遊戯王ARC―V ~二色の眼と焔の武装~
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第1章 スタンダード次元篇
ペンデュラム召喚
第3話 唸る怒涛の炎撃 リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン
前書き
ずいぶんと更新が遅くなりました。
「ふわぁぁ······」
龍牙は大きなあくびをしながらベッドから起き上がる。
ここは遊矢の家。なぜ龍牙がここにいるのかというと、話は数日前に遡る。
突如襲来した不良デュエリストたちを撃退した龍牙は、エクシーズ召喚をどこで習ったのかと訊かれた際に、龍牙は過去の記憶がないと答えた。
『『『『『『『ええぇぇぇっ!?』』』』』』』
それを聞いた遊矢たちは仰天して、大声をあげてしまう。
『そんなに驚くことか?』
龍牙は内心で「大袈裟だなぁ」と思いながら、首を傾げながらヘラヘラと笑う。
『いやいや! なんでそんなに平然としてるんだよ!? 記憶がなくなってるんだろう!?』
『普通はもっと焦ってるところでしょう!』
あまりにも平然としてる龍牙に、声を荒らげてツッコむ遊矢と柚子。
『つってもなぁ······焦ってもどうしようもねえし。ほっとけば、そのうち戻るだろうと、それならいっそ、気楽にしてようかなぁって』
『······お気楽すぎるだろ······』
龍牙のお気楽っぷりに、遊矢たちはなんとも言えないような視線を向けてしまう。
『というか、龍牙。記憶がないなら、もしかして行くあてって──』
『ああ。もちろんないぜ』
ケロッと言う龍牙。
『······そんな、あっさりと······』
『まぁ、デュエルではよくあることだろ?』
『いや、ないよ! あってたまるもんか!』
遊矢の過去最大ともいえるツッコミが炸裂した。
記憶喪失の当の本人があまりにも気にしてなさすぎるため、遊矢たちももう、追求するのをやめてしまった。
『じゃあ、龍牙。これからどうするんだ? というか、いままでどうしてたんだ?』
『とりあえずは、いま泊まっている安いホテルにしばらくは滞在するつもりだが』
『お金とか大丈夫なのか?』
遊矢の問いに、龍牙は渋い顔をする。
『正直、厳しいところだ』
そんな龍牙に遊矢はある提案をする。
『ならさ──』
行くあてのない龍牙を遊矢は自分の家に泊まるように提案し、龍牙はその好意に甘えて現在に至る。
『うわああああああああっ!?』
「ん?」
貸し与えられた部屋を出た龍牙の耳に、遊矢の叫び声と何かが落ちた音が遊矢の部屋から聴こえた。
「遊矢?」
龍牙は遊矢の部屋の中をのぞき込む。そこには、ベッドから転げ落ちたであろう遊矢がいた。
「うぅん、夢······?」
「大丈夫か、遊矢?」
「······ああ、大丈夫だ」
龍牙は手を差し出し、掴んできた遊矢の手を引っ張って、遊矢を起き上がらせる。
「どんな夢を見てたんだ?」
「俺がペンデュラム召喚を使ってデュエルチャンピオンになった夢。チャンピオンは夢だったけど──」
遊矢は机に置かれたペンデュラムを手に取り、目の前で揺らす。
「でも、ペンデュラム召喚は夢じゃない」
あの後、遊矢はペンデュラム召喚をものにするため、龍牙と権現坂の助けを借りながら夜通しで練習を行い、ついにペンデュラム召喚をマスターしたのだった。
「ペンデュラム召喚があれば、俺はもっともっとたくさんの皆をデュエルで笑顔にできる! きっと! きっと、父さんみたいに!」
「気合い入ってるな、遊矢」
「ああ!」
そんな気合いを入れる遊矢のお腹からマヌケそうな音が鳴る。
「あはは······」
「まずは腹ごしらえだな。腹が減っては、戦はできんってね」
龍牙と遊矢は着替え、朝食を食べるため、リビングへと向かう。
そんな龍牙と遊矢のもとに一匹の犬と猫が駆け寄る。
「アン! コール!」
「よっ、二人ともおはよう」
犬がアン、猫がコールという名前で、ニ匹とも遊矢が飼っているペットだった。
「アン、おまえ重くなったな。母さんが拾ってきたときは、手のひらに乗るくらい、小ちゃかったのに」
「はは。いまじゃ、すっかり大きくなってるな」
このニ匹は、もともとは野良で、遊矢の母、榊洋子が拾ってきたのだ。
洋子は面倒見がいい性格で、こういうのを放っておけないのだ。龍牙が泊まることにも、快く承諾してくれた。
「やっぱりお腹空いてたんだぁ。ほら、いっぱい食べていいからね」
一階のリビングから件の洋子の声が聴こえてきた。
「母さん、また何か拾ってきたのか?」
「口ぶりから察するにそうじゃねぇか?」
二人はポールを伝い、一階に降りる。
「あっ、師匠!」
そこには洋子が出したパンケーキを食べる水色の髪を頭のてっぺん付近で結った人懐っこそうな少年がいた。
