聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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466部分:第六十五話 魔性の杖その五
第六十五話 魔性の杖その五
「周囲を回って残っている敵がいるかどうか見ていましたので」
「遅れて申し訳ありません」
「いや、いい」
遅れたことは微笑んで許すアイオロスだった。
「それよりも無事だな」
「はい、この通りです」
「何もありません」
こう言葉を返す二人であった。
「確かに戦闘では危ういものも感じましたが」
「こうして生きております」
「よし、全員揃ったな」
ミロはその六人の姿を認めて満足した顔で頷いた。
「それではだ。帰るとしよう」
「はい、それでは聖域にまで」
「リャマやアルパカはだ」
「下に置いております」
「マチュピチュの入り口に」
ミロの言葉にこのことも応えるシリウスとカペラだった。
「荷物はそのままです」
「狂闘士達は一切手をつけていませんでした」
「攻めることもなかったか」
アイオロスはそれも察したのだった。
「見つけていたのかも知れないが」
「だが荷物もそれを運ぶ動物達も健在ならばそれに越したことはない」
「その通りだ」
それはまさにその通りだとミロに返すアイオロスだった。そうしてそのうえで彼にまた告げた。
「帰ろう」
「うむ、聖域にな」
「この場所とも今はこれで別れることになる」
アイオロスが見回した周囲は何処までも黒い山が続きその上には青い空が広がっている。その黒と青の見事な対比が織り成す雄大かつ幻想的な景色にまずは見惚れたのである。
しかしここに永遠に留まっていることはできない。それもわかっているからこそ。彼は言った。
「また来る日までだ」
「今度来る時は何時になるだろうか」
ミロもまたその黒と青の世界を見ながら呟いた。
「果たして」
「それはわからない。だが」
「だが?」
「次に来る時はだ」
アイオロスはその言葉に感慨を込めていた。その感慨と共に言うのだった。
「戦いで来たくはないものだな」
「そうですよね、こんな場所は」
「やっぱり観光で楽しく」
「そういうようにしていくのも俺達の仕事ですけれど」
「それでもですよね」
青銅の四人はここでまた口々に言った。
「やっぱり観光で明るく楽しく」
「ですよね」
「この辺りって他にも行きたいところがありますし」
「是非」
「その通りだ」
アイオロスは四人のその言葉を受けて微笑んで述べた。
「そうする為にも狂闘士達を倒してだ」
「はい」
「平和を護りましょう」
カペラとシリウスは真面目な面持ちで今のアイオロスの言葉に応えた。
「是非共」
「一刻も早く」
「戦いはまた続く」
アイオロスの言葉が少し変わった。こうしたものに。
「だが。戦いは必ず終わるものだ」
「そうだな。終わらせるものだ」
ミロはアイオロスの今の言葉にこう返したのだった。応えて。
「そしてそれを終わらせるのがだ」
「我々だ」
アイオロスはそれこそが聖闘士の役目だとしたのであった。
「我々聖闘士こそがだ」
「そうですね。だからこそ」
「気合入れていきましょう」
「帰るのもまたその一つだ」
そしてまた言ったアイオロスであった。
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