世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
リトルバスターズ ~遊び人二人の出会い~
朝である。
学校である。
そして今俺、蒔風舜は担任である教師と共に自分の教室へと向かっていた。
「で、あっちが男子寮、向こうが女子寮だ」
「ふいふい」
「それから、今から行くのが校舎だな」
「オッケイです」
「にしても君、こんな時期に転校とは大変だな。三年ならすぐに受験じゃないのか?」
「あ、いえ」
「ん?なんだ?就職か?それにしたって・・・」
「まあそこは家庭の事情ってやつですよ」
「そうか。ま、深くは聞かんさ」
そんな風に適当な会話をしながら、蒔風と教師が中庭を通って校舎の方へと歩いていく。
と、その途中で教師の足が止まった。
「しまった・・・ホームルームで配るプリント忘れた・・・」
「あ、じゃあオレこのまま待ってますよ」
「ん、そうか?すまないな。すぐに戻るから」
そういって教師は足早に職員室へと戻っていく。
そこに立ち尽くして待っていると、さっき食堂がある方だと言われた方角から、けたたましい声が聞こえた。
「だぁーーー!!!やばい遅刻すんぞ!!!」
「元はと言えば真人のせいなんだからね!!!」
「んだよ理樹、それじゃまるでオレのせいみたいじゃねえかよ!!」
「バカ。理樹はそうとしか言っておらんだろう」
「お前バカだな」
「あぁん!?てめえらオレをバカにすんのが筋肉さんをバカにすることと同義だと知っての言葉か!?」
「そんなこと言ってないで走ってよ真人!」
「そんなこと・・・・うをおおおお!!!!どうしてくれんだよッ!理樹にまで愛想尽かされちまったじゃねえか!!!」
「割と前から愛想は尽いたよ」
「もうバカだな。いやバランだな」
「鈴、それは弁当の中の緑の草みたいなものだ。決して馬鹿と言う意味じゃない」
「なにぃ!?」
「へへっ!バーカ!!」
「うっさいボケぇ!!!(ドゲシッ!!)」
ドッシャァ!!!
何やら五人の生徒が遅刻ギリギリで走っている。
ブレザーの制服なのに学ランを来た筋肉質の男が、紅一点の小柄な女子にハイキックぶちかまされてスッ転んだ。
「お前ら何やってんだ!!もう間に合わないっ!!」
「どーすんだよ!!」
「お前のせいだろ、真人」
「なんだとこの謙吾が!!!」
「やるのか?」
「やめろ、そんなことしてる場合じゃない!!こうなったらオレにいい考えがある」
「え?恭介、まさかそれって・・・・」
「言いから耳貸せ」
その五人が円陣組んでなにやら話し込む。
なんだ?何するんだ?
気弱そうな少年が驚くが、結局何かが実行されるようだ。
大柄な二人、真人と呼ばれていた学ラン少年と謙吾と呼ばれていた剣道着姿の少年が足場になる。
そしてその二人の手に鈴と呼ばれていた少女が立つ。
「今度は成功させるぞ!!」
「いっくぜーーーーーーー!!!!」
「どぉりゃあああああああ!!!!」
屈強な二人が、少女を力の限りブン投げた。真上に。
階段を上っては間に合わないと判断したのか、打ち上げて教室の窓から投げいれるらしい。
だが、力の配分が狂ったらしい。
頂点に達し、ふわりと浮いた体は校舎からスゥッと離れてそのまま落下していってしまった。
ブン投げた直後の二人では追いつかない。
かといって残りの二人ではなおのこと無理だろう。
しかし、このままでは地面に直撃である。
だがここに間に合い、そしてかつ落下する人間一人を受け止められる男が一人。
「あ、ぶなああああああああああああああ!!!!!」
とっさに跳躍し、そしてキャッチ。
一瞬でその軌道を見据え、まだ二階部分を落下中の少女のもとへと飛び上がる蒔風。
だが、蒔風が少女に到達した瞬間、その少女が信じられない動きを見せた。
空中で一回転して体勢を戻し、蒔風の顔を踏み台にしたのだ!!!
「ノウッ!?」
そして軌道修正して見事目当ての窓に飛び込む少女。
地面に落ちる蒔風。
そして俺はこんな感想を漏らしてしまったのだ。
「ネコさんか・・・・」
その言葉が、蒔風の午前中の最後の言葉だった。
なぜなら、聞こえたのだろうか、その教室の窓から先ほどの少女が机を投げ出してきたからである。
「は?ンガッ!!!!」
それが顔面に直撃し、ほどなく気絶する蒔風。
その周囲に四人の男子が気まずそうによってきたのはぼんやりと見えた。
教室の方では彼女の友人らしき子がさらにイスを投げつけようとしてきたのを止めていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パタリ
そして蒔風はこの学校でのデビューを、この日最初の保健室利用者として飾ったのだった。
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「ハッ!!オレは今目覚めた!!」
ガバリと蒔風が身体を起こす。
ここは保健室だ。
あの後担ぎこまれたらしい。
ガラガラガラ
「お?目が覚めたかい」
そこに一人の生徒が入ってきた。
「あ、朝の」
「よ、オレは棗恭介ってんだ。朝は妹を助けようとしてくれてサンキューな」
「ん?あれ?ああ、そういやそうだったな。彼女あんたの妹だったのか」
「そ。で、あんたの名前は?」
「おぉ、名乗られたからには名乗りかえそう。俺の名前は蒔風舜。趣味は熱いこと。特技は世界最強。座右の銘は「いつまでも少年ハート」だ」
ピクリ、と恭介の眉が動く。
「あんた転校生だよな?何年だ?」
「三年・・・らしい」
「それでも今!青春を駆け抜けたいか!?」
「ふぇ!?お、おお!!いつだって青春は大好きだ!!!思いっきり楽しめることは大大大好きだもんね!!!!
「へっ、お前、最高に面白いぜ。舜と呼んでもいいか?」
「いいぜ?じゃあオレも恭介と呼ばせていただこう」
「ふふふ」
「ははは」
「「あーーーーーっはっはっはっはっはっは!!!!」」
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「と言うわけでたった今からこいつの適性試験を始めるッ!!!」
「えぇ~~~~~~~~!?!?!?」
「ってかよ恭介!!こいつ朝の奴じゃねえか!!!」
「そういえばそうだな」
そして放課後、蒔風は恭介に連れられてグラウンドに出てきていた。
なんでも彼の友達グループは今野球をやっていて、そのチームに蒔風は誘われたのだ。
「オレとしては今すぐ入れてやりたいッ!!だが他の奴らはお前の事をよく知らない。だからお前の実力、見せてやれよ!!!」
これは恭介の談である。
まだここには蒔風を含め男五人しかいないが、まだメンバーはたくさんいるらしい。
「まあ恭介ががそういうなら仕方ないけどさ・・・・」
「いいのか?理樹。今リトルバスターズのリーダーはお前なんだから、お前が嫌だと言えばオレは何も言えなくなるんだが」
「うーーーん・・・・でも恭介が選定したならいい人みたいだし・・・・見てみるだけ見てみるよ」
「よっしゃぁ!!!!」
こうして、蒔風の適性試験が始まった。
(このメンバーがリトルバスターズか・・・・・・・だったら!!)
蒔風がグローブをつけてベースの外側に立つ。
理樹の撃つ球を、それで捕球していくのだ。
(何が何でも入ってやる!!!)
蒔風がなぜか冷や汗を流しながら、決心した。
to be continued
後書き
アリス
「次回、蒔風の苦手発覚」
ではまた次回
イエ~イ!筋肉筋肉~~♪
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