「なんでおまえが!?」
少年を見た遊矢は、声を荒らげて少年に詰め寄る。
「いやー、なんか、家の前をウロウロしてたからさぁ。あたしってば、お腹空いてそうな子を見ると、つい拾っちゃうのよねぇ」
「······いや、人間拾っちゃダメだろ」
「けど、この子、あんたの弟子なんだろ?」
「違う!」
「ええぇぇぇ!?」
「ええ、じゃない!」
この少年、名前を紫雲院素良という。
遊矢がペンデュラム召喚をマスターしてまだ間がないあるとき、沢渡シンゴというLDS所属のデュエリストが遊矢に接触してきた。目的は遊矢が持つペンデュラムカード。
そのため、遊矢や龍牙、柚子、アユ、フトシ、タツヤの六人をLDSに招き寄せ、沢渡は遊矢からペンデュラムカードをだまし取るのだった。
龍牙は何かあると沢渡を警戒していたが、LDSの施設の豪勢ぶりに目を奪われ迷子になってしまい、沢渡の凶行を防ぐことができなかった。
その後、柚子たちを人質に取られ、遊矢は沢渡とアクションデュエルをすることになった。
沢渡はさっそく、奪ったペンデュラム召喚で遊矢を追い詰めるが、遊矢のカードを信じる想いが起こした奇跡により、見事ペンデュラムカードを取り戻し、逆転勝利を収めた。
そして今度は力ずくで奪い取ろうと強硬手段に打って出た沢渡から遊矢を救ったのが、この素良だった。
そして、遊矢を師と仰ぎ、いまに至るまで遊矢に付きまとい始めたのだ。
―○●○―
あれから素良の付きまといぶりは激しく、学校どころか、トイレにまで現れる始末。
そこで、アクションデュエルで決着をつけることになった。
遊矢が勝てばもう付きまとわず、弟子入りもなし、素良が勝てば弟子入りという条件で始まったアクションデュエル。最初は遊矢のペンデュラム召喚で遊矢が圧倒していた。
『融合召喚! 現れ出ちゃえ!』
だが、素良は融合召喚の使い手であり、素良が融合召喚を行ってからは、遊矢が圧倒され、追い詰められてしまう。
『《オッドアイズ》はエクストラデッキの中だ!』
追い詰められた遊矢だったが、フィールドから墓地に送られるペンデュラムモンスターはエクストラデッキに行くという新たに発覚した特性でピンチを乗り切り、そのペンデュラムモンスターをエクストラデッキからペンデュラム召喚を行うことで見事に逆転勝利を収めた。
「約束、覚えてるよな? 俺が勝ったから、おまえを弟子にはできない──」
「フフフッ! おもしろい! すっごいおもしろかったよ! 遊矢とのデュエル!」
「はぁ······て、それに、なんで呼び捨て······」
「弟子にはしてくれないんでしょ? だったら僕、遊矢の友達になる。友達なら、呼び捨てでいいよね?」
「えっ!? 勝手に何を言って──」
難色示す遊矢の言葉をデュエルコートに入ってきた修造が遮る。
「そうかそうか。二人は友達になったのか! 塾生の友達は皆塾生!」
ずいぶんと強引な持論を掲げながら、修造は素良に入塾を促す。
「どうだ、キミ。我が遊勝塾に入らんか!?」
「いいの!? こっちのほうが、LDSなんかよりもずっと楽しそうだし!」
素良も遊勝塾への入塾は乗り気だった。
「いよーっし! それじゃあさっそく、申込書を持ってくるからな!」
そう言い、修造はその場から駆け出していった。
「······やれやれ」
「いいじゃねぇか、遊矢。仲間が増えるのはいいことだろ?」
龍牙は遊矢の背中を叩きながら笑みを浮かべて言う。
「そうだけどさ······そういえば、素良」
「何、遊矢?」
「おまえ、LDSの生徒じゃないなら、どこで融合召喚を覚えたんだ?」
遊矢は率直な疑問を口にする。
「え、融合なんか、僕が前に住んでたところじゃ、皆普通にやってたよ」
「普通にやってたって······どこだよそれ!? 外国?」
「まぁ、いいじゃん。そんな細かいこと」
遊矢の問いに素良は適当にはぐらかす。
「なんだよそれ······エクシーズ召喚を使う龍牙といい、変わってるな、おまえも······」
「エクシーズ?」
何気なく呟いた遊矢の言葉に素良は反応する。
「ねえ、龍牙ってキミのことだよね?」
「ああ、そうだぜ」
「キミ、エクシーズ使いなんだ?」
「そういうおまえはおまえは融合使いなんだな」
龍牙と素良はお互いに獲物を見るような目で見る。
「なあ、俺とデュエルしようぜ」
「うん、いいよ」
突如として、龍牙と素良のデュエルが行われることとなった。
―○●○―
「う〜む······よし! アクションフィールド、オン! フィールド魔法、《キャンディー・パーク》!」
急遽始まった龍牙と素良のアクションデュエル。現れたアクションフィールドは、巨大な様々なアメがある公園で、遊具までアメでできていた。
