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セントバーナード

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第二章

「この犬ね」
「大きいから番犬になるしだ」
「元々救助犬だしね」
「ああ、頭はいいし大人しい」
「それなら番犬にも最適ね」
「この子にするか?」
 ハンスはヨハンナに顔を向けて尋ねた。
「そうするか?」
「そうね、いいわね」
 ヨハンナは夫の問いにこう答えた。
「それじゃあね」
「この子を迎えるか」
「そうしましょう」
「じゃあこの子のいる店に行くか」
 あらためてだ、ハンスはヨハンナに言った。
「これからな」
「そうするのね」
「ああ、そしてな」
「この子を買って」
「家に迎えよう」
 こうして二人で話を決めてだった、そのうえで。
 二人でそのセントバーナードがいる子犬がいる店に行ってそのうえで買い取った、そうしてそのうえで家に迎え入れた。
 フリッツはまだ七歳だ、髪の毛と目の色はハンスの顔立ちはヨハンナのそれを受け継いでいる。その彼がだ。
 家に来たそのセントバーナードを見てだ、両親に目を丸くさせて尋ねた。
「この犬どうしたの?」
「新しい家族だ」 
 フリッツは笑顔でだ、息子に答えた。
「今日からな」
「新しい家族なんだ」
「御前の妹だな」
「この子女の子なんだ」
「そうだ、名前はまだ決めていないがな」
「うちの新しい家族なんだね」
「そうだ」
 また言うのだった。
「さっき言ったがな」
「僕の妹になるんだね」
「じゃあいいな」
「正直驚いているけれど」
 その子犬を見ての言葉だ、子犬は黒いあどけない目でフリッツを見上げつつそのうえで言ったのだった。
「けれどいい子みたいね」
「凄く大人しくて優しい子みたいよ」 
 ヨハンナも息子に笑顔で話した。
「おっとりしていてね」
「そうなんだね」
「だからフリッツでもね」
 まだ幼い彼でもというのだ。
「安心していいわ」
「じゃあ」
「ええ、仲良くしなさいね」
「そうするよ、僕も」
 フリッツはその子犬の頭を撫でつつ母に応えた、そしてだった。
 子犬の名前はダイアとなった、フリッツがたまたま読んでいた漫画でこの宝石が出たのでそう名付けたという。
 それでだ、フリッツはそのダイアとだ。
 家にいる時はいつも一緒にいる様になった、ダイアもそのフリッツによく懐いてだ。
 彼を見るとすぐに起き上がって尻尾を振る様になった、その彼等を見てだ。
 ハンスは笑顔になりだ、ヨハンナに言えた。その言えた言葉はというと。
「あの子を家に入れてよかったな」
「ええ、ダイアをね」
 ヨハンナも笑顔で答える。
「いい子だしね」
「大人しいしな」
「そう、絶対に怒ったり噛んだりしないし」
「優しい子だ」
「フリッツがおいたしても絶対にそうしたことをしないから」
 怒ったり噛んだりだ。
「のんびりした性格で」
「愛嬌もあってな」
「人懐っこい子でね」
「しかも誰か来たらすぐに起き上がって吠えるから」
 そうしたこともするからだというのだ。 
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