ソードアート・オンライン ~気ままな風の放浪者~
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第2話 ~偶然で不運な出会い~
前書き
第二話です!……めっちゃ期間が長くなりましたが、なんとか完成……
……朝。第1層にある村【ホルンカ】
ここには現在、一人のプレイヤーが滞在している。そのプレイヤーはたった一人で【始まりの街】から出ていき、通り道を塞ぐモンスター達を蹴散らしてここに辿り着いた。そして、今日もまた一人で気ままにクエストを進行させる…筈だった。
「……ふぁ~よく寝たぁ……」
あくびをしながらそう呟き、背伸びをしながらハヤテは宿を出た。
『今日は昨日受けたクエストを進行させよう。』昨夜の宣言通りに行動するため、彼はすぐに村の広場へと向かい、戦う為の準備を始めた。
……しかし、そこでは彼にとっての異変が起きていた。
「……もう他のプレイヤーが来たのか」
広場の辺りを見渡しながらハヤテは呟いた。
そう、朝が訪れた村【ホルンカ】の広場では、彼以外のプレイヤーの姿があった。といっても、【始まりの街】にいた約一万人がいるという訳ではなく、現在は約30人程のプレイヤーが広場に集まっていた。そこでは、訪れた新しい村を観光する様に見る者もいれば、『やっと辿り着いた』と地面に這いつくばっている苦労をした者も見える。
(……じきに100人くらい集まってくるか……面倒だな。ならさっさと終わらせるか)
ハヤテは面倒そうな気持ちでそう思い、すぐにクエスト対象の森へと向かう入り口へと向かった。
『面倒事は御免』他のプレイヤーに捕まる前に、彼はすぐに入り口を通ろうとしたが……彼の言う面倒事が発生した。ハヤテが入り口を通り過ぎようとした矢先、彼は一人のプレイヤー呼び止められた。
「あの~すいません!」
「……(俺を呼んだ訳じゃないな、聞こえなかった事にして無視しよう)」
ハヤテはそう決めつけると、すぐにその場から立ち去ろうとした。
しかし、立ち去る寸前に彼はそのプレイヤーに力強く肩を捕まれてしまい、結果捕まってしまった。
……流石にここまでされて振り向かない訳にはいかない。そう決意すると、彼はすぐに振り向いた。
「……!?……何か用が?」
振り向いた瞬間、そのプレイヤーを見て驚いたがハヤテはすぐに平静を保った。
驚いた理由は、そのプレイヤーの容姿だった。そのプレイヤーはハヤテと同じ初期装備の防具と腰に付いた片手剣を装備しており、容姿は紫色の長い髪をした約13~14歳くらいの可愛い少女だった。普通のオンラインゲームなら女に成り済ました男……通称『ネカマ』とやらだと彼は判断するが、ここはSAO…容姿は茅場によって、現実世界と同じ容姿にされており、その中には女に成り済ました男も発覚していた。
……つまり、現在ここにいる女性は本物……しかも幼い少女だが美人の部類に入る者だという事だ。
(……って、何をロリコン見たいな理由で驚いてるんだ俺は……驚いているのは別の問題だ)
「あの……大丈夫ですか?」
「……ああ……ところで、一体どういう用件が?」
ハヤテは気を取り直して少女に聞いた。
内心では『面倒事は御免』と思っているが、恐らく何かがあって話し掛けてくれたのだろう。ハヤテの表情を伺いながらおどおどしている少女に対して、彼は話くらいは聞いてあげようと思った。
「え~っと……さっきお兄さんはそこの森に行こうとしてたよね?」
「……ああ」
「やっぱり!実はお願いがあるんです!!」
「……何だ?(……面倒事ではありませんように面倒事ではありませんように面倒事ry)」
「えっとですね……ボク達とパーティーを組んで一緒にクエストをやって欲しいんですけど……」
「(……面倒事じゃないか)」
「えっと……駄目ですか……?」
ハヤテの心の声が聞こえたのか、少女は沈んだ表情でそう言った。
それを見たハヤテは心なしか気まずい気持ちを覚えた。構図では、ハヤテが少女を泣かせた様な感じになっており、ハヤテは他のプレイヤー達が自分を冷たい目で睨んでいる様に感じた。『このままでは気まずい』そう思った瞬間、ハヤテは再び決意した。
「……い、いや……無理とは言ってな」
「ホントですか!?」