「うわぁ! このフィールドも最高だよー!」
「気分も高まったようだし、早速やるか!」
「うん!」
二人は意気揚々とコールする。
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ! これぞデュエルの最強進化系!」
「「アクショーン! デュエル!」」
RYUGA
LP4000
手札5
SORA
LP4000
手札5
「俺の先行。俺は《AD-アサルトガンナー・ドレイク》を召喚!」
AD-アサルトガンナー・ドレイク
レベル4
ATK1800
先行は龍牙。龍牙が召喚したのは、銃火器と装甲で武装したドラゴン。
「このカードが召喚・特殊召喚に成功したとき、相手に800ポイントのダメージを与える!」
「うわぁ!?」
SORA
LP4000→3200
銃火器から放たれた銃弾が素良を襲い、ライフを奪う。
「いきなりやってくれるねぇ」
「へへっ。カードを1枚を伏せて、ターンエンド」
RYUGA
LP4000
手札3
モンスターゾーン
・AD-アサルトガンナー・ドレイク
魔法・罠ゾーン
・リバース
SORA
LP3200
手札5
「僕のターン、ドロー。僕は《ファーニマル・ライオ》を召喚!」
ファーニマル・ライオ
レベル4
ATK1600
「自分フィールドに他の『ファーニマル』モンスターが存在するとき、手札から《ファーニマル・シープ》を特殊召喚できる」
ファーニマル・シープ
レベル2
ATK400
素良のフィールドに、かわいらしいライオンと羊のぬいぐるみが現れる。
「さらに僕は永続魔法、《トイポット》を発動!」
さらに遊矢とのデュエルでも使用したガチャが現れる。
「《トイポット》は1ターンに1度、手札1枚を墓地に送り、デッキから1枚ドローできる。これ、いーらない。これで僕がドローしたカードがレベル4以下のモンスターだったら特殊召喚できる。それ以外だったら墓地へポイ。ドロー! 僕が引いたのは《エッジインプ・シザー》!」
エッジインプ・シザー
レベル3
ATK1200
ガチャのカプセルから悪魔のようなハサミのモンスターが現れる。
「《エッジインプ・シザー》の効果発動! 《ファーニマル・シープ》を手札に戻す」
《エッジインプ・シザー》が《ファーニマル・シープ》の羊毛をどんどん切り裂いていってしまう。
「じゃじゃーん!」
ファーニマル・ベアー
レベル3
ATK1200
「かわいいかわいい羊さんがクマさんになっちゃいましたぁ!」
すべての羊毛を切り裂かれると、なんと羊がクマに変わってしまった。
「それも《エッジインプ・シザー》の効果か?」
「うん。《エッジインプ・シザー》が召喚・特殊召喚に成功したとき、自分フィールドの『ファーニマル』モンスター1体を手札に戻し、手札の『ファーニマル』モンスター1体を特殊召喚できるんだ。そして、《ファーニマル・シープ》が手札に戻ったとき、デッキからあるカードを手札に加える! 僕が手札に加えたのは──魔法カード、《融合》! そして、《融合》を発動!」
「早速か!」
「僕が融合するのは、《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ベア》。悪魔の爪よ! 野獣の牙よ! いま神秘の渦でひとつとなりて、新たな姿と力を見せよ! 融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを切り裂く戦慄のケダモノ! 《デストーイ・シザー・ベアー》!」
デストーイ・シザー・ベアー
レベル6
ATK2200
遊矢とのデュエルで現れた融合モンスター。その姿は、先ほどまでのかわいらしい姿とは打って変わって、おぞましい姿に成り果ててしまっていた。
「それじゃあ、行っくよぉ! 《デストーイ・シザー・ベアー》で《AD-アサルトガンナー・ドレイク》を攻撃!」
「リバースオープン! 《AD-バーニング・エナジー》! 《アサルトガンナー》の攻撃力を800アップする!」
AD-アサルトガンナー・ドレイク
ATK1800→2600
「《アサルトガンナー・ドレイク》の攻撃力が《デストーイ・シザー・ベアー》を上回った!」
「そうはいかないよ!」
素良はその場から跳躍すると、ジャングルジムの中にあったアクションカードを軽やかに取る。
「アクション魔法、《エナジー・キャンディー》! バトルするモンスター1体の攻撃力を800アップする!」
デストーイ・シザー・ベアー
ATK2200→3000
アメを食べた《シザー・ベアー》の力が高まり、同じく力が高まっていた《アサルトガンナー・ドレイク》を殴り飛ばす。
「ぐっ!」
RYUGA
LP4000→3600
「《シザー・ベア》の効果発動しちゃうよ! 破壊したモンスターを装備する!」
