聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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490部分:第六十九話 アイオリアの選択その二
第六十九話 アイオリアの選択その二
「所詮はそれまでだ。俺が相手をするまでもない者ということだ」
「ではリゲル様はここで休まれていて下さい」
「動かれることはありませんので」
「そうだな」
少し眉を動かしたが彼等の言葉に頷いてみせたのであった。70
「では俺はここにいさせてもらう」
「はい、それで御願いします」
「我等が全て」
「しかしだ」
ここでリゲルは言葉を鋭くさせて。彼等に告げてきた。
「若し貴様等に何かあれば」
「その時は、ですか」
「動かれるのですか」
「狂闘士は同胞が倒されたならば」
その同胞が他ならぬ目の前に集う彼等ということである。
「その仇を何処までも追い詰めそのうえで倒す」
「ですから我等も」
「インプ達の仇を」
「それは俺も同じだ」
また告げてみせるのだった。
「このリゲルもだ」
「では我々に何かあれば」
「その時は、ですか」
「だから安心して行くのだ」
そしてここでも彼等に対して告げた。
「いいな、それで」
「はい、有り難き御言葉」
「では」
「レオのアイオリアか」
彼の名も言葉に出して呟くのだった。
「先の聖戦、そして前の我等との戦い」
その二つの戦いのことを知っている、そうした今の言葉であった。その言葉を出しながらアイオリアについて思索を巡らせていくのだった。
「その時に見せた力、再び見せてもらおう」
右手を拳にしそれを見ながらの言葉だった。彼もまた戦いを見据えているのであった。そのうえで今その場に残ることにしたのだ。
九人の狂闘士達が消えようとする。やはりリゲルは彼等を見送るだけである。動こうとせずその背を見ているだけなのだった。
「ではリゲル様」
「行って参ります」
「戦いを楽しむのだ」
今は彼等にこう述べた。
「いいな」
「わかっております」
「聖闘士達との戦いを楽しみ」
「そして」
そのうえで述べる言葉は。
「その血を浴びましょう」
「それで我等の戦衣をさらに赤く染めましょうぞ」
「そうするといい」
リゲルは彼等のそうした言葉を受けてまた述べた。
「それが我等の赤なのだからな」
「はい、赤こそが最も尊い色です」
「アーレス様の色です」
赤はまさに彼等の崇めるその神そのものだというのである。
「ですからその鮮血の赤で」
「我等をより赤く」
「やがて地上はアーレス様のものとなる」
このことはリゲルも確信しているのだった。それを確信しているということそれ自体がまさに彼がアーレスの僕であることを示していた。
「その際には地上は全てが戦いで支配される世界となる」
「はい、アーレス様の望まれる」
「戦いとそれによる破壊と殺戮、流血に覆われた世界が」
それこそが彼等の世界であった。アテナの愛するものはそこには何一つとしてない。
「業火と災厄に覆われた世界」
「その世界が実現されます」
「その為にはまず聖闘士だ」
リゲルの目の光が鋭いものになった。
「あの者達を倒さなければならない」
「では。まずあの者達を生贄としましょう」
「アーレス様への」
「その為にも」
「行くのだ」
また告げたリゲルだった。
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