「えっと……(まずい、何とかして断らなければ……)」
ハヤテは打開策を練り始めた。
しかし、その考えは数秒で消え去った。何故なら相手の少女がハヤテに対して期待の眼差しを向けているからだ。他人であるハヤテにここまで食いついてくるという事は何か理由があるのだろう。そう思うと余計に断りにくくなり、ハヤテは渋々と逃げる事を諦めた。
「……分かった」
「……ホント!?」
「分かったと言った」
「……やったぁ!ありがとう!」
少女はそう言った後、ハヤテに頭を下げた。
『何もそこまでする必要は無いだろう』ハヤテはそう思うとすぐ少女に頭を上げるように言った。少女はすぐに頭を上げると、右手を動かしメニューを開いて操作し始めた。操作が終わると、ハヤテの目の前にメッセージが現れた。
[Yuukiからパーティに誘われています]
そのメッセージを見た後、ハヤテはすぐに○を押した。
すると、自分のHPの下に"二つの名前"が表示された。その内の一つは目の前にいる少女[ユウキ]のもの、もう一つは[Ran]と表示されている。
「……[Ran]?」
「……あ、そういえば紹介してなかったね。その人はボクの姉ちゃん、今連れてくるから待っててね!」
少女……ユウキはそう言うと広場へと走っていった。
ユウキのあまりにも早い行動力に対してハヤテが呆然としていると、数分後にユウキは姉らしき女性を連れて戻ってきた。その女性はユウキよりも発育が良いのか背が高く胸も大きい白髪の女性、ユウキと同じく美人の部類に入る人物だった。現在、彼女はユウキに引きずられているせいか、静止を求めながらハヤテの元まで連れてこられた。
「お待たせ~!」
「あ、ああ……その人は」
「ボクの姉ちゃん!」
「……そうか」
「……初めまして!私は紺野藍子、よろしくね!」
ユウキの姉は自己紹介をすると握手を求めてきた。
当然ハヤテは困惑した。面倒な事に隣にいるユウキと同じく活発で行動力のある女性だという事を知ったからだ。何故なら、初対面の人間が突然自分の名前を……恐らくプレイヤーネームではなく本名を言って握手を求めてきたからだ。学生で言う『友達作りの上手い人』というのが当てはまるだろう……しかし……
「……俺はハヤテ、自己紹介はいいがここでは本名を明かさない方がいいぞ」
「あっ!?……ご、ごめんなさい!」
「……いや、謝らなくていいから」
「そ、そうですか…あ、改めまして……私はユウキの姉[ラン]です。さっきは本当に」
「だから謝らなくていいから」
「ご、ごめんなさい!!」
……何だこの姉妹は……
活発的で行動力のある姉妹を見てハヤテは思った。元気があって行動力の高い人間は良いものだろう。しかし、ハヤテは『面倒事がさらに面倒な事になるんだろうな』と何故かとても強く確信した。
「もう、姉ちゃんは相変わらずドジっ子だなぁ」
「ド、ドジっ子とか言わないでよユウキ!」
「あんなの見せられたら誰だってそう思うよ。お兄さんも思ったよね?」
「……多少は思った」
「だよね~♪」
「……それで、何故俺をパーティに?」
「それはさっき言ったじゃん、お兄さんが」
「呼び捨てでハヤテ」
「じゃあボクや姉ちゃんも呼び捨てにしてね、ハヤテがあの森に入ろうとしてたからだよ」
「……あの森に何かあるのか?」
「うん!実はあそこの叔母さんからクエストを受けてね。あの森にいるモンスターからアイテムを手に入れろ~ってクエストで……って、ハヤテも知ってた?」
「当然だ」
「じゃあ分かるでしょ?ボク達と一緒にやろうよ!こういう探し物は大勢でやった方がいいって本に書いてあったしね!」
「……勝手にしてくれ」
「……キミって無愛想なんだね。」
「そうだろう、そうだろう、だから俺と組むのは」
「「やめないよ?」」
「……勝手にしてくれ」
とうとう諦めが完全に着いたのか、ハヤテはそう言うと森の入り口へと歩いていった。
ユウキとランは当然ハヤテに着いて歩き始めた。それを見たハヤテは少し溜め息を付くと[ホルンカ]の町の外へと出ていき、目的地である森……通称[闇の森]へと三人は足を踏み入れたのだった……
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