デストーイ・シザー・ベアー
ATK3000→4800
殴り飛ばした《アサルトガンナー・ドレイク》を《シザー・ベアー》がむしゃむしゃと食べてしまい、その力をさらに高める。
「さらに《ファーニマル・ライオ》でダイレクトアタック! この瞬間、《ファーニマル・ライオ》の攻撃力は500アップする!」
ファーニマル・ライオ
ATK1600→2100
「フッ!」
龍牙も負けじと、滑り台の上にあったアクションカードを手に取る。
「アクション魔法、《回避》! モンスター1体の攻撃を無効にする!」
「あー残念。まぁいっか。僕はこれでターンエンドだよ。この瞬間、《エナジー・キャンディー》と《ファーニマル・ライオ》の効果が終了するよ」
デストーイ・シザー・ベアー
ATK4800→4000
ファーニマル・ライオ
ATK2100→1600
RYUGA
LP3600
手札3
SORA
LP3200
手札2
モンスターゾーン
・ファーニマル・ライオ
・デストーイ・シザー・ベアー
魔法・罠ゾーン
・トイポット
・AD-アサルトガンナー・ドレイク
「んじゃ、俺のターン。相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札の《AD-パワーガントレット・ドレイク》は特殊召喚できる!」
AD-パワーガントレット・ドレイク
レベル5
ATK1200
龍牙のフィールドに現れたのは、右腕に装甲を纏ったガントレットを装備したドラゴン。
「《AD-パワーガントレット・ドレイク》の効果発動! 手札の『AD』カード1枚を墓地に送ることで、このターンの間、攻撃力を2倍にできる」
AD-パワーガントレット・ドレイク
ATK1200→2400
ガントレットから炎のエネルギーが吹き出し、《パワーガントレット・ドレイク》の力を高める。
「それでも、攻撃力は2400。僕の《シザーベアー》にはおよばないよ?」
「俺の狙いは攻撃力をあげることじゃねぇのさ。この瞬間、手札・デッキから墓地へ送られた《AD-スクラップアーム・ドレイク》は特殊召喚できる!」
AD-スクラップアーム・ドレイク
レベル2
ATK0
さらに龍牙のフィールドにボロボロの装甲を纏ったドラゴンが現れる。
「さらに俺はチューナーモンスター、《AD-エマージェンシーフライ・ワイバーン》を召喚!」
《AD-エマージェンシーフライ・ワイバーン》
レベル1
ATK400
そして、機械装甲の翼に赤ランプを付けたドラゴンが降り立つ。
「チューナーモンスター!?」
龍牙の召喚したチューナーモンスターを見て、遊矢は驚く。
「へぇー、チューナーモンスターってことは······」
「俺はレベル5の《AD-パワーガントレット・ドレイク》とレベル2の《AD-スクラップアーム・ドレイク》にレベル1の《AD-エマージェンシーフライ・ワイバーン》をチューニング! 烈火の焔よ。刃に宿りて、剣を携えし紅蓮の龍の一太刀となれ! シンクロ召喚! 来い! レベル8! 《AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン》!」
AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン
レベル8
ATK2800
「シンクロ召喚!?」
「これが!?」
「し、痺れるぅぅぅ!」
「すごい!」
「龍牙兄ちゃん、エクシーズ召喚以外にもシンクロ召喚も使えたんだ!?」
「まぁな。と、この瞬間、シンクロ素材になった《AD-スクラップアーム・ドレイク》の効果発動。このカードを除外してカードを1枚ドローできる。さらに、《AD-パワーガントレット・ドレイク》をシンクロ素材にしたモンスターの攻撃力はターン終了時まで1200ポイントアップする」
AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン
ATK2800→4000
「攻撃力が並んだ!」
「バトル! 行け! 《ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン》で《デストーイ・シザー・ベアー》を攻撃!」
「相打ち狙いか!」
「いいや。《ブレイズ・ブレード》がモンスターを攻撃したとき、墓地の『AD』カード1枚につき、攻撃力が200ポイントアップする! 俺の墓地に『AD』カードは3枚。よって、《ブレイズ・ブレード》の攻撃力は600アップする!」
AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン
ATK4000→4600
「攻撃力が《シザー・ベアー》を上回った!?」
