Three Roses
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第二十一話 地位と力その六
「油断ならない、宰相と内外の大臣の席を新教徒達に渡せば」
「宮廷か予算か」
「どちらかをですね」
「狙ってくる」
まさにというのだ。
「そしてだ」
「必ず、ですね」
「その席をですね」
「この二つも大きい」
宮廷と予算もというのだ。
「宮廷は王がいる場所だからな」
「まさに国の心臓です」
「王都の中の王都です」
「それだけにです」
「ここは非常にですね」
「重要ですね」
「宮廷は」
側近達も言う。
「そして予算がなければです」
「何も出来ません」
「予算があればこそ国は動きます」
「ですから」
「そうだ、これもだ」
予算もというのだ。
「重要だ、この二つをだ」
「旧教徒が握れば」
「軍と共に」
「非常に大きいですね」
「さらなる力になりますね」
「若しもだ」
この前置きからだ、王は彼の側近達に対してさらに話した。
「旧教徒達が双方を手に入れるとだ」
「宮廷と予算」
「この二つをですね」
「同時に握れば」
「軍だけでなく」
「宰相や内外の大臣の座を手に入れててもだ」
新教徒側がだ、それでもというのだ。
「それ以上の力だ」
「軍もありますし」
「三つを手に入れれば」
「相当にですね」
「そういえばだ」
ここでだ、王は言った。
「キャスリング卿だが」
「マリー様の側近の一人の」
「あの方ですか」
「あの者は軍人だがだ」
それも生粋のだ、優れた軍人としてマリーに頼りにされ国民からも人気が高い。ただ戦争に強いだけでなく軍規軍律も正しくしていることからだ。
その彼についてだ、王はこう言ったのだ。
「財政にも見事な手腕を持っているな」
「そういえばご領地の財政ですが」
「先代から譲り受けた時破産状態でしたが」
「その財政を立て直しましたね」
「今では相当な収益をあげているとか」
「しかも民に負担をかけずにだ」
そのうえでというのだ。
「無駄な支出をなくし予算を的確な場所に回してな」
「そしてで、でしたね」
「ご自身の領地の財政を立て直した」
「そうした方だからこそ」
「ここは、ですか」
「余からだ」
王である彼自らというのだ。
「彼を財務の大臣にするか」
「それに任じられますか」
「その様にですか」
「そうされますか」
「あの方を」
「新教徒の優位は保つ」
国の策でというのだ。
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