Three Roses
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第二十一話 地位と力その十
「王の周りですが」
「はい、今はですね」
「旧教徒の方が増えていますね」
「そうなってきていますね」
「次第に」
「そうなってきましたが」
こう話すのだった。
「やはり王の周りを旧教徒で固め」
「いざという時はですね」
「何かを行う」
「そう考えてです」
「そうしてきているのでしょう」
「やはりそうですね、しかし」
ここでこうも言ったマリーだった。
「今の私は、ですね」
「宰相と内外のそれぞれの大臣、それにです」
ロドネイ公が話した。
「財務卿の座も手に入れました」
「それではですね」
「はい、我々は官吏の大半と予算を持っています」
この二つをというのだ。
「それならばです」
「私が、ですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「そのお力を使われて」
「玉座にですか」
「座られて下さい」
「今から地盤を固めましょう」
今度はグラッドストン大司教が話した。
「権勢の」
「女王になる為に」
「今我々は安心出来る状況にはありません」
「不安定ですね」
「残念ですが」
「だからこそ」
「今は動き」
そのうえでというのだ。
「権勢を確かなものに」
「そうすべきですか」
「既にあちらは動いています」
旧教徒側、彼等はというのだ。
「太子を中心にして」
「だからですね」
「我々も動かねばなりません」
「それでは」
「官吏は我々の味方です」
デューダー卿もマリーに話す。
「彼等は政において手足となる者」
「それだけにですね」
「大きな力です」
「それ故に」
「はい、使いこなされて下さい」
「旧教徒達に対するのですね」
「そしてです」
最後にキャスリング卿が話した。
「予算もあります、ですから」
「予算を押さえているだけでも」
「大きな力なので」
「これは無言の力として誇示出来ます」
マリーは国庫という公のものを私の為に使う気はない、しかしそれを使える権限を持っているだけでもというのだ。
「ですから」
「予算の力を誇示し」
「そうしてです」
「女王にですか」
「至りましょう」
「そして、ですね」
「女王としての務めをです」
まさにそれをというのだ。
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