「行け! 烈火一刀・鬼炎斬!」
「くっ!」
SORA
LP3200→2600
「この瞬間、《ブレイズ・ブレード》の効果発動! 破壊したモンスターの攻撃力分──つまり、4000のダメージをくらってもらうぜ! 爆裂熱波!」
「ッ!」
灼熱の爆風が迫るなか、素良は土管の中にあったアクションカードを手に取る。
「アクション魔法、《ドレイン・キャンディー》! 効果ダメージを回復に変える!」
SORA
LP2600→6600
爆発のエネルギーを吸収したキャンディーが光の粒子となって素良に降り注ぎ、素良のライフを大幅に回復する。
「バトルが終了し、《ブレイズ・ブレード》の効果は終了する」
AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン
ATK4600→4000
「俺はこれでターンエンド。この瞬間、《パワーガントレット・ドレイク》の効果も終了する」
AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン
ATK4000→2800
RYUGA
LP3600
手札2
モンスターゾーン
・AD-ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン
SORA
LP6600
手札2
モンスターゾーン
・ファーニマル・ライオ
魔法・罠ゾーン
・トイポット
「僕のターン! ドロー!」
勢いよくドローした素良は不敵な笑みを浮かべる。
「じゃあ、ちょこっと本気出しちゃおうかなぁ。魔法カード、《融合回収》を発動! 墓地の《融合》と融合素材となった《エッジインプ・シザー》を手札に加える。そして、《トイポット》の効果発動! これもいーらない。ドロー! 僕が引いたのは、《エッジインプ・ソウ》!」
エッジインプ・ソウ
レベル3
ATK500
今度カプセルから現れたのは、複数のノコギリを持ったモンスター。
「さらに《エッジインプ・シザー》を召喚!」
エッジインプ・シザー
レベル3
ATK1200
「僕は魔法カード、《融合》を発動! 《エッジインプ・ソウ》と《ファーニマル・ライオ》を融合! 悪魔宿りし鉄の歯よ! 牙剥く野獣とひとつとなりて、新たな力と姿を見せよ! 融合召喚! 現れ出ちゃえ! すべてを切り裂く百獣の王! 《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》!」
デストーイ・ホイールソウ・ライオ
レベル7
ATK2400
二体目の融合モンスターも《シザー・ベアー》に負けず劣らずのおぞましいモンスターだった。
「《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》の効果発動! 1ターンに1度、相手フィールドのモンスターを破壊して、その攻撃力分のダメージを与える! 《ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン》は破壊だ!」
射出された丸ノコギリが《ブレイズ・ブレード・クリムゾン・ドラグーン》を切り裂いてしまう。
「ぐあぁぁっ!?」
RYUGA
LP3600→800
「これで終わりだ! 《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》でダイレクトアタック!」
「······相手のダイレクトアタック宣言時、墓地にいる《AD-エマージェンシーフライ・ワイバーン》は特殊召喚できる!」
AD-エマージェンシーフライ・ワイバーン
レベル1
DEF400
「だったら、《ホイールソウ・ライオ》で《AD-エマージェンシーフライ・ワイバーン》を攻撃!」
「《エマージェンシーフライ・ワイバーン》は1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない!」
「なら、《エッジインプ・シザー》で攻撃!」
「自身の効果で特殊召喚した《エマージェンシーフライ・ワイバーン》は、フィールドを離れるとき、除外される」
「僕はこれでターンエンドだよ」
RYUGA
LP800
手札2
SORA
LP6600
手札1
モンスターゾーン
・デストーイ・ホイールソウ・ライオ
・エッジインプ・シザー
魔法・罠ゾーン
・トイポット
「俺のターン! 俺は《AD-ソードウィング・ワイバーン》を召喚!」
AD-ソードウィング・ワイバーン
レベル4
ATK1200
「このカードが召喚に成功したとき、デッキから『AD』カード1枚を手札に加えることができる。俺は《AD-ブースターウィング・ワイバーン》を手札に加える。そして、自分フィールドに他の『AD』モンスターが存在するとき、手札の《AD-ブースターウィング・ワイバーン》を特殊召喚できる!」
