」
「女の子同士ならいいけれどね」
「男の子もいるし」
「そこはしっかりしないとね」
「少し暑くても」
 夏なので下着の上に穿くとやはり暑い、だが。
 それでもとだ、女の子達はお互いに話した。
「こうしたことは注意していきましょう」
「暑いのは我慢して」
「そうしてね」
「それでやっていきましょう」
 こうしたことを話してだ、凛音達はしっかりとショーツの上に半ズボンを穿いた。スカートを穿いている娘は皆そうした。
 そのうえで体育館の中でバスケをした、そうして。
 ドッヂもした、そうしているとだ。
 自然と汗が出てだ、凛音は持ってきていたタオルで顔の汗を拭きつつ言った。
「暑いね」
「蒸すわね」
「今日はまだ涼しい方でもね」
「ちょっと身体動かすとね」
「凄い汗出るわね」
「そうね、けれどね」
 汗を拭きつつだ、凛音は笑顔で言った。
「楽しいね」
「うん、バスケにドッヂにね」
「楽しいわね」
「お外で遊べなくても」
「それでもね」
「うん、いいわ」
 汗をかいて爽やかな笑顔だ、その顔での言葉だった。
 そうしてだ、昼前まで一緒に遊んでだった。 
 凛音達は体育館の鍵を閉めてその鍵を職員室に返してだった。帰路についた。その時も雨は降っていて。
 朝から降っていたのでさしてきた傘をさしてだ、家に帰った。それは凛音も同じで。
 凛音は一緒に帰っている友人達にだ、こう言った。
「楽しかったね」
「うん、体育館で遊んでね」
「何かすっきりしたわ」
「お外で遊べないけれど」
「それでもね」
「やっぱりすっきりしたわ」
「いい気分よ」 
 友人達も笑顔で話す、そして。
 凛音は傘にかかる雨の音を聞いてだ、こんなことも言った。雨はしとしとと降っていて傘にもかかり雨水を垂らさせている。
 その傘にかかる音についてだ、こう言ったのだ。
「何かいい音ね」
「いいって?」
「何がいい音なの?」
「雨の音がね」
 それがというのだ。
「何かリズムがあって」
「まあしとしと降ってね」
「雨にかかる音の感じって一定でね」
「リズムがあるっていうといい音?」
「そうかもね」
「雨は嫌だけれど」
 それでもというのだ。 
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