ヨハンだがこんな状況を覆す
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札の切り方
「戦闘中止だと!馬鹿な、そのような事」
「残念ながら事実だ。オープンで見ただろう?」
二機は互いに距離をとり、一時戦闘を中断。
宙域のプラント側は混乱しているようで、対応を纏められないでいる。
「イザークここは退却だ。母艦から信号弾が撃たれた」
「くっ…!!」
「アスラン…」
ニコルとディアッカも退却を開始。
正し、アスラン・ザラにはご足労願った。
これはクライン嬢からの、オーダーだったからである。
「ちぃ、つくづく厄介だな。あのお嬢さんは」
クルーゼは舌打ちをし、混乱の原因である人物に苛立ちを露わにする。
まさかこの様な形で、戦闘が止められ。足つきに結果的に有利に働く、状況を生んだ事を感じ取ってだ。
「ひゅ~凄いねあの嬢ちゃんのネームバリューは」
「ムゥさん。でも…」
「俺達にとっても、このまま月まで連れていくのは相当リスキーなのさ」
「その通り。だからここで彼女という札を切ったんだ」
恐らく月軌道のハルバートン提督に情報が届けられ。
既にある程度の部隊数を伴って、こちらに向かっているはずだ。
それを見越した今回の作戦は、成功と言えるだろう。
アークエンジェルとクルーゼ旗下の母艦では、通信が行われていた。
『そちらの要求。つまり君たちの現宙域の離脱はわかった。
だが、本当にラクス・クライン嬢はいるのかね?』
ブリッジに移るモニターには、仮面をつけた怪しい男性。ラウ・ル・クルーゼがいた。
対するアークエンジェルの応対相手は、ラミアス艦長。
「それはこの後、貴方方のパイロットである。アスラン・ザラに確かめて頂きます。
無論貴方方が、クライン嬢の命より我々の抹殺を選べば。どうなるでしょう?」
『それは挑発かな?我々がその様な事をすると?』
「いえ、ただの忠告です。彼女の意に反する行動をすれば、危ないという…」
『……忠告感謝する』
その最後の言葉と共に、モニター通信は終了する。
無論クルーゼも、最初は渡された後。すぐさま攻撃をしかけるつもりだったが
相手の艦長の言葉。彼の脳裏での計算では、罠が張られている事をはじき出していた。
鵜呑みにした訳ではなく、自信がある目。そして告げた言葉がクルーゼを警戒させていたのだ。
――――――――――――――――
アークエンジェルのハッチは開けられ、イージスから出てくるアスラン。
彼の目の前には、先ほどまで戦っていた。ストライク、そして三人と戦っていたアスカローネ。
二つの機体と、そこから出ていた二人のパイロット。
キラとヨハンを見つける。そして近くにいたラクスも。
「アスラン!」
「ラクス!本当に…」
「えぇ、地球軍の方々に保護してもらっていましたの」
「テヤンデー!!、テヤンデー!!」
実際にラクスが本当に保護されていた事を知ったアスラン。
彼は最初は警戒していたが、彼女の目を見て無粋だと持ったのか。
銃をホルスターにしまった。
「では、アスラン・ザラ君。指揮官への連絡を頼むよ」
「了解しました。…え~と」
「ヨハンさんですわ、アスラン」
「そういう事だ。それとキラと少し話をしていけ。こんな時だからこそな」
そう言い残し、やる事は終わったとばかりにキラを残し。
早々とその場を退散していく。
だが、彼はそのまま割り当てられた部屋にはいかず。
単身艦隊の真下に、すり抜けていきタチハロを出す。
(お~!!随分久しぶりです総帥!)
(そうだな、しかしそれよりもだ。プラントには潜入出来たか?)
(既に展開済みです。それとネットにも収集端末を潜らせときました!)
(上出来だ。そろそろ地上に降りる事になる。FFに連絡をいれておけ)
(あいあいさ~!)
FFの出番は迫っていた。むしろこの戦争の終結へのカウントダウンかもしれない。
――――――――――――――――――
プルプルと震え、同期が済んだタチハロは近くのメンバーに詳細を知らせた。
「博士~、そろそろらしいです!」
「そうか、まぁ元の世界からも。連絡が来とるし丁度いいか」
(だろうな、しかしタチハロのデータを見る限り…)
「旧世紀に近いな、それも核か……」
「アンティークや掘り出し物があるやもしれんな」
「わぉ~!!歴史的な価値を持つ物があるかもってことでしょ!」
「「たのしみぃ~!!」」
タチハロは、各個体差があり。
好む物が違ったりするが、未知の物品から得られる情報に歓喜していた。
ある者は、旧世紀に近い日本を観れる可能性に喜び。
女性陣は化粧品や、食材に関心を。
荒熊親子は、義憤を猛らせていた。
CE世界にはない、その巨大な戦艦とMA技術。
最初に知るキラはこう語る。
「勝てる訳ないよ、あれは…」
次回、ハルバートン提督と相まみえる。
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