AD-ブースターウィング・ワイバーン
レベル3
ATK1000
龍牙の上空を機械装甲の翼にブースターを取り付けたドラゴンが飛び回る。
「《ブースターウィング・ワイバーン》は1ターンに2度まで、自身のレベルを上げることができる。俺は1回レベルを上げる」
AD-ブースターウィング・ワイバーン
レベル3→4
「······これでレベル4のモンスターがニ体······」
「俺はレベル4の《AD-ソードウィング・ワイバーン》と《AD-ブースターウィング・ワイバーン》でオーバーレイ! 燃え盛る炎よ! ここに龍の灼熱の咆哮となれ! エクシーズ召喚! 来い! ランク4! 《AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》!」
AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン
ランク4
ATK2500
「出たぁ! 龍牙お兄ちゃんのエクシーズ召喚!」
「痺れるぅぅ!」
《フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》の登場にアユとフトシは盛り上がる。
「ふ〜ん、それがキミのエクシーズモンスターかぁ」
《フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》を素良は獲物を目の前にした狩人のような眼差しを向ける。
「《フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》のORUをひとつ使い、効果を発動! 相手の攻撃表示モンスター1体の攻撃力の半分の数値をターン終了時までこのカードの攻撃力に加える! 《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》の攻撃力2400の半分、1200を加える! バーニング・フォース!」
AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン
ATK2500→3700
「もうひとつのORUも使い、効果を発動! バーニング・フォース!」
AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン
ATK3700→4900
「バトル! 《フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》で《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》を攻撃! バーニング・フレイム・カノン!」
《フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》の砲撃が《ホイールソウ・ライオ》に命中する。だが、煙が晴れると、そこには無傷の《ホイールソウ・ライオ》がいた。
「あれっ!?」
「なんでっ!?」
アユとタツヤが驚愕するなか、龍牙は即座に理由を把握する。
「アクションカードだな?」
「うん、そうだよ。アクション魔法、《奇跡》。モンスターの戦闘破壊を無効にし、ダメージを半分にする」
SORA
LP6600→5350
「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ。この瞬間、《フレア・キャノン》の効果が終了し、攻撃力が元に戻る」
AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン
ATK4900→2500
RYUGA
LP800
手札1
モンスターゾーン
・AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン
魔法・罠ゾーン
・リバース
SORA
LP5350
手札1
モンスターゾーン
・デストーイ・ホイールソウ・ライオ
・エッジインプ・シザー
魔法・罠ゾーン
・トイポット
「僕のターン、ドロー! 《ホイールソウ・ライオ》の効果で《AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》を破壊する!」
「カウンター罠、《AD-ブレイク・キャンセラー》! 『AD』モンスターの効果破壊を無効にし、カードをドロー!」
「なら、僕は魔法カード、《融合賢者》を発動! デッキから《融合》のカードを手札に加え、そして発動! 僕が融合するのは、《エッジインプ・シザー》と手札の《ファーニマル・シープ》! 悪魔の爪よ! 毛玉の野獣とひとつとなりて、新たな姿と力を見せよ! 融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを引き裂く密林の魔獣! 《デストーイ・シザー・タイガー》!」
デストーイ・シザー・タイガー
レベル6
ATK1900
《シザー・ベアー》の虎バージョンともいえるモンスターが現れる。
「《デストーイ・シザー・タイガー》の効果! このカードが融合召喚に成功したとき、このカードの融合素材になったモンスターの数までフィールドのカードを破壊できる! 僕は《AD-フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》を破壊!」
《シザー・タイガー》の巨大なハサミが《フレア・キャノン・スカーレット・ドラグーン》を真っ二つに切り裂いてしまう。
「ああっ!? 龍牙お兄ちゃんのエクシーズモンスターが!?」
「エクシーズ召喚された《フレア・キャノン》が破壊されたとき、墓地にいる同レベルの『AD』モンスター2体を特殊召喚できる! 戻ってこい! 《アサルトガンナー・ドレイク》! 《ソードウィング・ワイバーン》!」
AD-アサルトガンナー・ドレイク
レベル4
DEF1000
AD-ソードウィング・ワイバーン
レベル4
DEF400
「さらに《アサルトガンナー・ドレイク》の効果で800のダメージ!」
「くっ!」
SORA
LP5350→4550
「《デストーイ・シザー・タイガー》のさらなる効果! 僕の『デストーイ』モンスターの攻撃力は自分フィールド上の『ファーニマル』モンスターおよび『デストーイ』モンスターの数×300アップする!」
デストーイ・ホイールソウ・ライオ
ATK2400→3000
デストーイ・シザー・タイガー
ATK1900→2500
「《ホイールソウ・ライオ》と《シザー・タイガー》でキミのモンスターたちに攻撃!」
《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》と《デストーイ・シザー・タイガー》は龍牙のドラゴンたちを無惨に引き裂く。
「僕はこれでターンエンドだよ」
RYUGA
LP800
手札2
SORA
LP4550
手札0
モンスターゾーン
・デストーイ・ホイールソウ・ライオ
・デストーイ・シザー・タイガー
魔法・罠ゾーン
・トイポット
「エクシーズなんて、僕の敵じゃないよ」
素良の言葉を聞いた龍牙は静かにドローする。
「······俺のターン······俺は俺は手札の『AD』カードを墓地に送り、魔法カード、《武装破棄》を発動! デッキから、『AD』カード2枚を墓地に送ることができる。俺は《AD-スクラップアーム・ドレイク》2枚を墓地に送る。そして、この瞬間、デッキから墓地に送られた《スクラップアーム・ドレイク》2体を特殊召喚! エクシーズなんて敵じゃない、て言ったよな?」
「もちろん、シンクロもね」
「へぇー。なら······これでどうだ!」
龍牙は手札からあるカードを発動する。
「俺は魔法カード、《融合》を発動!」
「なっ!?」
「「「「「融合!?」」」」」
龍牙の発動した《融合》を見て、素良も遊矢たちも驚愕する。
「俺が融合するのは、2体の《AD-スクラップアーム・ドレイク》!」
二体のドラゴンが融合の渦の中で混ざり合う。
「焔の武装を纏う龍たちよ! いまひとつとなりて、激しき怒涛の炎撃となれ! 融合召喚! 来い! レベル8! 《AD-リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》!」
AD-リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン
レベル8
ATK3000
現れた融合モンスターは、拳銃のリボルバーの構造を持った機械装甲の剣と一体化した右腕を持つ装甲を纏ったドラゴン。
「ははは! キミ、すごいよ! シンクロ、エクシーズときて、融合召喚までやるなんてね!」
「驚いてくれたようでなによりだよ」
「ああ、驚いたよ! でも、融合召喚したキミのモンスターの攻撃力は3000。僕の《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》と同じだよ?」
「これじゃ、相討ちになっちまうよ!」
「かといって、《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》が残ってたら、次の素良のターンにその効果で結局破壊されてしまう」
フトシの言う通り、《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》と《ホイールソウ・ライオ》の攻撃力は同じ、バトルすれば相打ちとなってしまう。だが、遊矢の言う通り、《ホイールソウ・ライオ》をなんとかしなければ、その効果で《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》は破壊されてしまい、龍牙の負けが確定してしまう。
それをわかっている龍牙は、モンスター効果を発動させる。
「フィールドから融合素材となった《スクラップアーム・ドレイク》を除外して、カードをドローする。2体だから2枚だ。そして、《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》の効果発動! 融合召喚に成功したターン、自身の攻撃力に相手フィールドにいる特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力を加えることができる!」
「なっ! それじゃあ!?」
「俺は《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》の攻撃力3000を《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》の攻撃力に加える!」
AD-リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン
ATK3000→6000
「攻撃力6000!?」
「さらに、《リボルバー・エッジ》の効果を発動! 墓地にある『AD』カードを5枚まで除外する!」
五枚のカードが炎のエネルギーとなって、シリンダーに込められる。
「それになんの意味があるの?」
「それはいまにわかるさ。バトル! 《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》で《デストーイ・ホイールソウ・ライオ》を攻撃!」
「アクション魔法、《回避》!」
素良は即座にアクションカードを手に取り、その効果で《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》の攻撃をかわす。
「残念だったね。これで終わりだよ」
素良の言葉に龍牙は不敵な笑みを浮かべる。
「俺のバトルフェイズはまだ終わってないぜ?」
「でも、キミにはもう攻撃できるモンスターは──ッ!」
「気づいたか? 《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》は除外したカードの数だけモンスターに攻撃できる! つまり──」
「龍牙の《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》はあと4回攻撃できる!」
「くっ!」
「さぁ、これでフィニッシュだ! 行け! 《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》! 怒涛の連続攻撃! 炎撃のリボルビングスラッシュ!」
「うわあああああっ!?」
シリンダーから爆炎があがり、《リボルバー・エッジ・バーミリオン・ドラグーン》の連続の斬撃が素良モンスターたちを切り裂く。
SORA
LP4550→0
RYUGA:WIN
「ちぇー、負けちゃった。でもまぁ、楽しかったからいいか。またやろうよ!」
「ああ、いいぜ!」
二人のデュエルは、龍牙の勝利によって幕を引いた。
―○●○―
「············」
「······社長」
「······中島······どう見る?」
「······一方は······アカデミアの者の可能性が高いかと······ですが······」
「············」
(シンクロ、エクシーズと続いて、融合······すべての召喚法を扱うデュエリスト。一体······)
後書き
次回予告
「やってないよ! そんなことするわけないじゃないか!」
「そんなことはもはや関係ない! この汚名を濯ぐには、塾生同士戦って勝つしかありません!」
「襲撃事件なんて、本当はどうでもいいんだろ? 目的は遊矢のペンデュラム召喚······なんだろ?」
「デュエルはケンカの道具じゃない······でも俺は遊勝塾もペンデュラム召喚も他の誰かに奪われたくない!」
「遊勝塾は──」
「「「「「「「「「わたさないッ!」」」」」」」」」
『次回、「遊勝塾の危機!! LDS襲来」。お楽しみはこれからだ!』
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